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第百七十一話 暴食の領域 【アスモデウス】

突然だけど、今あたしはもの凄く焦っているわ。

何故なら、あたし以外誰も居なくなっちゃったから。こんな何が起こるか分からない場所で孤立しちゃうなんて、あたしもついてないわね。


「はぁ、何処行ったのよ、ジークフリード・・・うっ」


あたしとした事が、つい彼の名を口に出してしまったじゃない。うぅ、これが、こ、こ・・・こいをするということなのね。


でもどうしよう。

伝える事があるって本人に言っちゃったから、帰ったら・・・こ、くはくするつもりだけど・・・。


あーもう、しっかりするのよアスモデウス。

もういい加減認めなきゃ駄目なんだから。あたしがアイツを好きだってことを。


「って、今はそんな事考えてる場合じゃないわ」


とりあえず、ジークフリード達を捜さなきゃ。








ーーーーーーーーーーーーーーーーー







あれから結構歩き続けてるけど、誰も居ないんだけど。

ここ、そんなに広い場所なの?なんか帰れるかどうか不安になってきたわ。


「ちょっと、ジークフリード!居るなら返事しなさいよね!!」


返事無し・・・って、そこでアイツだけ呼ぶとか、どんだけアイツの事好きなのよあたしは・・・。


でも、ほんとに居ないのかしら。

レヴィアタンとかの悪戯じゃないでしょうね。


「フッフッフッ、どうやらお困りのようだね、美しいお嬢さん」

「あ?」

「迷子なのかい?ならばこの僕が案内してあげようか?」

「誰よあんた。ちょ、寄ってこないで」


突然出てきたこの吸血鬼、なんかグイグイ寄ってくるんですけど。レヴィアタンの部下もそうだけど、吸血鬼ってみんな変態なの?そういう変態の集まりなの?


「恐ろしい種族ね」

「何がだい?」

「ねえ、黒髪の人間見たりしてない?あとエルフの女の子とか、堕天使とか・・・」

「フッフッフッ、僕は見ていないよ。もしかしたら、その人達は今頃死んでいるかもしれないしね」

「・・・なるほど、そういうやつか」


こいつ、リリス姉の部下か何かかしら。

どうやらあたし達の事、ある程度知ってるみたいだし。


「僕はヴァン。暴食の魔神シーナ様によって形成された、暴食の魔兵団の大隊長さ」

「魔神シーナ?てことは、この先にあのボサボサ女が居るの?」

「ははっ、もしかしてシーナ様に会いに行くつもりかい?それは駄目だよ、君はここで僕と楽しいトークを繰り広げるのだからね」

「うるさい死ね」


あー、でも確かにあのボサボサ女に似た魔力が辺りに漂ってるわね。やっぱり、この先にボサボサ女が居るのかも。


「おいおい、僕を無視して行くのかい?」


うるさいうるさい。

とりあえずこの変態はスルーして行こう。


「そういう気の強いトコ、嫌いじゃないよ」

「・・・」

「だーかーら、無視しないでってば」


うわ、押し倒されたんですけど。

でも何でだろ、なんとも思わない。


これがジークフリードだったら・・・やばい、死ぬかも。


「おい、吸血鬼」

「なんだい?」

「今すぐあたしから離れろ。じゃないと殺すぞ」

「ヒィッ!?」


やっぱり、ジークフリード以外には魅力を感じない。


「あたしが誰だか知ってての愚行か?」

「も、ももももちろんさ」

「言え」

「な、何を────」

「あたしが誰だかさっさと言え」

「し、色欲の魔神、アスモデウス様ですッ!!」

「よろしい」


あーもう、服が汚れちゃったじゃない。

なんか土下座してるからこの吸血鬼は殺さないでおいてあげるけど・・・。


「ガハハハ、情けねえなあ大隊長さんよ!!」


このクマみたいなやつと、その後ろにいっぱい居る魔物達はどうしよう。


「ここから先へは行かせねえ!!女だからって容赦しねえぞぉ!!」

「ふーん、そう」


じゃあ殺しましょうか。


「出でよ、《絶望導ぜつぼうみちびななつの魔剣まけん》」

「むぅっ・・・!?」


あら、魔剣を召喚しただけで何を驚いてんのよ。


「ガハハハッ、少しは楽しめそうだな!!」

「実力差が分からない哀れなゴミみたいね、全員まとめて肉塊にしてあげるからかかって来なさい」

「殺れぇ─────ごが!?」

「・・・無様ね。どう?開始早々全身に魔剣を突き刺された気分は」

「ぎ、ぎさまぁぁ・・・」

「〝少しは楽しめそう〟・・・?何を言ってるのよ、〝少しも楽しめない〟の間違いでしょう?」


だって、楽しむ間も無く死に絶えるんだから。








ーーーーーーーーーーーーーーーーー








「な、なんと美しい・・・」

「ねえ、ほんとに気持ち悪いからついて来ないでくれる?」

「そう言われるのもなかなか・・・」

「・・・」


気持ち悪い。

あれから魔物の群れを全滅させて、あたしはボサボサ女を見つける為に歩き回ってるんだけど、変態がずっとついて来る。


あと二回気持ち悪いって思ったら殺そう。


「・・・あら?」


こんなとこに結界が張られてる・・・もしかして。


「ふふ、ようやく見つけたわ」


その結界を破ったら、さっきまでは見えなかったドーム状の何かが出てきたけど、多分迷宮ね。


しかも、この辺り一帯にあの女の魔力が満ち溢れてる。


「あ、ああ、見つけてしまったのか・・・」

「ん?」

「君は、シーナ様に殺される。今あの方は大変お腹を空かせていらっしゃるから・・・」

「ふん、残念だけど死ぬつもりはないわ」


帰ったら、絶対告白するんだから。

あれ、なんだっけ?この前ジークフリードに教わった・・・えーと、死亡ふらぐ?


そんなもの、へし折ってあげる。

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