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第百四十二話 風呂って素晴らしい

「大丈夫ですか・・・!?」

「だ、だだだ大丈夫・・・」


家に着いた俺を出迎えてくれたのは、少し体調を崩していたシオンだ。どうやらある程度元気にはなったらしい。


よかったよかった・・・。


「ぶえっくしょい!!」


やばい、絶対風邪ひいた。

寒いのが苦手だというアスモデウスが手を離したことにより、俺は冬の海に落ちてしまった。まじ死ぬかと思った。

まあ、アスモデウスが運んでくれてたから、魔力を纏い忘れてたのも原因だな。


「え、貴女は・・・」


そんな時、シオンが俺の後ろを見て目を見開いた。

ああそうか、俺の後ろには・・・。


「まあ、いろいろあってな・・・」

「さ、寒いっ!早く中に入ってよ!」


そう言ってアスモデウスが背中を叩いてくる。俺の服は凍っているようで、叩かれた箇所がパキパキと音を立てた。


「と、とにかく中にお入りください」

「おう・・・」


やばいやばい、早く風呂に入ろう・・・。








◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇







「うおおおお!!風呂さいこぉぉぉぉ!!」


おっといけない、テンションが上がってしまった。あの後すぐに風呂に入った俺は、全身にお湯をかけてそう叫んだ。

冷えてるからめちゃくちゃ熱く感じるけど、今はそれすらも心地よい。


「はあぁ、叡智の結晶だなぁ風呂って・・・」


頭を洗い、身体を流して浴槽に浸かる。

ここまで風呂に入って感動したのは初めてかもしれない。


「あ、ここが浴槽ね」

「ん?」


そんな時、突然風呂の扉が開いて一人の少女が中に入ってきた。




───全裸で。




「なかなか広いじゃない。ふふっ、気に入ったわ」


そう言って少女は長く綺麗な桃色の髪をお湯で洗い流し始めた。俺はそんな彼女の後ろ姿をついガン見してしまう。


俺の家の風呂場は、家の割にやたらデカい。

だからだろうか、突然風呂場に現れた美少女・・・アスモデウスは、俺が居ることに全く気付いていないようだ。


「ふう、気持ちよかった」

「ッ・・・」


やがて、アスモデウスは満足そうに笑みを浮かべながらこっちを向いた。幸いなことに、彼女のやばいゾーンとかは手に持っているタオルでうまいこと隠れ、確認することは出来ない。けど、うん、胸は無いけど破壊力半端ないっす。


やべ、鼻血でてきた・・・。


「え゛」

「あ、いや、違うんすよ。俺の方が先に入ってたんすよ?」

「っ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」


浴槽に浸かる俺に気付いたアスモデウスの顔が、茹でダコの如く真っ赤に染まる。


「まあ、一つだけ言わせて欲しい」


アスモデウスが魔剣を召喚する。

それを見ながら、俺は鼻血を洗い流して親指を立てた。


「色々ありがとう」

「いやああああああッ!!!!」


数秒後、浴槽が消し飛んだ。








◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇







「レヴィアタン!!あんた今は誰も風呂に入ってないって言ってたじゃないッ!!」

「あっはっはっは!」

「なに笑ってんのよ!!」


あの後、とりあえず俺達は風呂から上がり、俺達よりも先に家に帰ってきていたレヴィの所に向かった。なんでもアスモデウス曰く、『今なら誰も風呂に入ってないから行ってきなよ』・・・とレヴィに言われたらしい。


けど、俺はレヴィに風呂に入ってくると伝えてあった。

つまり今回のお風呂場ラッキースケベ事件は、レヴィがわざとアスモデウスを風呂場に送り込んできたことで起こったというわけだ。


シオンとかに言っとけばよかった。多分トイレとかに行ってるとでも思われてたんだろう。


「はぁ、調子戻ったみたいだな」

「うん、心配かけてごめんね」


いつものように笑みを浮かべるレヴィ。

よかった、なんかレヴィって大人しいのは似合わないんだよな。


「あんたのせいであたしは・・・は、裸を見られたのに・・・!」

「ごめんごめん、面白そうだったからつい」

「アホかこのチビスケ!!」


アスモデウスがレヴィの頭を叩く。


「あのー、ジークさん」

「あい」

「どうしてアスモデウスさんがここに・・・?」


そんな時、実は居たシオンがそう聞いてきた。シルフィ達もそれを聞きたかったようで、少しだけ近寄ってくる。


「魔界でこいつが魔神に襲われてな。また襲われないようにこっちに来てもらった」

「また・・・ということは、結局その魔神を倒す事は出来なかったのか?」

「ああ、残念ながら」


エステリーナが少し驚いたような表情を浮かべる。


「ジークでも倒し切れなかったとは」

「なんつーか、転移魔法でにげられてな」

「実力ではジークの方が勝っていたのか?」

「いや、どうだろうな」


あの黒い球体を創った魔法・・・、あれがシーナの最大の魔法ってわけじゃ無さそうだし、ステータス確認出来なかったから俺よりも弱いのかは分からない。


「あ、それとな。レヴィを襲ったのはアンリカルナって奴だったんだろ?」

「え、うん」


レヴィが頷く。


「アスモデウスを襲ったのは、シーナって魔神だった」

「シーナ・・・まさか、シーナ・ファクトライン?」

「そう、そいつ。しかも《暴食》の魔神だった」

「そんな・・・」


新たに現れた敵。

シーナが言っていた〝あの方〟が誰なのかは分からないが、どういった勢力なのだろうか。

アンリカルナにシーナ、あの方に・・・もしかしたらレヴィに魔法をかけたっていうフードの人物。

その中に《怠惰》を司る魔神も居るかもしれない。


「まあ、今は分からない事だらけだ。とにかくアスモデウスはしばらくうちで匿いますってことで」

「了解です」


シオン達が頷く。よかった、受け入れてくれるみたいだ。


「あ、でも堂々と外を出歩くのはやめとけよ。お前、ミスコンに乱入してきた時に顔覚えられてるかもしれないし」

「う、分かってるわよ・・・」


懐かしいなぁ。乱入するなり禁忌魔法使ってきたのはいい思い出だ。


「その、シオン・セレナーデです。よろしくお願いします、アスモデウスさん」

「っ・・・」


そんなアスモデウスにシオンが手を差し出した。アスモデウスの方はどうしたらいいのか分からないらしく、焦りながら俺を見てくる。


「普通によろしくーでいいじゃないか」

「そ、そうね・・・よろしく」

「はい、こちらこそ」


二人が手を握り合う。するとエステリーナ達もアスモデウスに自己紹介し始めた。


うんうん、みんな仲良くしてやってくれ。

簡単な人物紹介


【女神アルテリアス】

・年齢不明

・身長165cm

・体重 いくつでしょう

・好きなもの、こと

地上観察

・嫌いなもの、こと

特になし

・魔法

全属性魔法、空間魔法

・初登場

プロローグ


地球とフォルティーナの狭間にある空間を管理する女神。ジークをフォルティーナに転生させた。最近の空間の歪みの発生頻度が高過ぎることから、何かが起きるかもしれないと警戒している。

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