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異世界ディヴェルティメント〜不幸少年のチート転生譚〜  作者: ろーたす
嫉妬の宴〜魔神が来たりて厄を呼ぶ〜
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第十六話 二人一組で進みましょう

「おーい、大丈夫か?」

「ぅ・・・ん」


俺が頬をぷにぷにすると、シオンはゆっくりと目を開けた。


「ジーク・・・さん?」

「怪我はないようだな」

「・・・はい」


シオンが起き上がるのを手伝ってやり、俺は周囲を見渡した。

そこにエステリーナとシルフィの姿は無い。


「ふ、2人は・・・?」

「はぐれちまったみたいだな」

「そんな・・・」


こんな危険なとこではぐれちまうとは。

エステリーナはかなり強いし、シルフィも中々成長したから無事だとは思うけど、心配だ。


「とりあえず先に進もう。奥を目指しながら2人を探すんだ」

「わ、分かりました」


と、俺達が先に進もうとした時、突然向こうの方から何かがこちらに向かって走ってきた。


「ん・・・?」


なんだありゃ・・・まて、まじでなんだあれは。

何とも説明しづらい奴が二匹こっちに来てる。そうだな、簡単に説明すると、デカいイルカに手足が生えてる・・・みたいな奴だ。


「ひっ、何ですかあの魔物は」

「フロアボスか?」


そう思って俺は迫り来る魔物をガン見した。




ーーーーーーーーーーーーー

◆◆WARNING WARNING◆◆

――――フロアボス――――

ーーーーーーーーーーーーー

〜キショ・ドルフィー♂〜


レベル50

生命:2800/2800


ーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーー

◆◆WARNING WARNING◆◆

――――フロアボス――――

ーーーーーーーーーーーーー

〜キショ・ドルフィー♀〜


レベル48

生命:2600/2600


ーーーーーーーーーーーーー




なんだこいつ気持ち悪っ!

♂とか♀とか表記しなくてもいいだろ。


「キショショショショショ!!」

「寄ってくんなぁ!!」


本気で気持ち悪いので、飛び掛かってきたキショ・ドルフィー♂を殴る。キショ・ドルフィー♂は天井にめり込んで死んだ。


「キショショショ!?」


♂を殺されたことに驚いたのか、♀が気持ち悪い声を発しながら動きを止めた。


「・・・私がやります」

「・・・あいつレベル48だぞ?」

「大丈夫です」


そう言ってシオンは右目の眼帯を外した。彼女の呪われた右目が顕になる。


「・・・」

「キショショショショ!!」

「・・・あなたにキショい・・・などと言われたくありません」

「いや、鳴き声でしょ・・・」


と、シオンがキショ・ドルフィー♀を睨みつけた時、ドルフィー♀は一瞬で石になった。どうやら3秒間目を合わせたようだ。


「《ウインドカッター》」


そして、上位石化したドルフィー♀は、シオンの初歩風魔法であっさりと粉々に砕かれた。

おそるべし、シオンさん。


「・・・あ」

「おお、レベル上がったな」


シオンの身体が光に包まれた。レベル48の魔物を倒したんだ。彼女のレベルだと結構上がったんじゃないか?

そう思って俺はシオンのステータスを覗き見た。



ーーーーーーーーーーーーー

~シオン・セレナーデ~


★ステータス★


レベル:27

生命:160

体力:69

筋力:34

耐久:54

魔力:215

魔攻:158

魔防:122

器用:260

敏捷:37

精神:117

幸運:36


★固有スキル★


・ハデスの魔眼

3秒間目を合わせた者を上位石化させる。


・風魔攻上昇

風魔法によるダメージを増加させる。


★装備★


魔導士のローブ強

革の靴強


ーーーーーーーーーーーーー



「おお、結構上がってんなぁ。おめでとう」

「はい、ありがとうございます」


流石はフロアボス。あんなにキモくても経験値はいっぱいくれるんだね。


「さて、ここが何層目なのかは分からんけどとりあえず進むか」

「気をつけていきましょう」


そして、少し早足で進み始めた時、


カチッ


「はぁ・・・」


天井が開いてそこから鉄球が落ちてきた。鉄球は俺の頭に直撃すると粉々に砕け散る。


「慎重に進もうぜ!」

「・・・はい」


この迷宮、罠多すぎな。









◇ ◇ ◇







「ちっ、ワラワラと・・・!」

「レベルもかなり高いようです」


その頃、エステリーナとシルフィは、現れた魔物の群れに取り囲まれていた。

水属性魔法を使用してくる魔物達を相手に火属性魔法使いのエステリーナはかなり苦戦している。


「くそっ!」


エステリーナが飛び掛かってきた魔物を斬り伏せながら表情を歪める。まさかこんなところでジーク達とはぐれてしまうとは。


「エステリーナさん、ここはお任せ下さい」

「む・・・」

「ご主人様のおかげで身に付けることが出来た技の数々、お見せしましょう」


次の瞬間、二人を取り囲んでいた魔物達の半分の首が落ちた。


「なっ・・・!」


恐らくシルフィが何かしたのだろう。

しかし、その速度は目で追えなかった。


「ギシェアアア!!」

「無駄です!」

「・・・?」


何かがキラリと光った。

その直後、魔物の身体から血が噴き出す。


「なるほど、糸か!」

「はい、まだ上手く扱う事は出来ておりませんが・・・」

「いや、助かる!」


ジークと出会ってから恐ろしい速度でレベルが上昇したシルフィ。もはやAクラスの迷宮の雑魚魔物達では相手にならなかった。





その後、着実に魔物を倒しながら二人は迷宮の最奥にたどり着いた。


明らかにこれまでとは違う雰囲気が漂っている。

二人は武器を構えた。


「・・・何もいませんね」

「いや、油断はするな」


いつ何処から敵が現れるか分からない。

油断は禁物だ。


と、二人が周囲を見渡していた時、


「あれ、関係ない人が先に来ちゃったか」

「ッ!!!!」


突然背後から聞こえた声。

エステリーナは全力で剣を振るった。


しかし、後ろには誰もいない。


「危ないなぁ、いきなりそれは失礼でしょ」

「なっ・・・!」


今度は正面から声が聞こえ、そちらに顔を向ける。


そこには、水色の髪を長く伸ばした少女が笑いながら立っていた。


「お、お前がこの迷宮のフロアボスか?」

「ん?まあ、そうかな」


そう言う少女から放たれる魔力は、二人がこれまで感じたことがない程恐ろしいもの。


まるで、全てを呑み込んでしまうかのような、そんな魔力。


「この迷宮はボクが造ったからね」

「な・・・んだと?」


エステリーナは目を見開いた。

確かに、この迷宮は突然現れた。それは、この少女が造り出したから・・・だというのか。


「・・・何者なんだ」

「あー、自己紹介が遅れたね」


そう言うと少女はにっこり笑ってこう言った。


「ボクはレヴィアタン。《絶界の十二魔神》で、魔神の中でも最強の力を持つ《七つの大罪》の一人。ちなみに司る罪は、嫉妬・・・だよ」


それを聞いた瞬間、エステリーナの中で何かが崩れた。


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