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異世界ディヴェルティメント〜不幸少年のチート転生譚〜  作者: ろーたす
嫉妬の宴〜魔神が来たりて厄を呼ぶ〜
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番外編 魔界のアイドルレヴィたん

番外編その2、レヴィアタン編です。


一番気に入ってるキャラなんですよ、この子。


─────魔界。


それは《絶界の十二魔神》が支配するとんでもなく大きな大陸だ。海の上まで広がる超猛毒の霧に、そんな場所を飛び回る魔物達のせいで人間が訪れることは不可能な場所である。


なんで魔界に住んでるのに《絶界》の十二魔神なの?と思うかもしれませんが、気にしないでいただきたい。



魔神はそんな魔界を12に区切り、それぞれ一つ領土を持った。

現在アルターが死んだので一つ余っているのだが、魔界の中でも大きめな領土を持っている嫉妬の魔神レヴィアタンは、今日も暇潰しに山を消し飛ばしに向かっていた。











「レヴィ様、破壊しても生えてくるからといって、毎日毎日山を破壊するのは・・・」

「暇だもーん!」


笑いながらレヴィが魔法を放つ。


「あー、会いたいなぁ」


水が直撃すると、山は吹き飛んだ。


「誰にですか?」


キョトンとしているのは、嫉妬の魔神であるレヴィの世話をずっと昔からしてきた吸血鬼のキュラー。

かなりの実力者で、この領土内ではレヴィの次に強い。


「むふふー、誰だと思う?」

「っ!!」


ヘラっと笑ったレヴィを見て萌え、危うく倒れそうになったキュラーは、ぎりぎりで踏ん張った。


「だ、誰なのですか・・・?」

「ボクが誰に会いに行ったか分かるよね?」

「ええ、魔神アルターを抹殺したというあの────」


そこでキュラーはあることに気づいた。


以前主人であるレヴィは、とある男と戦うために魔界を出て、王国へと向かったのだ。


その男は、絶界の十二魔神の一人であるアルターを抹殺したという人間なのだが。


「まさか、ジークフリードという男ですか?」

「うん、あたりー!」

「あ、会いたいというのは、もう一度戦いたいということです・・・よね?」

「まあ、それもあるけど・・・」


レヴィはこれまで見たことがないような表情で遠くを見つめた。キュラーの中のロリコン魂が暴走しかける。


「ボクね、ジークと戦ってから、胸がドキドキするようになっちゃって・・・」

「ッ!?」

「緊張したけど一緒にお風呂にも入ったんだよ!」

「ッ!!??」

「何かジークって優しいし、面白いから。多分ボク、ジークのこと好きになっちゃったんだぁ」

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

「え、どしたの?」


キュラーは発狂した。



レヴィは魔界の中で一、二を争う美少女である。もうアイドル扱いされている。

当然彼女を可愛いと思う魔物や悪魔は超多い。



キュラーもレヴィを、ロリを愛する一人である。


そんな彼らが愛するアイドルは、王国に行ってからなにやら様子がおかしかった。

突然髪も肩ほどまでの短さに切ったり、突然おしゃれにも気を遣うようになったり。


それはつまり─────


「我々のレヴィ様がぁ!!人間にぃ!!恋をしただとぉぉぉ!?」

「ちょ、ほんとどうしたの?」

「殺す!!その人間、必ず殺す!!」

「何言ってんのさ!?」


レヴィが驚いてキュラーをはたいた。


「許せません!!きっとその人間はレヴィ様を洗脳しているのです!!」

「そうかもぉ。ボクもうジークのことばっかり考えちゃうようになってねー」

「許すまじ!!ジークフリードォォォォォ!!!」


にへにへ笑うレヴィの隣でキュラーは真っ暗な空に向かって叫んだ。









◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆








「あううう・・・」


この日、レヴィは自身が住む城の自室で寝転がり、そして悶えていた。


「会いたいよぉ・・・」


彼女の頭に浮かんでいるのはとある少年。

魔神アルターを倒した人間がいると聞いて、戦ってみた彼は、恐ろしく強かった。


レヴィが放てる最大の魔法を、パンチ一発で消し飛ばしたレベル。


それから彼の家に行き、とても美味しい料理を食べ、共に風呂に入った(ジークの意思関係なく)。


なんだかんだいって自分を受け入れてくれた彼に、魔神としては幼いこの少女は恋をしてしまったのだ。

恋をすれば魔神は変わる。


伸ばしっぱなしだった髪を切り、服も可愛いものを着るように心掛けている。


「勝手に行こっかなぁ・・・」


などと思うが、そんなことをしたらキュラー達に延々と怒られてしまうのだ。


「でも、会いたいし・・・」


彼に会えるのならば、別に何時間怒られようが耐えられる。


「よし、行こっと」


決めたらすぐ行動に移す。

レヴィは落ちてあった紙に走り書きすると、窓を開けて外に飛び出した。


「あー、楽しみっ!」


そして着地すると同時に地面を蹴り、ものすごいスピードで彼女は人間の大陸目指して駆け出すのだった。










『しばらく留守にするね!』

「レヴィ様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


何度読んでも返事をしない主人を不思議に思い、部屋に入ると置いてあった紙を見て、キュラーは叫んだ。


「おのれジークフリード!!我らのレヴィ様に手は出させんぞぉぉぉ!!!」



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