8-2
ジリリリリリ
素っ気ない目覚ましのアラームで、仕方なくベッドから這い出る。
歯を磨き朝食を食べ、学校の仕度をする。
「夢……だったのかな」
考えていても仕方がないので、とりあえず学校を出た。
「えっと、全員いるな。あ、いや。高槻がまたいないな」
どうやら事件のことは誰も知らないらしい。やっぱりあれは全て夢だったのか……。
「なあ、山。やっぱり高槻って……」
小さな声で近くの白山が耳打ちしてくる。俺もボリュームを最小限に抑えて話をする。
「やっぱり、そうなのか……」
その時、教室の扉が突然開いた。
「……ああ、松田か。そういえば居なかったな。危うく出席扱いするところだった……」
「あ、いや。先生。そのままでも構いませんよ」
教室にどっと笑いが起こる。
――なんだ。高槻じゃないのか。
「せんせー。おはようございます」
「おっ。高槻も来たか。あと五分早く来れるように起きろよ。後一回で遅刻指導だからな」
――え。
教室の入り口をもう一度見る。するとそこには確かに高槻の姿があった。
「高槻!!」
思わず大声を出してしまう。一瞬クラス中の注目が集まったが、すぐに座るとまた元に戻った。
「じゃあ次は……英語か。じゃ」
そういって先生が教室を出る。それとほぼ同時に高槻の机まで飛んでいく。
「生きてたのか……」
「は? 何言ってんだよ。今朝はなんか長い夢を見てたみたいで……。なんかあったのか?」
「――いや、なにも」
ここまでお付き合いしてくださった皆様、どうもありがとうございます。




