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異世界ディヴェルティメント〜不幸少年のチート転生譚〜  作者: ろーたす
強欲を司りし男〜全てを奪う最後の大罪〜
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第百二十四話 魔神相手に本気の特訓

王都西ノルティア草原。

そこで俺はレヴィ、ルシフェルと向き合っている。


「遠慮はいらないからね、ジークさん!」

「よーっし、絶対勝つぞー!」


そう言って二人が魔力を纏う。やる気は十分みたいだな。


まず、どういう状況なのか説明しておこう。昨日、俺は突然レヴィとルシフェルから特訓に付き合ってくれと言われた。


内容は全力で二人の相手をするというもの。たまにはそういうのもいいかと思って引き受けたんだけど・・・。


「うーん・・・」


よくよく考えたら、相手は女の子。当然殴ったり蹴ったりすることは出来ない。

これ、普通に負ける気がするんですけど・・・。


「ご主人様、頑張ってください!」

「・・・応援してます」


ちなみにシオンとシルフィ、エステリーナも俺達の戦いを観戦するためにそこにいる。これで負けたら恥ずかしいよなぁ。


「んじゃ、そろそろやろっか」

「おう、いつでも来い」


とりあえず、二人の猛攻を凌ぎながらどうするか考えるとするか。


「いっくよーーー!!」


そんな声と共に、レヴィが魔力を集め始める。


「《バニッシュイレイザー》!!」


そして俺目掛けて一気に放ってきた。


「っと」


地面を抉りながら迫る魔法を回避し、二人に顔を向ける。

ちっ、ルシフェルがいない。


「後ろか」

「当たりっ!!」


相変わらず速いなこの子は。

漆黒の翼を羽ばたかせながら、背後からルシフェルが斬りかかってくる。


「《海王轟鎌ロアデスサイズ》!!」


ルシフェルの放った斬撃を躱した瞬間、今度はレヴィが水の鎌を振り下ろしてきた。その一撃は俺の服を切り裂くと、地面に突き刺さる。


「《神気功弾デバインカノン》!!」

「ぐっ!!」


さらにルシフェルの光魔法の直撃を受け、俺は吹っ飛んだ。


「ジーク、本気でやってよね」

「と言われましても・・・」

「なら、本気にさせてあげるよ!!」


そう言ってレヴィが魔法を唱える。


「《水牢ウォータープリズン》!!」


その直後、水が俺を包み込み、身動きがとれなくなった。


「はぁッ!!」

「ッ!!」


そしてそんな俺をルシフェルの聖剣が水牢ごと斬り裂く。今ので俺の頬が切れた。


「あ、うぁ、ごめんなさい!」

「気にすんな!」


一応本気の勝負だからな。このくらいならすぐ治る。


「《切り裂く水(ウォーターバイト)》!!」


などと思っていたら、レヴィの魔法が俺の肩を切り裂いた。うわぁ、痛ってぇ・・・。


「こんのッ!!」


流石にこのまま一方的にやられ続けるわけにはいかない。

俺はまずレヴィを狙った。


「《タイダルウェイブ》!!」

「だあっ!!」


レヴィが放った水の波に向かって魔力を纏った拳を突き出す。その衝撃でレヴィの魔法は弾け飛ぶ。

そして俺はレヴィに軽い拳骨を食らわした。


「痛いッ!!」


涙目で頭を押さえるこのリアクション、久しぶりにみたなぁ。


「やるね!」

「おっと」


頭を摩るレヴィを眺めていると、凄まじい速度でルシフェルが斬撃を放ってきた。それをギリギリで躱し、俺は縦横無尽に飛び回るルシフェルを目で追う。


ふむ、どうやって動きを止めようか。

レヴィと同じように拳骨するか?ルシフェルも涙目で頭を押さえるんだろうか。

・・・ちょっと見てみたいな。


「いやいやいや・・・」


あんまり女性に暴力を振るうというのは良くないと思うんですよね。レヴィにはやっちゃったけども。


「来ないならこっちからいくよ!」

「え、おう」

「《神速郷ゴッドスピード》!!」


次の瞬間、俺は宙を舞った。


「っ!?」


なんだ今のは。全身に衝撃が走ったのと同時に吹っ飛ばされた。多分斬られたんだと思うけど・・・。


「速すぎだろ」


まったく姿が見えない。風を切る音だけが周囲から聞こえてくる。


「っと!」


どうしようかと思っていたら、再び全身を斬り刻まれた。幸いなことに、高い耐久のおかげで俺は少ししかダメージは負っていない。


「うぅっ、硬すぎだよ」


そんな時、背後から声が聞こえた。

それに反応して俺は咄嗟に振り返って手を伸ばす。


「わっ!?」

「捕まえた」


俺の手はルシフェルの腕を掴んだ。よーし、これであのスピードで動くことは出来ないぞ。


「まだやるか?」

「うぅ・・・」


結構強く握ってるからルシフェルは俺から逃げる事が出来ない。それに彼女は今かなりの魔力を消費しているらしく、このままだと魔力が尽きてしまうだろう。


「ま、参りました・・・」


そう言ってルシフェルが座り込む。

ふむ、なんとか勝てたか。ちなみに二人のうちどちらかが降参したらこの勝負は終了ってルールだったんだけど、説明してませんでしたね。


「ジーク、痛いよ!」

「はいはい、痛いの痛いの飛んでけー」


駆け寄ってきたレヴィの頭を撫でてやる。すると彼女は満足そうに微笑んで抱きついてきた。


「痛くなくなった」

「そうでござんすか」


こいつ、撫でてもらうためにわざと大袈裟に痛がってやがったな。


「ふむ、凄まじい戦いだったな」

「お、ありがとう」


そんな時、向こうで勝負を眺めていたエステリーナがこっちに歩いてきた。そんな彼女から俺は水を受け取る。


「流石はご主人様ですっ!」


さらに、駆け寄ってきたシルフィがキラキラした目で見つめてくるから、俺の頬は自然と緩んだ。


「ま、俺にとってもいい特訓になったよ」


このレベルが二人も出てきた時、どうやって戦えばいいとか考えれたし、学ぶことはそれなりに多かった。


などと思っていた時。


「あれ、もしかして戦い終わった感じ?」

「っ!!!」


突然背後から感じた凄まじい魔力。

いつ接近されたのか分からずに俺は目を見開いた。


「だっはっは、お前がジークフリードだな?それにそっちに居るのはレヴィアタンにルシフェルか」


レヴィとルシフェルを知っている。そしてこの魔力。

それだけで俺達は理解した。


「お前・・・魔神か」

「おう、とりあえず今日は挨拶に来────」


何かを言い切る前に、俺は本気で男を殴り、その衝撃で地面が砕け散って砂塵が舞い上がった。



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