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俺は、何度も何度も告白した。
俺にエールを送り、前線を離れていった仲間達の分までっ!
様々なシチュエーションを考え、あらゆる手をつくして彼女にせまった。
しかし、連戦連敗。
散々振られ続けた俺は、最終的に某乙女ゲーム攻略キャラの告白をパクった。
すると彼女は見事撃沈。
只今同居中だ。
一緒に暮らしはじめて、彼女の生活を観察していると、日夜ゲーム、暇ありゃゲーム。
これで視力が両目1.0っていったいどういう事だろうか。
そんな彼女だが、ゲーム好きという点をのぞけば非常に素晴らしい女性だ。
誕生日には俺の好きなエビフライを作ってくれるし、仕事の愚痴も聞いてくれる。
家事はすべてやってくれるし、料理は美味しい。
俺のお願い事はさりげなく叶えてくれ、新作ゲームを買ってあげるとダイヤのネックレスをプレゼントした時の倍以上喜んでくれる。
だから俺は決めた。
彼女とならなんとか幸せな家庭を築いていける気がする!!
俺は新作ゲームをクリアするため家に引きこもる彼女を高級料理店に引っ張り出した。
はじめはしぶっていた彼女だが、イタリアンが口にあったらしく、今は俺に可憐な笑顔を見せてくれている。
万を時して、俺は婚約指輪を取り出した。
「リサ。俺と結婚してくれ!」
どうか神様
ゲームの神様……
この一言がリサのプレイ済み乙女ゲーム攻略キャラの台詞にかすっていますように!!
この際ゲームの神様にでも祈ってやる!
……わずかな沈黙が、とても長く感じた。
「いいよ」
弾かれたように顔をあげると彼女と目があった。
彼女は頬を染めてうつむく。
「先に……言われちゃったね」
!?
ゲームの神様ありがとおおおお!!!
俺の脳内には天使の大軍舞い降り、トランペットの音が響いた。
なんかいままでの苦労がアホみたいにあっさりだ!
「じゃ、さっそく帰ってやろっ!」
………は!?
いやいや、そういう事はいずれかあるとは思っていましたけれども、俺にも心の準備というものがっ……!
っというかリサ、いきなりそんな大胆なっ……!
リサは俺の手を取ると、手早く勘定を済ませ店から飛び出した。
彼女の振り向きざまの笑顔に俺は見惚れた。
食事後で少しグロスが剥がれた唇がゆるやかに言葉を紡ぐ。
「レイシア☆オンラインの新婚カップル限定アイテム授与期間、今日の十時までなのっ!」
「……へっ?」
まぁ、結局こうなるわけでして。
彼女に引きずられるようにして帰宅した俺は『レイシア☆オンライン』にログインし、リサの持ちキャラに結婚申請メッセージを送らされた。
リサと二人で結婚式のイベントを見たあと、新婚カップル限定装備品【ウェディングソード】がアイテムBOXに入っていた。
「これ欲しかったんだぁ!ありがとう龍司!」
……っ!
弱いな、俺も。
こんな笑顔を見せられたら文句も言えないじゃないか。