ずっと一緒に笑っていられますように
完結です!!
どうも、ジークフリードだ。
現在俺達は絶景が見られる温泉宿を訪れてる。まあ、もう温泉は堪能したし、夜になったから景色は見えなくなっちまったんだけど・・・相変わらず夜空は綺麗だ。
「・・・」
宿の屋根の上に寝転がり、星を眺める。今日の気温はかなり低いけど、最近魔力の調整が上手くいくようになってきて、今はエステリーナみたいに体温調節の炎魔法を使用してる。
まあ、これまでみたいに全属性の魔力を拳に纏わせるだけじゃなくて、自分の魔力をコントロールして、炎魔法だけ、水魔法だけって形で魔法を使えるようになったってことだ。
「こんな所で寝ていたら、風邪ひいちゃいますよ?」
そんな時、突然俺の横に銀髪の少女が現れた。多分転移魔法を使ったんだろう。
「まあ、魔法を使っているとは思いますが・・・」
そう言って少女が俺の隣に腰掛けた。
彼女はシオン・セレナーデ。俺がこの世界で最初に出会った人物であり、狭間の女神アルテリアスをも凌駕する圧倒的な力を持った時空神だ。
神域での戦いの後、時空神としての力は殆ど消えてしまったらしいけど、それでも魔神達と同じぐらいのステータスの高さという壊れっぷりである。
「とても大事な話があるそうですけど、どうしたんですか?」
「・・・まあ、告白の返事をしようかと思ってな」
「あら、ようやくですか」
シオンが笑う。
本当に長い間待たせてしまった。今日、自分の正直な気持ちを彼女に伝えないと・・・。
「ふふ、とても嬉しいです。でも、その前に少しお話しませんか?」
「話?いいけど・・・」
「早いものですね。ジークさんと出会った日から、今日で何日目でしょうか」
「うーん、わかんねー」
この世界に来てから何ヶ月経ったんだろ。全く数えてなかったからまじで分からんな。
「川に洗濯をしに行ったら人が倒れていたものですから。あの時はとても驚きましたよ」
「はは、ほんと助かったよ」
「そんな貴方が魔神を一撃で消し飛ばしたのを見た時は、夢でも見ているのかと思いましたし・・・」
「アルターか。あいつはダントツで弱かったしな」
そういやアルター四天王とかも居たな。全員雑魚だったけども。
「それから、王都に向かう途中でエステリーナさんに会って、馬車に乗せてもらえることになって・・・ふふっ」
「ん?どうしたんだよ」
「ジークさん、馬に思いっきり頭を踏まれてましたよね」
「ぐっ、あれは固有スキルのせいだ」
耐久高くなかったら死んでたぞあれ。てか、最近固有スキルが発動してんのか分からないよな。アスモデウスに真冬の海に落とされたり、1回死んだりはしたけど。
「それで、王都で家を購入してからジークさんはシルフィちゃんを連れて帰ってきましたね」
「そうだなぁ、あの時なんとなく奴隷市場を覗いて良かったよ」
この世界、奴隷とかいるのかよ。
そう思って足を踏み入れた奴隷市場。そこでやってた奴隷オークションでシルフィと出会ったんだったな。
「そういえば、奴隷市場が無くなるかもしれないって話、ジークさんは知っていますか?」
「え、まじで?」
「ジークさんとシルフィちゃんの関係を見て、王都の皆さんも色々と考えたそうです。それを知った国王様が、王国にある奴隷制度そのものを無くすかもしれないんですよ」
「へえ・・・って、なんでそんな事知ってんだ?」
「ふふ、時空神ですから」
「なんだそりゃ」
でも、なんか嬉しいな。
誰も悲しまない・・・そんな国になってほしいし。
「シルフィと出会った数日後に、あのアホが来たんだったな」
「レヴィさんですか。彼女が造り出した迷宮、とても危険でしたね」
「トラップ多すぎだったよな。急に上から鉄球落ちてきたりさぁ」
「それで、ジークさんが王都でレヴィさんと戦って・・・」
「あの時に初めて魔力を纏ってみたんだ」
レヴィが放ったとんでもない魔法を、俺の拳は一撃で消し飛ばした。あれから魔力を使うようになったんだっけ。
