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異世界ディヴェルティメント〜不幸少年のチート転生譚〜  作者: ろーたす
機来界壊〜古代都市?いえいえ未来都市です〜
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第五十五話 ガールズトーク

(・・・シオンさん、レヴィさん)

(はい)

(なにー?)

(なんだか、ご主人様とエステリーナさんの距離が近くなっているような気がします)

(うん、確かに・・・)


現在ジーク達はエステリーナが行きたいと言っていた古代都市に向かって馬車を走らせていた。


そして、前に座るジークとエステリーナがいつもと少し様子が違うことにシオン達は気付き、こそこそ話をしている。


(エステリーナさん、今日はリボンで髪を束ねていますし、顔が赤いですし。何かあったのかもしれませんね・・・)

(むふふ、奥手に見えて意外と攻めるタイプだったのかな、エステリーナって)


と、彼女達がそんな会話をしていた時、馬車が止まった。


「ほらよ、兄ちゃん達。ここからは徒歩で頼む」

「おう、ありがとう」


ジークが馬車を運転していた男に人数分の代金を手渡す。そして全員が馬車から降りた。


「この先に迷宮が・・・」


エステリーナが呟く。

彼女達の前には広大な森の入口がある。ここから徒歩で歩き続けていると例の迷宮は現れるらしい。


「さて、とりあえず進んでみるか」

「気をつけていこう」


そう言って歩き始めたジークとエステリーナ。

そんな2人を後ろから追う3人の美少女。


「あ、見て。エステリーナがあんな表情するの、ジークと話してる時だけなんだよ〜」

「・・・ジークさんも、デレデレしてますね」

「ご主人様・・・」

「むむー、やっぱりちょっと嫉妬しちゃうなぁ。ボクは嫉妬の魔神だからね」

「それはみんな同じかと・・・」


現在計4人の美少女に好意を寄せられているジーク。しかし彼は彼女達の気持ちに全く気づいていないどころか、彼女達が顔を赤らめた時に風邪と勘違いするレベルの鈍感野郎である。


「ん?」


突然ジークが立ち止まる。


「どうした?」


そんな彼をエステリーナは不思議そうに見つめた。

その直後。


「おっとぉ」

「っ・・・!!」


ジークがエステリーナを抱き寄せた。


「「「っ・・・!?」」」


それを後ろから見ていた3人は目を見開く。


「グアウッ!!」

「ま、魔物・・・」


ジークがエステリーナを抱き寄せた理由。それは突然猿のような魔物が木々の隙間からエステリーナを狙って飛び出してきたから。

彼女との話に花を咲かせていたので、ジークも魔物の接近に気がついていなかったのだ。


「ガアアッ!!」

「うっさい」


飛びかかってきた魔物の顔面をジークは片手で鷲掴みにし、どこか遠くに放り投げた。多分魔物は死んだ。


「ふう、大丈夫か?」

「え、ぁ、あぅ・・・」

「ん?まじで大丈夫か────」


そこでようやくジークはエステリーナを抱き寄せているということを思い出し、急いで彼女から離れた。


「悪いっ!別に下心でそんなことをしたわけではなくてだな!!」

「そ、それは分かってる・・・」

「・・・すんません」


などと互いに顔を赤くして会話する2人を、後ろの3人はなんとも言えない表情で眺めていた。








ーーーーーーーーーーーーーーーーーー






「・・・」


しばらく歩き続け、ジーク達は川の近くで一旦休憩することにした。そしてジークは現在爆睡している。


そんな彼の寝顔を眺めながら、少女達は苦笑を浮かべた。


「ボクも寝ようかな〜」

「添い寝はダメです」

「なんで」


爆睡するジークの横に寝転がろうとするレヴィを、シルフィが止めた。


「あー、シルフィも添い寝したいんだね?あっち側が空いてるよ?」

「なっ、そ、そういう意味では・・・」

「あはは、顔真っ赤ー」


確かに、シルフィも添い寝はしてみたいので言い返せない。


「ほんと、鈍チンだよね、ジークって。みんなあからさまにジークのこと好きなのに全く気づかないし」

「そ、それは確かに・・・」

「レヴィなんて好意を持っているというのは明らかなのにな。ジークは気づいていないのか?」

「え、ボクもう告白したよ?」

「「「え」」」


レヴィの発言にシオン達は固まった。


「こ、告白・・・した?」

「うん、一回目が魔闘祭の時で、二回目が王城でパーティーした時かな」

「へ、返事は・・・」

「まだ貰ってなーい」


あまりにも衝撃的過ぎて、シオンとシルフィは完全に硬直した。かろうじてレヴィに話しかけているのはエステリーナだ。


「むふふ、だからボクは一歩リードしているんだよ!」


そう言ってドヤ顔でエステリーナ達を見るレヴィ。


「それに、キスもしたもんねー」

「ッ──────」


レヴィのその発言を聞き、シオンとシルフィは意識が飛びかけた。しかし、エステリーナはあの時の出来事を思い出し、顔が真っ赤になる。


自分を救ってくれたジークへの恋心を自覚し、去り際にキスをした時のことだ。


「そ、そそそ、それなら、わ、私だって」

「え?」

「わっ、私だって、キスなら、し・・・た」

「え?」


今度はレヴィが固まった。


「え、ちょ、エステリーナさん?」

「ふ、ふふふ、私も少しだけリードしているんだ」


髪の毛と同じぐらい顔が赤くなっているエステリーナを見て、シオンは動揺した。

まさか、エステリーナまでもが・・・。


「そ、それに、このリボンだって貰ったからな!」

「残念でしたね、エステリーナさん」

「なにっ!?」

「贈り物なら、私だって・・・」


そう言ってシルフィは首に付けていたものをエステリーナに見せた。それは、三日月の形をしたネックレス。


「以前ご主人様に頂いたものです」

「くっ・・・」


あれからシルフィはこのネックレスを何よりも大事な宝物として大切にしていた。


「ボクは告白したもん!」

「返事を貰っていないんでしょう?」

「ならまだ望みはある!」

「むむ・・・」


そんなエステリーナ達のやり取りを、


「・・・」


シオンは少しだけ寂しさと悔しさの入り交じった表情で見つめていた。

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