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異世界ディヴェルティメント〜不幸少年のチート転生譚〜  作者: ろーたす
魔導の祭典〜マジックバトルカーニバル〜
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第二十六話 シルフィと妹好きな人

その後、I・Jグループの試合が終わり、シルフィのグループの番がきた。


シルフィは小さな拳を握りしめて頑張ります!と意気込んでいる。まって、可愛い。


「え、あ、ご主人様・・・?」

「はっ!?無意識に頭を撫でてしまった」


ふう、なるほど。

俺ってロリコンだったのかもしれない。


「むー、ボクもなでてー」

「おま、ひっつくなよ・・・」


このチビ魔神はさっきからベタベタしすぎだ。

胸の感触を味わっていたいとかそんなこと思ったりしてないけど、シオンとエステリーナの視線が痛いのでまじで離れていただきたい。


「そ、それでは行ってまいります!」

「おう、頑張れよ!」


俺が手を振ると、シルフィも満面の笑みで手を振り返してきた。

もう、可愛ええなぁおい。












◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇










「・・・」


何故か周囲の男達にジロジロ見られ、シルフィは若干引いていた。見てくるのがジークならば彼女は顔を真っ赤にして俯いてしまうのだが。


「か、可愛いな」

「これがロリ・・・」

「愛でたい」


などという会話を周囲の男達は行う。

そう、シルフィを見た男は、ロリコンでなくてもロリコンの心を植え付けられるのだ。


ちなみにシルフィは小さいが、この世界でトップクラスの美少女である。

こんな美少女達に囲まれるジークは、あの固有スキルが発動しているのか分からなくなるが・・・。


「お、君はあの害虫と一緒にいた・・・」

「・・・?」


突然声を掛けられ振り向くと、そこには赤髪の男が立っていた。

イツキ・ロンド。

エステリーナの兄であり、このローレリア魔闘祭の三年連続優勝者だ。


「・・・《害虫》というのは、ご主人様のことでしょうか?」

「そうだが?」

「いい加減にしてください」


シルフィがダガーを手に握った。

そして殺気を放つ。


それを感じ取った周囲の男達は後ずさるが、殺気を向けられているイツキはどこ吹く風だ。


「ふむ、中々いい殺気を放つじゃないか」

「・・・」


一触即発、イツキが再びジークの暴言を口にした瞬間、おそらくシルフィは飛びかかるだろう。


『えー、それではKグループの試合を開始します!』


そこでアナウンスが入った。


『試合、開始ッ!!』


銅鑼の音が鳴り響く。

しかし誰も動かない。いや、動けない。


「ほう、これは・・・」


少しでも動けば身体は切れるだろう。シルフィが魔力で創り出した糸をフィールド全体に張り巡らせているからだ。


「この糸、かなりの切れ味のようだな」


そう言ってイツキが糸に触れた。

次の瞬間、


「なっ──────」


フィールドに張り巡らされていた糸が一気に燃えた。


「さて、とりあえず終わらせるとしよう」


そしてイツキが大剣を手に取った。その大剣に炎を纏わせ、イツキは勢いよく跳躍する。


「っ!?」

劫炎滅波ごうえんめっぱ


イツキが大剣を地面に叩きつけた直後、闘技場全体が激しく揺れ、放たれた炎の波がフィールドに立っていた全ての人間を吹き飛ばす。


シルフィは迫り来る炎の隙間を見つけ出し、それを何とか回避した。


「ほう、今のを躱すか」

『そこまで!Kグループからの二日目進出を決めたのは、イツキ・ロンドさんとシルフィ・パストラールです!』


ニヤリと笑ったイツキがシルフィに追撃を加えようとした時、司会が試合終了を知らせ、二人は動きを止めた。


「おっと、終了か」

「そのようですね」


納得がいかない表情でシルフィはダガーを下ろした。自分が最も尊敬する主人を害虫呼ばわりされ、シルフィは珍しく怒っている。


「ふん、中々やるようだな」

「・・・そちらこそ」

「ふん」


イツキは大剣に纏わせていた炎を消し、欠伸をしながら歩いていった。シルフィも観客席へと戻ることにした。









◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇







その後、全てのグループの試合が終わり、ローレリア魔闘祭一日目は終了した。


魔闘祭の間は多くの人々がそのまま王都へと戻り、屋台で食べ物を買ったり酒場で呑んだりする。


ジーク達も王都へと戻り、屋台で買った焼きそばなどをギルドに持ち寄って軽いパーティーを開いていた。


「いやー、全員二日目に進めてよかったな」

「ですね」


ジークの隣に座るシオンがとうもろこしにかじりつきながらこくりと頷いた。


「・・・」

「ん?どうしたシルフィ」

「いえ、なんでも」

「どうせ兄上に何か言われたのだろう?」

「ギクッ!」


シルフィの肩が面白いぐらい跳ねる。


「い、いえ、その・・・」

「どうせ兄上がジークの悪口でも言ったのだろう?」

「う・・・その通りです」


シルフィは俯いた。

主人であるジークにだけは、イツキが彼を《害虫》などと言ったことは知られたくなかったのだ。

もしこれで彼が傷ついてしまったら・・・。


「はははっ、妹大好き変態野郎にごちゃごちゃ言われなくねぇなぁ!!」

「ご、ご主人様?」

「シルフィが気にすることないんだぞ」

「ぁ・・・」


微笑みながら頭を撫でてくるジークを見て、シルフィは全ての思考が吹っ飛んだ。


そう、ご存知の通り、彼女は自分を救ってくれたジークにかなり惚れている。

もちろん周囲の人達はみんなそれに気づいているのだが、当のジークは全然惚れられてるとは思っていないのでシルフィが真っ赤になっている理由が分からない。


「お、おい、大丈夫か?風邪とか・・・」

「い、いえ、大丈夫・・・です」


心配そうに彼女の顔を覗き込むジーク。

それによりさらにシルフィは赤くなる。


(ふむ、鈍感すぎるというのもある意味恐ろしいな)

(・・・ですね)

(あはは、シオン嫉妬してる?)

(し、してませんっ!)


恐ろしや、天然乙女キラージークフリード。


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