「魔闘祭も盛り上がったなぁ。俺、途中で激おこプンプン丸だったけど」
「エステリーナさんが連れ去られた事件ですか」
「誰だっけ・・・キンチョールみたいな名前の男が犯人だったな」
「ヴィラインでは・・・?」
「ええ?絶対キンチョールだって」
まあ、あのクズ野郎はどうでもいい。
「その後、魔神が二人も攻めて来た時はちょっとだけ焦った気がする」
「ベルフェゴールとサタンですね。でも、ジークさん無双してたじゃないですか」
「あいつらがいらん事をするからだ」
そういや、あの時にレヴィが嫉妬の魔力を完全に引き出せるようになったんだっけ。おかげで突進される度にちょっと痛いって思うようになったんだよなぁ。
「その次は・・・」
「どした?」
「あ、その、古代都市の事を思い出して・・・」
「あー、あったなぁ」
日本の街が出現したんだったな。あれ、リリスさんの仕業だったらしいぞ。
「連れ去られた私をジークさんが助けに来てくれて、どれだけ殴られても立ち上がってくれて・・・。あんなのを見たら、もっと惚れてしまっても仕方ないと思います」
「そ、そうか」
顔を赤らめながらそんな事言われたら照れる。
「あ、アスモデウスさんがやって来たときも結構な騒ぎになりましたよね!」
「アスモデウスか・・・確かミスコンの時だったな」
恥ずかしがりながらシオンが話題を変えてきた。アスモデウス初登場は、ある意味誰よりも印象に残ってる。
急にミスコンに乱入して、そのまま王都民全員を自分の魔法の支配下においたんだもんよ。
「いや、印象に残ってるっつったらルシフェルもだな・・・」
魔剣に身体を乗っ取られた状態の彼女に、最初は手も足も出なかった。一方的に攻撃されて死にかけて、それをシオン達が助けてくれたんだ。その後、魔界に行って無事に魔剣からルシフェルを救い出せた。
「ベルゼブブも大変でしたね。ジークさんったら、怒って山を消し飛ばしちゃったんですもの」
「うーん、そりゃ怒るわ」
ベルゼブブか。
最初はあいつの能力にかなり驚かされたけど、慣れたら大したことない相手だったよな。
「まあ、魔神の中で一番やばかったのはマンモンかな。まじで死ぬかと思ったし」
「私の力、運良く発動して良かったです」
「確か時間が止まったんだっけ?知らないところで色々助けられてるよなぁ、俺も」
俺の筋力、ルシフェルの敏捷、レヴィの魔力を奪い取って時間のステータスに上乗せしてきた魔神マンモン。ボコボコにされて死にかけた時、何故かマンモンは最後の一撃を放ってこなかった。あれはシオンの時空神としての力が無意識に放たれたかららしく、そのおかげで俺はマンモンに勝つ事が出来た。
「色々ありましたね、ほんとに」
「そうだな」
それからしばらく互いに黙り込んだ。
やばい、ちょっと緊張してきたぞ・・・。
「・・・」
ちらりと隣を見れば、少しだけ微笑みながら夜空を見上げるシオンの横顔が見えた。
黒髪はとても綺麗な銀髪になり、前よりも少し長くなっている。魔眼を隠していた眼帯も付けなくなり、黒く染まっていた右の瞳は蒼色に。
・・・本当に綺麗だ。
何ヶ月も一緒に過ごしてきたけど、それでも彼女を見る度にドキドキしてしまう。なんだよ俺、乙女かっつーの。
「・・・ジークさん」
「っ、なんだ?」
「覚悟は出来ました。告白の返事、聞かせてもらってもいいですか?」
「・・・ああ」
優しい笑みを浮かべるシオンの目を真っ直ぐ見つめる。この一言で、俺達の関係は大きく変わる。
これからを見据え、俺が言葉を発しようとしたその時、突然景色が切り替わった。
「っ!?」
「なんだ・・・?」
立ち上がって周囲を見渡す。先程まで居た旅館の屋根の上じゃない・・・どこか神域に似た場所だ。
「気をつけろ、シオン。なんか嫌な予感がする」
「は、はい。私もです」
『ハハハハハッ!ようやく会えたな、ジークフリードォ!!』
「ん?」
なんだ?
