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異世界ディヴェルティメント〜不幸少年のチート転生譚〜  作者: ろーたす
色欲魔録〜また魔神が来ました〜
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第六十八話 綺麗だなぁ

「みて、ジーク」

「はいはい」

「綺麗だねぇ」


2人で机を買いに向かってから数分後、俺達は近くにある宝石店を訪れていた。

俺は別に宝石に興味はないのだが、どうやらレヴィはこの店に入るのが初めてらしく、あちこちの宝石を見て回っている。


「うわっ、これ高!金貨30枚もいるんだって」

「ほんと、綺麗だけど高いんだよな、宝石って」

「あー、あれも綺麗だなぁ」


・・・ふむ。

これだけ宝石に興味を示すとは、こういうの見たことなかったんだろうか。


「今の所持金は・・・金貨50枚ね」


魔神討伐で手に入った金貨はまだ家に山ほどあるし・・・よし。


「あの、すいませーん」








ーーーーーーーーーーーーーーーーーー







「たまには違う机買ったりしないの?」

「俺はこれがお気に入りなんだ」

「そっかー」


その後、机を購入した俺達は、家に向かって歩いていた。

でかい机を担ぐ俺と、その隣を歩くロリっ子魔神。なんとも不思議な光景である。


「ねえ、やっぱり明日もデートしてー」

「別にいいけど・・・。今日は机買いに行っただけだしな」

「ほんとに!?やったー!」


手を挙げて喜ぶレヴィを見て、自然と頬が緩んだ。


「・・・レヴィ」

「なにー?」


ここらで渡しとくか。

俺は机を一旦地面に置いて、ポケットからあるものを取り出した。


「なにこの箱」

「中を見てくれたら何か分かる」

「・・・?」


そして、箱の中身を見たレヴィが目を見開く。


「これ・・・」


彼女が手に取ったのは、さっき俺がこっそり買っておいたサファイアのネックレスだ。


「まあ、なんだ。プレゼント的なやつだ」

「・・・ジーク」


彼女はそのネックレスを付けると、みるみるうちに顔が赤くなった。


「に、似合う・・・?」

「似合ってるけど」

「・・・ありがと」


むぐ・・・。

レヴィの赤面テレテレはかなり珍しいので、見てるこっちもなんか照れる。


「・・・帰るか」

「・・・うん」


再び俺は机を担ぎ、レヴィと共に歩き出した。さっきと違うのは、隣を歩く彼女が赤面しながらも、空いた俺の片手を握っていることと、綺麗なサファイアのネックレスを付けているということだ。


「・・・」

「・・・」


互いに黙り込む。

騒がしいのがこいつの特徴なのに、黙られるとかなり気まずいんだが。


「・・・レヴィ」

「は、はひっ!?」


はひ・・・?


「何でもない」

「そ、そう・・・」


そして再び黙り込み、俺達は家へと向かった。









ーーーーーーーーーーーーーーーーーー









「あ、おかえりなさ・・・どうしました?」

「い、いやー、なんでも」


何故か真っ赤な顔で黙り込むレヴィと、机で顔を隠す俺を見てシオンが首をかしげた。


「ほれ、とりあえず新しい机だ」

「ありがとうございます」


真っ二つになった机は既に撤去されていたので、買ってきた新品の机を床に置く。


「レヴィさんと何かあったんですか?」

「いや、何かあったというか、なんというか・・・」

「・・・?」


日頃のお礼的な感じでネックレスあげたら、レヴィが赤面テレテレになっちまったんだ。


「ま、まあ、とりあえず飯でも食おうぜ」


逃げるつもりでそう言ったら、シルフィが台所に向かって歩いていった。


「すぐにお作りします」

「俺も手伝うよ」

「えっ、ご主人様?しかしですね・・・」

「たまには一緒に飯作ろう」

「は、はいっ」


よし、これで追求されるのは回避できた。


「さーて、美味いの作るぞー」











◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆










「・・・遅い」


魔界にある、巨大な城の中。

1人の少女が玉座に座り、イライラしながら1つの扉を睨みつけていた。


「も、申し訳ございませんっ!!」


そんな時、突然扉が開き、1人の魔族が中に駆け込んでくる。


「こ、こちらが例の人間についての資料です」

「・・・何分待たせた?」

「・・・ご、5分でございます」

「たった5分だろとか思ってないでしょうねぇ?」

「い、いえ、そんなことは・・・」

「まあいいわ、ご苦労様。とっとと出ていきなさい」

「はい、失礼しました!!」


ブルブル震えながら、魔族の男は外へと出ていく。


「で、これが例の人間について・・・ね」


そして、手渡された紙を見ながら少女は興味深そうに笑みを浮かべた。


「魔神アルターの撃破から始まり、嫉妬の魔神レヴィアタン、憤怒の魔神サタン、怠惰の魔神ベルフェゴールも撃破したと。けど、レヴィアタンは生きてるそうじゃない」


数枚の紙を一枚ずつ眺めていく。


「・・・へぇ、それぞれの禁忌魔法ロストアーツも破ってるんだ」


その一文を見て、少女は純粋に驚いた。互いにどんな破壊力を持つ魔法なのかは知らないが、禁忌魔法ロストアーツというのは大罪を司る魔神にとって切り札である。


それを破る事が出来る人間がいるということは、この少女にとって大変興味深いことだった。


「けど、アタシには勝てないわね」


彼女は玉座から立ち上がり、手に持っていた紙を上に投げた。


「ふふ、近々祭りも行われるそうじゃない」


その紙はヒラヒラと落ちてくる。しかし、彼女の目の前まで落ちてきた瞬間、一瞬で消し炭になった。


「楽しみだわ、ジークフリード、レヴィアタン、それに人間達。アタシが全てを支配してあげる」

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