ひとりごと。
出会い系。
世間にその呼び名がたいして広まっていないころ、私は、十数人の人間と出会い体を重ねた。
来るもの拒まず。相手にとってはただの都合のいい女なのだろう。
でも私にはそうすることでしか、相手を見つけることができなかった。
「浮気ってのは、ばれなきゃ浮気にはならない」
誰かがいっていた。
高校を卒業して上京し、就職をした。会社の新人研修で90パーセントが社内結婚だと聞かされ、絶対にそれには入らないと心に決めた。人見知りの激しい私は、5日間くらいの研修でも輪に溶け込むことが出来ず、好きかも…なんて思う相手もいたが、何事もなくあっという間に終わってしまった。
その後、寮に入ってもなかなかなじめず、同室の子にあきれられるくらいだった(といっても後で聞いた話なのだが)。
高校卒業してからようやく買ってもらった携帯。一人でいてはいつもそれをいじっていた。もともと人付き合いが得意ではないし、一人でいるのには慣れていた。今更寂しいなんて思わなかった。
私はそのへんの人とは違うんだ。何のとりえもないくせに勝手な意地をはっていたのだろう。
そんな時、たまたま見つけた出会い系サイト。おもしろ半分で掲示板に書き込みをする。
−18歳。ステキな出会いを探してます。メールから仲良くなれたらいいな−
そんな単純な内容でも、すごい数の返信がくる。ある程度内容を確認し、数人に返す。
ヒトリゴトを言いながら、喜んで。(はたから見たらおかしな女だ、と思う。)
数日後、
−今度、あそぼうよ−
入ってきたメールに何も考えず、
−いいよ。いつにする?−
喜んで返事をする。それが人生初めての彼氏。しかしその彼とは、中距離恋愛(私はそう呼んでいる)。1時間はかかる場所に住んでいて、休みも合わない。親の都合で1ヶ月も日本にいない。それでもいつも会いに来てくれて、国際電話もかけてきてくれた。優しい人なワケでもなかったが、今思えば好きでいてくれたのだと思う。けれども私は自分からは何も行動を起こそうとはしなかった。行動を起こしたといえば、相変わらず出会い系サイトでいろんなヒトと出会い、遊んでいたことぐらいだ。
でも正直、彼のコトはかなり好みだった。なのに、だからこそ、変わり者の私はかわいい素振りなんてほとんど見せれなかった。数ヶ月で別れを告げた彼の言葉は
「女といる気がしない」
未だに忘れられない。ちょっとだけ、反省した。でも、涙はでなかった。
初彼と会えない間、何度も遊んでいた相手がいた。今でもたまにメールする。まだ未練があるのかもしれない。そう思えるヒトだ。付き合う、そのことの意味を考えさせるようになったのもその人だ。型にはまるのが嫌だ。といい、恋人同士とはならなかったが、今までの人生の中で、私が最も愛した人、といえるのかもしれない。色んなコトを教えてもらい、その頃にはかわいい素振りも見せれるようになっていた。けれども私は、
「友達と遊ぶ」といっては
他のヒトと遊んでいた。一人の人に傾きすぎていた自分の気持ちが怖かった。
そして、誕生日直前に振られた。
「友達の方が大事なんだろ」
自分が招いたこととはいえ、ショックだった。本気で泣いた。自分のアホさ加減にあきれた。
そんなさみしさを紛らわすため、私はまた出会い系サイトに書き込みをする。
そして何人もの人と出会い、別れをくりかえし、今に至る。
現在、24歳。
21歳の時、出会い系サイトで出会った旦那と結婚し、子供もいる。
当初の目的は達成できた。
好みのタイプからはかけ離れている。
それでも、幸せなのかもしれない。
それなりに愛しているのだと思う。
出会い系には興味もない、めんどくさい。
単なる浮気と不倫は別物。
それだけの理由なのかもしれないが。
後悔はしていない。
やっぱり変わり者なのかもしれないが、ある程度のイケメンと出会い、楽しんだ。
遊ばれていたとしてもお互い様。こんな人生も悪くない。今の私があるのだから。