第二十七話 悪の宴
そして二日目。
今回は1グループ10人で戦う。
残ってるのは40人なので4グループだ。
俺はBグループ、シオンとシルフィはCグループ、エステリーナはDグループ、レヴィはAグループになった。
イツキさんは知らん。
「それじゃ、行ってくるねー!」
「行くなら早く俺から離れなさい」
「元気分けてもらってるんだよ」
「ぐっ・・・」
何かこいつを可愛いと思ってしまう。
くそ、これが魔神か。
「れ、レヴィさん、試合が始まりますよ。早くご主人様から離れてください」
「えー、あと1分」
「駄目です」
シルフィがレヴィを引き離そうとしている。
しかし彼女の力では魔神であるレヴィを動かすことなど出来ない。
「レヴィさん、ジークさんが嫌がって・・・ませんけど離れましょう」
「えぇー」
シオンにも離れろと言われ、レヴィは渋々俺から離れた。
「・・・はは」
なんかこいつ普通に馴染んでるよなぁ。
俺は再び抱きついてこようとするレヴィの頭を押さえながらそう思った。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ろり・・・」
「ろりだ・・・」
「抱きたい・・・」
「撫でたい・・・」
「ジーク以外はやだなぁ」
「「「ガーーーン!!」」」
ニコニコ笑うレヴィを見て境地に達した男達が願望を口にするのだが、レヴィはジーク以外受け付けていないようだ。
男達が嫉妬の眼差しで観客席を睨みつける。そこには美少女三人組と仲良さげに座っているジークがいた。
「ぬぐぐ、くそぉぉ」
「なんでやつだけあんなにモテるんだ」
「しかし、確かにイケメンだ」
「くそぉっ!なんでブサイクに生まれちまったんだ!」
ジークを見て絶望する男達は、まだ諦めていなかった。
「くそ、せめてワンタッチだけでも・・・」
そんなことを言いながらレヴィを見る。
「むふふ、触れるかなー?」
『それでは、二日目Aグループの試合を開始しますよ!』
「「「うおおおおおーーー!!」」」
『試合、開始ッ!!』
そして銅鑼の音が鳴り響く。
「いくよー」
「え─────」
それと同時にレヴィの姿が消えた。
ちなみにこのロリ魔神、ジークに引けを取らないぐらい速い。
「タイダルウェイブ!!」
「あぎゃああああ!!」
そしてフィールドの中心に現れたレヴィがかなり手加減した魔法を放った。
全方位に向けて放たれた水は、全ての男達を呑み込んで彼らを壁に叩きつける。
「ぐぁぁ・・・」
「お、気絶しなかった」
意識がある男を見てレヴィがにっこり笑う。
「もう一発いこっか」
「ひぃぃぃぃぃ!!」
『し、試合終了!本選出場はレヴィさん、パレル・ホリマンさんです!!』
「あり、終わっちった」
レヴィは試合終了の銅鑼の音を聞き、振り返る。
そして観客席に向かって勢いよく跳躍した。
「へ──────」
「勝ったよーーーー!!」
「ちょ、ま、おまぐべぁ!!」
そのままレヴィは目を見開くジークの顔面に突進した。
可哀想なことに、その衝撃でジークは後頭部から倒れ込み、地面に頭がめり込んだ。
それを見た周囲の男達は、ジークのことを心配するどころかざまぁ、といった表情で見ている。
「馬鹿かお前はァ!」
「いひゃいいひゃい!ほっぺたひゅねるにょはだめらってぇ!」
しかし普通に起き上がったジークがレヴィのほっぺたを引っ張っているのを見て、男達は再び嫉妬の眼差しで睨むのだった。
『続きまして。Bグループの試合を始めます!Bグループの10人は下に降りてください!』
「む、俺か」
アナウンスが入ったので俺はレヴィから手を離し、観客席から飛び降りた。
「ん〜?君、無双してた子かい?」
「あ?」
そこでよく分からん男に話し掛けられた。
「俺はヴィライン。よろしくねぇ」
「ああ、あんたエステリーナと喋ってたやつか」
金髪、地味ーにイケメン、俺よりデカい。
このよく分からん男、ヴィラインと喋ってからちょっとエステリーナの様子がおかしかった気がする。
「あんた、エステリーナに何言った?」
「いいや?別に何も」
「ふーん」
まあ、別にいいや。
こいつがエステリーナにいらんことしたら本気でぶっ潰すだけだし。
「お、みんな降りてきたねぇ」
「だな」
ヴィラインと話していると、Bグループの人達がフィールドにやって来た。
『準備はよろしいですか?それではBグループ、試合開始ッ!!』
「・・・ん?」
銅鑼の音が鳴り響く。
それと同時にヴィラインは近くにいた男の腕を掴んだ。
「なっ─────」
「我慢しろよ」
ボキッ
「ぎゃああぁぁぁぁぁぁ!!!」
男の叫び声が響き渡る。
そう、ヴィラインに腕をへし折られたのだ。
「ハハハハハハハハハ!!いいねぇいいねぇいい叫び声だぁぁ!!さて、次はお前だ」
「ひっ、や、やめ───────」
ボキッ
「イギャアアアアアアア!!!」
「おい、てめえ!!」
俺は不気味な笑みを浮かべるヴィラインに向かって跳躍した。
しかし、ヴィラインの姿が突然消える。
「っ、後ろか!!」
背後から気配を感じて振り返ると、そこには高らかに笑うヴィラインと、骨をへし折られて悲鳴を上げる他の男達が転がっていた。
『し、試合終了!!本選進出はジークフリードさん、そしてヴィライン・カリオーラさんです!!きゅ、救護班!すぐに彼らに手当を!!』
試合終了。
今の一瞬でヴィラインが勝負を決めたのだ。
視界から消えるまでは目では追えた。
しかしあの一瞬に背後であんなことが起こるとは。
「ククク、クハハハハハハ!!」
腹を抱えてヴィラインが笑う。
なんだこいつ、頭大丈夫か?
「俺の相手はお前じゃぁない、ジークフリード」
「あ?」
「邪魔するのなら、容赦無く消すぞ」
そう言ってヴィラインは俺に背を向けて歩いて行った。
とりあえずステータス覗き見しよっと。
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◆◆◆unknown◆◆◆
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お?
なんか見れないんですけど。
「・・・ヴィライン・カリオーラ」
何者だ、あいつ。




