第四十四話 迷宮火山
「・・・」
俺は、ベッドで眠るレヴィの寝顔を眺めていた。
ある程度傷は回復したが、中々目を覚まさない。
いつものようなだらしない寝顔ではなく、とても安らかな寝顔だ。
「・・・レヴィ」
呼びかけてみるが、返事はない。
「・・・あとは、俺に任せとけ!」
このまま彼女が起きるまでここに居たい。しかし、他にやるべき事が出来てしまった。俺はレヴィの小さな手を握ってそう呟き、立ち上がった。
そして部屋をあとにする。
その後向かったのはギルド。中にいるリリスさんに用があるのだ。
「失礼します」
「ええ、入って頂戴」
俺が入ったのはギルド長室。中ではリリスさんがたくさんの書類に目を通していた。
「・・・すごい顔してるわよ」
「そうですか・・・?」
「まあ、気持ちはわかるけどね」
そう言うとリリスさんは立ち上がり、何かが書かれた紙を手渡してきた。
「これ、例の迷宮についての資料だから」
「ありがとうございます」
受け取った紙に書かれているのは、とある迷宮についてだった。
『突如現れた巨大な火山。これを我々は危険度S以上と認定。調査次第ではSSとなる可能性あり』
レヴィを王都に連れて帰ったあと、俺はリリスさんからある事を依頼された。
それはここに記されている迷宮を調査すること。
王都から馬車で1時間程の距離にある森の中に、突然出現したというこの迷宮。王国軍や名のある冒険者達が調査に向かったが、生還者はいないという。
そんな場所の調査を了承した理由、それは、この迷宮を魔神ベルフェゴールが造り出した可能性が高いから。
レヴィも初めて現れた時、湖の上に迷宮を造り出していた。つまり七つの大罪クラスの魔神は迷宮を造り出すことが可能であると推測する。それも危険度Sクラスの。
仮にこの迷宮を造り出したのがベルフェゴールなら、奴がそこにいる可能性は高い。
「・・・一人で行くのね?」
「当たり前です。そんな危険な場所にシオン達は連れていけません」
「まあ、それが妥当ね。はぐれたりしたらおしまいだし」
そう言うとリリスさんは、再び椅子に座った。
「それじゃあお願いするわ。君なら大丈夫だと思うけど、危険だと思ったらすぐに帰還すること、いいわね?」
「了解です」
そして俺は、ギルド長室をあとにした。
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「あ、ジークさん・・・」
「おう」
その後、家に戻った俺はシオンとシルフィに迷宮探索のことを伝えた。初めは一緒に行くと言って聞かなかった2人だが、何度も説得することで渋々納得してくれた。
「怪我・・・しないでくださいね」
「おう、いつも通り無傷で生還する予定だ」
心配そうな表情の2人の頭を撫でてやり、俺は外に出た。
「・・・さて」
確かあっちの方だったな。俺は教えられた方角に身体を向け、そして全力で跳躍した。
そのまま王都を飛び出し、地面に着地。それと同時に駆け出す。
そして数分後、
「・・・でっけー」
例の迷宮に到着した。
俺の前に現れたのは、巨大な火山。山頂からは煙が立ちのぼっている。なるほど、活火山か。
「んで、どっから入ればいいのかね?」
山頂から中に入るのだろうか。それとも入口的な場所がどこかにあるか?
「ん?兄ちゃんも迷宮探索に来たのか?」
「・・・?」
突然後ろから声をかけられ、振り返ると、見たことのない三人組が立っていた。
「俺達もこの迷宮探索に来たんだ」
「・・・ここ、超危険ですけど」
「ははは、冒険者が危険を恐れてどうすんだ!」
豪快に笑うおじさんは、俺の方を叩きながら自己紹介してきた。
「俺はガルム、よかったら俺らと一緒に迷宮探索しないか?」
「どうも、ジークフリードです。そっちの二人がいいって言うんなら別に」
ガルムと名乗ったおじさんの隣にいた二人に顔を向ける。
「・・・アカリ、よろぴー」
そう言ったのは、金色の髪を腰あたりまで伸ばした、シオンよりも無表情で小柄な少女。
「よろぴー?」
「・・・よろぴくって意味」
「なんだこの子は」
「はは、アカリは結構謎な子だからね」
そう言って笑いながら俺の前に出てきたのは、緑色の髪の青年。
「僕はクラウン。まあ、よろしく頼むよ」
「こちらこそ」
差し出された手を握り、握手した。
「・・・ん」
「ん?」
「・・・握手」
「え、あ、おう」
どうやらアカリも握手をしたかったらしく、俺は彼女とも握手した。うん、謎だ。
「てか、ジークフリードってどっかで聞いたことある名前なんだよなぁ」
「あ、それ分かる。なんだったっけ?」
と、男二人が突然そんなことを言い始めた。
「・・・魔闘祭」
「「それだっ!!」」
アカリの呟きに対して同時に反応した二人。
ネタか。
「そうだそうだ、ジークフリードっていやぁあのイツキ・ロンドを倒して優勝したやつじゃねえか!」
「おおー、そんな有名人が目の前に・・・」
「ゆーめーなの?」
「・・・さあ?」
よく分からんけど、ローレリア魔闘祭で優勝したことは結構知られているようだ。
「てか、とりあえず入口に探しません?」
「おお、そうだな」
そして、俺達は一時的なパーティーを組み、迷宮への入口を探し始めた。




