第百五話 出会うべくして
今日で初投稿から二ヶ月経ちました。
ストーリーは今で半分ぐらいかなー
何かがおかしい。それに気付いたのは、戦闘が始まって数分後だった。
魔神ベルゼブブはずっとレヴィやルシフェルの魔法を防ぎ続けているが、何故か防ぐ度に魔力が上昇している気がする。
「アハハハハッ!!楽しいなァァ!!」
「うっせえ変態野郎が!!」
全力で拳を振るうが、上手く躱される。こいつ、見た目とは違って戦闘慣れしてやがるな。
「くっ、なんで魔法が効かないの・・・!?」
そんな時、ルシフェルがそう言った。
魔法が効かない・・・?
そういえば、さっきからベルゼブブは二人の魔法をあの黒い腕みたいなやつで受け止めてたな。
「ステータス見てみるか」
こういう時に、この固有スキルは有難い。
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~暴食の魔神ベルゼブブ~
★ステータス★
レベル:370
生命:7000
体力:6000
筋力:7000
耐久:8000
魔力:9999
魔攻:7600
魔防:6000
器用:200
敏捷:5300
精神:400
幸運:170
★固有スキル★
・大暴食
飢餓の腕で喰らった生物、又は魔法を分解し、その魔力を一定時間自身の魔力、魔攻、魔防へと変換する。
★装備★
不明
不明
不明
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「うへぇ、バカ強いなおい」
全体的にステータスが高い。
そして、あの固有スキル・・・。
「レヴィ、ルシフェル、あいつの背中から生えてる黒い腕みたいなやつに魔法を当てると吸収されるぞ」
「え、どゆこと?」
「要するに、あの黒い腕に魔法を当てるとその度にベルゼブブは強くなるってことだと思う」
と言ったものの、『喰らった生物』とも表示されてるから、生身であれに触れるのもまずいな。
「うーん、最高だなぁ。けど、なんだかもっと美味しそうな気配が近くからするんだよねぇ・・・」
「あ?」
「ふむ、あそこかぁ─────」
突然ベルゼブブが向こうに向かって跳躍した。
「逃げるつもり!?」
「いや、違う・・・」
何をするつもりだ?
「とにかく追うぞ!!」
嫌な予感がする。俺は急いでベルゼブブのあとを追った。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「い、一体何が・・・」
激しい戦闘音が響く度に、家がグラグラと揺れる。
シルフィは主人が向かったのであろう場所を呆然と眺めていた。
「う、うぅ・・・」
頭が痛い。
王都を駆け巡るおぞましい魔力を、自分は何処かで感じたことがある。
「シルフィちゃん、大丈夫・・・?」
「大丈夫・・・です」
突然の事態にシオンは戸惑っていた。魔神襲来に加えて、シルフィの体調がどんどん悪くなっていく。
「魔神はジークさんがなんとかしてくれる。だから心配しないで・・・」
「それは─────」
次の瞬間、二人がいる部屋が崩壊した。
「ッ!?」
「うぁっ・・・」
勢いよく外に投げ出され、シオンとシルフィは地面に叩きつけられた。
「あぁ、やっと見つけたよ」
「ぇ────」
笑みを浮かべながら、倒れるシルフィを見下ろす黒い影。
「君、あの時の生き残りだよね?」
その一言で、シルフィはこの男が何者なのか理解した。それと同時に沸き上がってくるどす黒い感情。
「あな・・・たは・・・」
「久しぶりだねぇ、エルフ族の生き残りちゃん」
次々と〝あの時〟の光景がシルフィの頭に浮かんでいく。
「あ、ああぁぁ・・・」
燃え盛る炎、焼け落ちる家。逃げ惑う仲間達、それを喰らう─────
「ああそうだ。あの時、一番美味しそうだったのを一匹だけ見逃してやったんだ。成長したらどれだけ美味になるかと思ったからねぇ」
そう、シルフィの故郷を滅ぼしたのは、この魔神だった。
「それじゃ、早速いただきま────」
「させるかよ!!!」
殺意がシルフィの脳を埋め尽くしかけた時、突然ベルゼブブは吹っ飛んだ。そして現れたのは、シルフィの主人であるジークフリード。
「おい、大丈夫か二人共!!」
「私は大丈夫ですけど、シルフィちゃんが・・・」
「シルフィ、しっかりしろ!!」
血相を変えて駆け寄ってきたジークを見て、シルフィの心は僅かに落ち着く。
「ご主人様・・・様」
「てめえ、シルフィに何しやがった!!!」
そう言ってジークはベルゼブブに向かって跳躍した。
「なるほどねぇ、今は君のペットなのかな?」
「意味のわからんことをほざくな!!」
腕に魔力を纏い、ベルゼブブに拳を突き出す。しかし、それは彼の背後から伸びる黒い腕に受け止められた。
さらに纏っていた魔力が全て腕に吸収される。
「ちっ・・・!」
「うーん、メインディッシュの存在も確認出来たし、今日は一旦退こうかなぁ」
にたぁと笑みを浮かべ、ベルゼブブが何かを発動した。
「転移魔法か・・・!」
「さすがに君レベルに加えて魔神二人を相手にするのは面倒だからね。けど、近いうちに君達も僕が喰らってあげるよ」
「この、逃がすかよ!!」
「それじゃあね、ジークフリード君」
咄嗟にジークはベルゼブブを取り押さえようとしたが、僅かに遅かった。