急に色んな声が重なったような声が聞こえたんだが。
『クックックッ、この時を待ちわびたぞ』
そんな声とともに視線の先の地面がヒビ割れ、そこから黒い何かが姿を現した。なんだろ、人・・・に見えなくもない。
『我々を覚えているか?』
「いや、知らん」
『ククッ、ならば教えてやろう』
・・・でかいな。
超ゴリゴリの人型の怪物・・・って感じだ。しかもこの魔力、まさかとは思うけど。
『魔神アルターから始まり、ベルフェゴール、サタン、ルシフェル、ベルゼブブ・・・ッ!!我々は貴様への憎しみを胸に、今一つになったのだ!!』
「・・・ふむ、つまり誰なわけ?」
『今言っただろうが!!貴様に殺された魔神達の怨念の集合体、それが此処に居る存在、《絶界ノ魔神》だ!!!』
「おい待て、それならルシフェルじゃなくてアビスカリバーだろうが。勝手になりすましてんじゃねえ」
「ジークさん、気を付けて下さい。この異形の存在、これまでの敵とはレベルが違いますよ」
シオンがそう言う。
うーん、時空神の力をフルに使っていた時のシオンより強い存在なんて居るんだろうか。確かにこいつ強そうだけど・・・。
「てか、ベルフェゴールは俺が殺したんじゃねーだろ」
『殆ど貴様に敗れたようなものだ。ククッ、魂だけの存在となった我々は、特殊な空間に満ちていたそれぞれの魔力を利用し、奇蹟的に存在を維持する事が出来た。そして一つの生命体となる事で、貴様を凌駕する最強の存在へと生まれ変わったのだ!!!』
「まさか、神域にたどり着いたというのですか?」
『さあな。何にせよ、此処で貴様は終わりだ、ジークフリード!!』
「まあまあ、一回落ち着いて深呼吸してみろよ。まだあんまりお前らについて理解出来てないんだ」
『死ねええええッ!!!』
・・・遅っ。
『─────は?』
「遅いぞお前」
俺の背後に回り込もうとしたんだろう。その前に魔神の腕を掴み、真下に叩きつけた。
『がはっ!?』
「あのなぁ、俺だって前より強くなってんだぞ?」
『ぐ、ククッ、ならば固有スキルで貴様のステータスを確認してやる!!』
「え、俺と同じスキル持ってんの?」
『・・・おい』
「なんだよ」
『なんだこのステータスは!!細工でもしているのか!?』
「してねーよ」
なんか言ってきたから、腕を振り回して遠くにぶん投げた。
ーーーーーーーーーーーーー
~ジークフリード~
★ステータス★
レベル:650
生命:9999
体力:9999
筋力:9999
耐久:9999
魔力:9999
魔攻:9999
魔防:9999
器用:5000
敏捷:9999
精神:3761
幸運:-2500
★固有スキル★
・滅力乱神
筋力を+8000する。
・全属性適性
全属性の魔力を扱えるようになる。
・状態異常無効化
全状態異常を無効化する。
・超不幸
幸運-2500
・能力透視
相手のステータスを見る事が出来る。
ーーーーーーーーーーーーーー
いやね、シオンと戦った後に滅茶苦茶レベル上がってたんよ。一応勝ったからレベルアップしたのか、アルテリアスの力を借りた時にステータスが跳ね上がったのか。
まあ、どっちでもいいか。
強くなれるのは嬉しい事だ。けど、このステータスの高さは最早バグとしか思えないんですけどね。
『ぬあああッ、ふざけやがってぇ!!!』
「お」
『消し飛べ、《天穿つ憤怒の鉄槌》!!!!』
とか思ってたら、目の前に魔神が跳んできた。そして魔力を纏わせた両腕を振り下ろしてくる・・・けど。
「ふんッ!!!」
俺も魔力を纏い、迫り来る巨大な拳を本気で殴った。その衝撃で相手の両腕が弾け飛ぶ。
『があああっ!?』
「綺麗な夜空の下で返事しようと思ってたのによぉ」
『ああッ?』
「邪魔すんなボケ!!」
怒りに染まった顔面を蹴りあげる。そして、猛スピードで上に吹っ飛びかけた魔神の脚を掴み、思いっきり地面に叩きつけた。
『ぐぬぅっ!!』
俺から離れた魔神は、即座に両腕を再生させ、膨大な魔力をその身から放ち始める。
『こちらも前とは比べ物にならんぞ!!』
「まだ立つか」
『《停滞する怠惰の領域》!!!』
魔神が解き放った魔力がこの空間の時の流れを遅くする。舞っていた砂埃も、近くに居たシオンの動きも。
「まあ、だからって感じだけど」
『は、はあ!?何故平然と歩いてくるのだ!!』
