序章
いろいろひどいです。
――ここは、どこだ─―
目を覚ますと、そこは何もない空間が広がっていた。
「ふぉっふぉっふぉ…また会ったな、少年……」
そこには、真っ白なひげをたくわえた白髪の老人がいた。
「……だれ?」
「そうか、覚えていないか……。まあ、それも仕方ないか。わしと君とは深い関係で結ばれているのだよ。そう、君は昔、まだ君が幼い頃にわしの力が君の中に入ってしまったのだ」
「ちか、ら……」
その言葉を聞いたときに、何かが頭の中に入ってきた。
「はっ! あ、あなたはあの時の……じゃあ、あれは夢じゃなかったのか…」
☆★☆★☆
かつて、まだ彼が小学生だったときのことだ。近所の公園に遊びに行ったときにその老人と遭遇した。
老人はたいそう弱っていて、そのとき持ち合わせていたパンの耳を老人に与えた。
そのとき、お礼としておまじないをかけてもらった。
「これは、きっといつか君の役に立つであろう……」
気が付いたら、そこにいたはずの老人はいなくなっていた…
☆★☆★☆
「じゃあ、あの時もらったあれが……」
少年は確信した。あの時のものが、いまこの老人が言っているものであると。
さらに少年は思考を加速させる。
こんなことができるのは本当に人間か?それとも、人間ではないもの……。
「あなたは、まさか…………」
「君はとても賢い子だね。ご名答。わしはこの世界の……神じゃ!!」
神。それはどの世界でも絶対的な力を持つと言われる存在である事は、まず間違いないだろう。
この、何もない空間にいる少年――山中勝は、今、神と名乗る老人と対面している。
「……いま私がここにいるのは非常に緊急の出来事なのだよ。話すと長くなる。だから、時の流れが遅いこの空間での接触を図ったのだよ。……君は、この世界の事をどこまで知っている?……いや、知っているはずがないか。君は、この世界が何もない普通の世界だと思っているだろうが、実は、この世界は他のどの世界よりも、魔界に近い位置にある――」
神がそこまで言ったところで山中は自分の疑問点をぶつける。
「ちょ、ちょっと待ってくれ! この世界って、どう言う意味だ!?」
「それは、この世界、君が住んでいるこの世界以外にも、いくつもの世界が存在していると言う事さ。その総数はもはや数では表す事は不可能であろう。しかし、魔界、すなわち暗黒に染まりし闇の根源たる世界はたった一つ。そこで魔王と呼ばれるひときわ大きな魔力を持った魔物――モンスターが生まれる。そうしょっちゅう魔王が現れるわけでもないが、つい先日、今まででもかなり強い魔力を持った魔王が誕生した。一応私も神だ。他の世界の神々と共に魔王を倒すべくして魔界へと乗り込んだ。……しかし、そこにいたのは今までの比ではない! 奴は恐るべき魔力を持っていた! そして我々はやられ、現在に至る……。私達の存在は現在魔王に封じられている。今は何とか魂だけを君に飛ばしているのが……そう長くも持たない。仲間を、他の勇者を捜して、魔王を倒し、世界を救うんじゃ! 君が素質があると見込んだ物ならば、君が力を与える権利がある。しかし、それが許されるのは三人までじゃ。よく考えてくれ。……うっ! もう時間のようじゃ……。では世界を、任せた……」
とりあえず序章です。文化祭が終わった後、そのうち最後まで一気に行きます。
9月30日12時から一時間ごとに投稿されます。