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第百五十二話 奪還作戦

「《魔力サーチ》!!」


次の日、俺とレヴィは再び壁の上に立ち、シオンの魔力を探っている。しかし前日と同様なかなか見つからない。


「うーん、もう王国には居ないのかな・・・」


もう何度目か分からない魔力サーチを終えたレヴィがそう言う。もしもリリスさん達が帝国とかに行ってたら、見つけ出すことがかなり難しくなってしまう。


「ジークさーん」

「んあ、ルシフェルか」

「どう?見つかりそう?」

「いや、全然」


ルシフェルが翼を羽ばたかせながら壁の上に着地する。


「ほんと、どこ行ったんだろうな・・・」

「ジークさん・・・」


おっと、笑顔笑顔・・・。


「意外と近くに居たりするかもね」

「うーん、じゃあ魔力サーチに引っかかるんじゃ・・・」

「まって、その可能性もあるかも」

「え?」


突然レヴィが立ち上がり、魔力を集め始める。


「ちょ、どうした?」

「それっ!!」


そして魔力を一気にに向かって放った。


「・・・いた」

「は?」

「シオンの魔力だ・・・見つけたよ!」

「ええっ!?」


どういうことだ?


「シオン達は、王都の下にいる」

「王都の・・・下?」

「広い空間があるんだよ。多分地下施設のもっと下」

「なるほど、そういうことか」


てことは、あいつらずっと俺達の下に居たってことか!

なんかちょっと腹立つんだが。


「ナイスルシフェル!おかげで見つかった」

「へあっ!?あ、ど、どうも」


ルシフェルの頭を撫で、俺は壁から飛び降りる。それに続いて二人も下に降りてきた。


「エステリーナ達にも伝えよう。出来るだけ直ぐにシオンを助けに行くぞ」







◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇






「なるほどな。でも、どうやってそこまで行くんだ?」


家に戻った俺は、エステリーナやイツキさんを呼び、シオン達が居る場所について説明した。

そしてエステリーナが言ったことだが、確かにそこまで行くにはどうすればいいのか。


「多分だけど、地下施設からさらに下に行ける道があると思うよ。無かったらぶっ壊して行けばいいよね」

「ああ、今回はそれに賛成だ」


やっと見つけたんだ。どんなことをしてでも、絶対シオンを取り返さないと。


「んじゃ、即興の作戦を説明するぞ。ここにいるメンバー全員で地下空間に侵入、そして立ち塞がる敵には一切容赦せずに奥まで進んでシオン奪還作戦だ」

「なるほど、素晴らしい作戦です」

「い、いや、それは作戦というのか・・・?」


エステリーナはちょっと呆れてるみたいだけど、シルフィはなんか目をキラキラさせてる。


「まあ、少人数で突入するというのは良い考えだと思うがな。敵に気付かれる確率も低くなる」


イツキさんがそう言う。


「しかし、お前達なら気付かれていないのにも関わらず、自ら殴りにいきそうだが」

「い、いやぁ、そんなことは・・・」


ないとも言いきれないけども。


「よーし、頑張っちゃうよー!」

「頼りにしてるぜ、レヴィ」

「うん!」

「貴様ァ、レヴィ様に触れるな!!」

「お前は全く頼りにしてない。俺達の盾になって死ね」

「なんだとぉ!?」

「うるせえ変態!!」

「け、喧嘩は駄目だよ」


ルシフェルに止められ、俺はキュラーから離れる。あいつ、後で絶対ジャイアントスイングしてやる。


「やっと、リリス姉に会える・・・」

「うお、アスモデウス・・・」


アスモデウスを見て、つい頬が熱くなる。


「あら、どうしたの?昨日のことを思い出して照れてるのかしら?」

「ぐっ・・・」

「あたしはもう一回してもいいんだけど」

「ど、どうしたんだアスモデウス!一体お前に何があったんだ!」

「折角勇気を出してみたのに、ほんと失礼なヤツね・・・」


そう言う彼女は顔が赤くなっている。なんでそんな恥ずかしくなるようなことをわざわざ言ったんだこいつは。


「ねえねえ、昨日のことってなにー?」

「私も気になります」


そして、話を聞いたらしいレヴィとシルフィが俺に詰め寄ってくる。


「だあーー!!こんなことしてる場合じゃねえっての!!とにかく、各自準備を済ませたらもう一度ここに集まってくれ、以上!!」


こうしてる間にも、リリスさんがシオンに変な事をしているかもしれない。俺は急いで準備をする為、自分の部屋に向かった。


いや、別に逃げたわけじゃないからね?








◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆






「・・・先程の魔力」


リリスが上を見上げながらそう呟く。

ここは王都の遥か下、見上げても空などは無いが、感じた魔力は上から放たれたものだ。


「ふっ、来るか・・・ジークフリード」


リリスが魔力を纏う。そしてある魔法を発動した。

至るところに黒い渦が出現し、そこから大量の魔物達が姿を現す。


「なあなあ、ウチも戦っていいん?」

「いや、衝撃でここが崩れる可能性もあるからやめておけ」

「まじかー」


そう言われ、魔神アンリカルナは残念そうに頬を掻く。


「もうすぐ思う存分暴れられる時は来る。その時を楽しみにしておくといい」

「あはは、そうやなー」

「ふふ・・・」


リリスが後ろを振り向く。


「う、あぐぁ・・・」


そして、黒い球体の中で苦しげに声を漏らすシオンを見て、彼女の口元は弧を描いた。

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