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異世界ディヴェルティメント〜不幸少年のチート転生譚〜  作者: ろーたす
機来界壊〜古代都市?いえいえ未来都市です〜
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第六十二話 柳の計画

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆





「ぅ・・・」

「おや、目を覚ましたようだね」

「っ!?」


シオンが目を覚ますと、そこは彼女が見たことのない場所だった。とても明るく、嫌な感じがするとても広い場所。


「え・・・?」


そんな場所で、彼女は座った状態で拘束されていた。


「フフフ、暴れても無駄だよ」

「な、なんであなたが・・・」


シオンの前にいたのは、白衣に身を包み、気味の悪い笑みを浮かべる男、柳哲郎。


「何が・・・目的ですか!!」


拘束されながらもシオンは柳を睨みつける。しかし、柳は怯むどころかさらに笑みを深めた。


「ああああ、素晴らしい!!これ程の逸材が手に入るとは!!」


ばっと両腕を広げて柳は笑う。


「君ほど美しいモノは、他にはいない!!ずっと、ずっとずっとずっと!!君を手に入れたかったんだ!!」

「っ・・・」

「それに、君はを持ってるんだろう?」


そう言うと柳はシオンに近づき、勢いよく彼女の右目を覆っていた眼帯を取った。


「おおおおおおお、なんて美しいんだ!!これが、ハデスの魔眼かッ!!」

「や、やめてください!!」


シオンは咄嗟に目を閉じ、顔を逸らすが、体は拘束されているせいで動かない。

それに、どうやら柳には魔眼の効果が効かないらしい。


「んん〜?いいのかな?」


柳が懐から何かを取り出した。そしてそれをシオンの体に押し当てる。


「ッ〜〜〜〜〜〜〜!?」


それは、スタンガン。突然体を襲った電流に驚き、シオンは目を見開いた。


「おお、異世界の住人にもこれは聞くんだね」

「い、異世界・・・、なんで、それを」

「はは、最初から知っていたよ、ここが日本とは違う場所・・・いや、違う空間(・・・・)に存在する場所だということはね」


ますます笑みを深め、柳はシオンからスタンガンを離した。


「まあ、《協力者》がいて、その人が色々教えてくれてさぁ。日本・・にいる時からね」

「え・・・?」

「フフフ、僕はジークフリードとは違い、日本にいた時からこの世界のことを知っていたのさ」

「ど、どうやって・・・」

「その協力者は、《空間を繋げる》という大魔法を使えてね。それで僕と出会ったのさ。それから異世界フォルティーナのことを聞き、胸の高鳴りが一日中止むことは無かった!!」


狂ったかのように嬉々と話す柳。シオンはそれを黙って聞くことしかできない。


「僕は元々医者だったんだが、個人的にロボット開発も行っていてね。そんな時に手に入ったのが、協力者からもらった魔法だ」

「魔法・・・」

「僕の技術と魔法が合わさり、僕の造り上げたロボット達は最強になった」

「・・・」

「そして、僕は協力者の力を借りて、この街ごと異世界フォルティーナに転移してきたんだ。興味深いモノを見つけたからね」

「興味深いモノ・・・?」

「そうさ!!」


そして、柳はシオンに顔を近づけた。


「君だよ、シオン・セレナーデ!!君は気づいていないのかい!?その魔眼が持つチカラを!!」

「っ・・・」

「君はその魔眼のチカラを完全にコントロール出来ているわけじゃない!!ああ、なんて勿体ないんだろうか!!それがあれば、国一つ滅ぼすことなんて容易いというのに!!」

「国を・・・滅ぼす?」

「クククク、そのハデスの魔眼は三秒間目を合わせた相手を上位石化させるんだろう?協力者から全て教えてもらったよ。それに興味が湧いた僕はその眼が秘める真の力を研究した!!」


一旦シオンから離れ、不気味な笑みを浮かべる柳。それを見てシオンの顔が青ざめた。


「そして分かったんだよ。僕ならその魔眼を使って全てを石化させるマシンを造り上げることが出来るってね!!」

「そ、そんなこと、出来るわけが」

「出来るんだよ!!日本では認められなかった僕の技術と、魔法のチカラが合わされば!!目を合わさずとも人間を・・・いや、生物造形物関係なく全てを石にすることがね!!」


原理はわからない。一体何が行われるかも。しかし、シオンは本能的にそれが実現してしまうと察知し、震えた。


「大丈夫、この世界にはそんなに興味は無いからね。僕の研究を鼻で笑い、いつもいつも小馬鹿にしてきた日本、いや、あっち側の全世界を石にしてやる。そのためには君の眼が必要なんだ」

「ふざけないでください!!そんな馬鹿げたことを本当に実行するつもりですか!!」

「ああ、するさ。そしたら分かるだろう、僕の方がいつも上に立っていたと思い込んでいる馬鹿共よりも上だと言うことがさぁ」


おそらく、柳は何を言っても聞かないだろう。このままでは、眼を奪われて、最悪の事態を招くかもしれない。


「ジークさん・・・」


彼が来てくれれば。こんな男の狂った計画を止めることが出来るのに。


「ふむ、君は彼が助けに来てくれると考えているのかい?」

「・・・」

「残念ながら、彼は来ないよ」

「え・・・」


柳が笑う。


「だって君、足でまといだったんだろう?」

「っ─────」


それを言われ、シオンは目を見開いた。

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