「知らん!!」
俺の動きは遅くならなかった。普通に歩いて魔神の前に立ち、驚いているキモい顔面をぶん殴る。何かが砕ける感触が手に伝わった直後、魔神は後方に吹っ飛んでいった。
『ガアアアアアッ!!《神をも喰らう暴食の口》!!!』
「それも当たらねーよ」
吹っ飛びながら禁忌魔法を使ってきやがった。とりあえずシオンを抱えてジャンプし、それを回避する。
「わりいなシオン。終わったらちゃんと返事をするから」
「は、はい」
しばらく落下し続け、危なげなく着地。顔が真っ赤になっているシオンを立たせてやり、俺は立ち上がろうとしている魔神の元へ向かった。
「まだやんの?」
『グッ、まだ負けてはいない・・・!』
「そうか」
頭を踏み付ける。衝撃で地面が砕け散ったが、それでも魔神は立ち上がろうと力を入れている。
「アルターは何してんだよ。あ、禁忌魔法とか使えないから融合しても大して意味なかった感じ?」
『きっさまぁぁぁぁ!!』
「うるせえ」
足を上げ、もう一度踏み付ける。
「俺だけならともかく、シオンまで巻き込みやがって」
『・・・そうか!』
「あ?」
『ぬがあっ!!』
急に魔神が俺の足から逃れ、シオンに向かって跳躍した。こいつ、まじでめんどくせえ。
「きゃあっ!?」
『ハハハハッ!!いいかジークフリード、其処から一歩でも動いたらこいつを殺すぞォッ!!』
魔神の身体から触手みたいなのが生え、それがシオンに絡みつく。ちょっとエロい・・・じゃなくてだな。
『残念だったなぁ。この勝負、我々の──────』
走って魔神の目の前に移動し、笑う顔面を殴り飛ばす。するとそシオンに絡み付いてる触手は全て消えた。
「我々の・・・なんだって?」
『この化け物がァァァァァァッ!!!』
まだ立つのかこいつ。
再生能力はこれまでのどの敵よりもずば抜けてるな。
『我々は最強へと至った筈なのだ!!なのに何故貴様如きに手も足も出ない!?』
「結局その程度ってことだろ」
『げぶあっ!?』
殴る。
その衝撃で魔神の顔面が弾け飛ぶ。
『シャアッ!!』
「しつこい」
『が────』
瞬きした瞬間に顔面は再生した。けど、すぐに殴って消し飛ばす。
『アアアアアッ!!』
「うるさい」
『死ねええええええ!!!』
「お前がな」
『このゴミめがああああ!!!!』
「誰がゴミだてめえ」
殴っては再生し、殴っては再生し・・・。それを一体何十回繰り返しただろうか。先に膝をついたのは魔神の方だった。
『はぁ、はぁ、何故・・・だ』
「もう立つな。お前の再生能力には驚きだけど、もうこの勝負は終わりだろ」
『まだ・・・だぁぁ!』
「お前を殺せば元の場所に戻れるのか?」
『まだ俺は負けていないのだぁぁ!!』
「聞けよおい」
もう防御もしてこない。
俺の放った蹴りは魔神の喉元に食い込み、血を吐いた魔神は仰向けに倒れ込んだ。
『が・・・ゲボッ!!』
「俺の勝ちだ」
『ぐぬああああッ!!!』
「ん・・・?」
気味の悪い魔力が空間を満たす。その直後、叫び声を上げながら魔神がゆらりと起き上がった。
『ならば全ての魔力を、俺達の怨念を!!貴様の身に刻み込んでくれるわァァッ!!!』
「じ、ジークさんっ!」
振り返れば、シオンが心配そうな表情で俺を見ていた。そんな彼女に俺は笑いかける。
「大丈夫、もう誰にも負けるつもりはないから」
『死ねええええッ、ジークフリードォォォッ!!!!』
魔力が解き放たれた。
どす黒いオーラが猛スピードで迫って来る。対して、俺は拳に全魔力を集中させた。
「死ぬのはお前だよ、魔神」
オーラと俺の拳が接触する。
決着は一瞬だった。黒いオーラはまるでガラスのように砕け散り、俺の魔力が魔神の身体を包み込む。
『アアアアアアア──────』
そして、魔神は魔力に呑まれて消し飛んだ。
もう二度と復活なんかすんじゃねえぞ、クソヤロー共。
「・・・あー、終わったぞ」
「お、お疲れ様です!」
敵の完全消滅を念入りに確認して振り返れば、シオンが駆け寄ってきた。
「まあ、思わぬ邪魔者が現れたけど、ちゃんと返事をしようと思う」
「は、はいっ!」
「・・・大丈夫か?」
「少しだけ待ってもらえますか・・・?」
「お、おう」
シオンが俺に背を向ける。そして深呼吸をし始めた。もしかして、緊張してるのかな・・・?
「お、お待たせしました」
「・・・」
「っ・・・」
再びこちらを向いたシオンの目を見つめる。
大丈夫、自分の気持ちを伝えるだけだ。
「多分、初めて見た時からだったんだと思う」
「え・・・」
「今、俺が一人の少女に対して抱いてる想いは、出会った時からずっと俺の心の中にあったんだ」
「ジークさん・・・」
「最初の頃はずっと無表情だったけど、最近はよく笑うようになってくれて、いつも俺達の為に頑張ってくれて・・・俺は、もう君無しじゃ生きていけないかもしれない」
景色が歪む。
多分元の場所に戻るんだろうけど、今はそんな事はどうでもいい。シオンも、黙って俺を見つめてきている。
そして、俺はずっと心に閉まっていた想いを打ち明けた。
「俺は、シオンの事が好きだ。これからもずっと、俺と一緒に居てくれ」
「っ・・・」
俺の言葉を聞き、シオンが目を見開く。そしてすぐに笑顔になり、目からは涙が零れ落ちた。
「ずっと、そう言って欲しかったんですよ・・・?」
「ごめんな、待たせちまって」
「本当に嬉しいですっ・・・」
そう言ってシオンが抱きついてくる。その瞬間に景色が変わり、気が付けば俺達は温泉宿の屋根の上に立っていた。
「で、でも、私はこれでも神様です・・・」
「うん」
「世界を滅ぼそうとしたり、ジークさんにいっぱい酷い事をしてしまいました・・・」
「そうだったっけ」
「そんな私でもいいのですか・・・?」
「ああ、もう離さないぞ」
こちらからもシオンを抱きしめる。
すると、彼女は嬉しそうに俺を見上げてきた。
「周りに可愛い子がいっぱい居るからって、浮気は駄目ですよ」
「し、しないって」
「ふふっ、私を一番愛してくれるのなら許可しますけど」
「それでもしません」
「そうですか、えへへへ・・・」
やばい、めちゃくちゃ可愛いんですけど。ずっとこうしていたい・・・そう思っちまう。
「・・・ジークさん」
「なんだ?」
「大好きですっ」
「俺もだ!」
シオンが見せてくれた満面の笑み。
この笑顔を守る為ならどんな事でもしよう。どれだけ強い敵が現れようと、絶対にシオンを守ってみせる。
これからも、ずっと一緒に笑っていられますように。
Fin
あ、どうも、アルテリアスです。
いやぁ、色んな可能性を見せつけられましたねー。早く元通りの身体を手に入れて、地上に遊びに行きたいなぁ・・・。
・・・実は、色々とやらかしちゃったリリスさんが責任を感じてるらしくてですね、無限に生み出せる魔力を毎日私に送ってくれてるんですよ。他人の魔力ですけど、おかげさまでそれを自分の魔力に変換して効率よく身体を再生出来てます。
あと何年かかるかは分かりませんが、とりあえずはゆっくり休むとしましょうか。
さて、ジークフリードさんが最終的にどのルートに進んだのかは分かりません。もしかしたら誰も選ばないルートも存在するかもしれませんし、ワンチャン私を選ぶルートもあるかも・・・え、無いですって?まあ、それは誰にも分からない事ですねー。
・・・よし、そろそろ眠りにつくとしましょう。
次に起きた時、世界はどうなっていることやら・・・。ふふ、また会える日を楽しみにしていますね。
───それでは、おやすみなさい。
はい、これにて異世界ディヴェルティメント、完結でございます。クリスマスにジークとシオンがくっついちゃいました。これから幸せに暮らせたらいいですねー。
それでは、これまで異世界ディヴェルティメントを読んでくださった皆様、本当にありがとうございました!
ろーたす




