第7話 選択肢はどこまでも
クラウスにとって、運命の岐路がやってきた。
そう。遂に、念願の――では全く無いが、災厄の魔物退治へと乗り出したのである。
皇帝に丁重に頭を下げ、「必ずや勝利をもぎ取ってまいります」とセスリーン達と告げて出発し、三日かけて遺跡の近くまで移動した。
その間、ベンドーをはじめとする貴族騎士がクラウスにちょっかいを出そうとしてきたが、そのたびに絶妙なタイミングでセスリーンやランバートが顔を出しにきてくれた。
実は、「面倒なんです」と出発前に相談していたのだ。
そうしたら、「ああ、あいつらな」と分かった風に聞き入れてくれた。
二人も噂は知っていたし、何とかしたいと思っていたそうだ。しかし、決定的な場面を見ていなかったせいで、口出しが出来なかったのだということだった。それだけ狡猾にいじめていたのだと、クラウスも呆れたくらいである。
ベンドーを筆頭に、団長と副団長に妙に気に入られてるのを知り、更にクラウスに対して嫉妬や憎悪の炎を燃やしていたが。
「クラウスはいずれ、片腕として働いてもらうつもりなんだ」
セスリーンがとても、とても、とても、にこやかに。クラウスの肩を叩きながら全員に通達してくれたおかげで、目に見えるほどに手を出してくる騎士達は減った。ベンドーが悪あがきをしていたが、どれも二人に潰されていた。見事としか言いようがない。
そうして、道中を非常に和やかに進め、無事に目的に辿り着いたわけである。
久々にクラウスが見た遺跡は、無残なほどに崩壊していた。
かつては短くも瑞々しい草原が広がる場所に、その遺跡は存在していた。
魔物が現れるまでは、遺跡とはいえある程度の建築物として様相を誇っていた。石造りの重厚な建物はかつての城を想像させるほどに美しく、その建物の奥には薄暗いながらもしっかりとした地下室が発見されており、考古学の研究者達が嬉々として調査をしていた場所だ。
それが今では、ほぼ全てが踏み潰された様に崩れ、砕けている。
草木は見る影もなく荒れ果てた大地と化し、建物の残骸だった石材の欠片は今や粉々であった。半ばで折れた女神の様な彫像が、かつてそこは遺跡だったのだと辛うじて告げてくる。その彫像の顔が泣いている様に映ったのは、クラウスの気のせいではないだろう。
そして、かつて遺跡だったど真ん中では、のんきに尻尾を丸めて眠っている魔物の姿があった。
狼の様な耳を頭に付け、巨大な体躯はふさふさの毛で守られている。不釣り合いなほど長い長い尻尾を巻き付け、クラウス達に気付いているのかいないのか、のんびりと欠伸までしていた。
大きさは、それこそ威厳だけは無駄に振りまいている帝国の王城並の大きさであった。
しかも、伝わってくる魔力の波動も相当だ。びりびりと、少し離れた丘の上にいるはずなのに、切れる様な凶暴さで伝わってくる。
何度も何度も、クラウスが対峙してきた魔物。
それを今、再び目にしている。
今度は、なるべく多くの者達と共に生還したい。嫌な騎士達も多いが、あの凄惨な地獄を何度も目にしている以上、死んで欲しいとまではどうしても思えなかった。
「いいか。これから戦う魔物は、今までの小物とは訳が違う。一瞬でも気を抜けば、その巨大な爪に体を裂かれ、吐き出す光の息吹によって蒸発してしまうだろう。それくらい危険な魔物だ。……実際、斥候に出て下手を踏んだ騎士が、跡形もなく蒸発したという報告を受けている」
セスリーンの説明に、騎士達が一斉に静まり返る。
誰もが、災厄の魔物については知っていた。禁忌とされていても、人の口に戸は立てられない。加えて、数年前に別の国で現れたという災厄の魔物の甚大なる被害も、旅人達や吟遊詩人によって語られている。
楽観視をしている者は、誰もいない。その緊張具合が、騎士達の横顔からはひしひしと痺れる様に伝わってきた。
「足の引っ張り合いをすれば、引っ張られた者だけではなく、引っ張った者の命も消えるだろう。そのことを肝に銘じ、改めて作戦に臨んでもらいたい」
セスリーンの言葉に、誰もが神妙な顔で頷いた。ベンドーでさえ殊勝な顔をしている。
彼は身分差別思考は強いが、騎士という職には誇りを持っているらしい。今までの人生でも、意外にも任務には忠実で、下手をやらかした騎士達の尻拭いを率先して買っていたのはよく覚えている。そこだけは、クラウスも認めていた。
騎士達は大量の水や音、防御の魔法玉を。騎士の中でも魔法寄りの者達は、杖の状態を確認している。
ほぼ魔法使い寄りの騎士以外は、最初は全員魔法玉を使い、魔力は温存しておく作戦だ。前世までの戦況を鑑みても、大技を放たれた時は防御や回復に大量に魔法を使うことになるからだ。
その進言をしたところ、セスリーン達には二つ返事で認められた。つくづく思うが、あの二人はクラウスに甘すぎる。大丈夫だろうかと心配になるくらいだった。
クラウスが状況を確認している合間にも、騎士達の用意は整った様だ。
全員の顔を見渡し、セスリーンは、よし、と笑顔で頷く。
「――行くぞ! 我らの手で、歴史的な勝利を掴み、国を――君達の大切な者達を守れ!」
「――はっ!」
全員が唱和し、一斉に構える。
スリングショットを少し大きくしたものに、魔法玉をセットする。
魔法で素材を強くしたスリングショットのゴムは特製のものだ。クラウス達魔法を使える者で、必死に魔力を注いだ結果である。いくら魔法玉を撃ちまくっても壊れず、遥か遠くにまで届く様に改良された優れものだ。いつかの人生で、如何にして強く、弾力があり、更には劣化しにくいものを発明するかと、研究していたことがあったからこそ応用出来たものだ。
魔法を使わなければ辿り着けなかった境地だが、おかげで今の人生に役立っている。
発案は、副団長ということにしてもらった。クラウスだと公表されれば、確実に面倒だからである。下手な因縁は付けられたくない。
おかげで、セスリーンとランバートにはますます興味を持たれてしまったが、今はなりふり構っている暇はなかった。
それだけ、今回の魔物は人生初っ端から一番の難関だからである。
全員が構えたことを確認し。
ランバートが、振り上げた腕を振り下ろす。
「――撃てっ‼」
びんっ! と、跳ねる様な音が一斉に飛んで行く。
そして。
「ぐあおおおおおおおおおあああああああおおおおおおおおおおおおっ‼」
ばしゃあっと、魔法玉が大量に魔物に当たって、滝の様に弾けて降り注いだ。
その途端、魔物が空気を裂く様に咆哮を轟かせる。あまりに叫び狂う大音量に、瞬間的に騎士達の大半が竦み上がった。
だが、流石は騎士達と言うべきか。
「怯むな! 撃て! 撃ち続けろ! あいつに暇を与えるな!」
ランバートの大呼に、騎士達がすぐに魔法玉を番える。魔法を扱える者は空間魔法から、使えない者はぱんぱんに詰め込んだカバンから魔法玉を取り出し、次々とスリングショットで発射する。水魔法が得意な魔法使いはもちろん、魔法を扱える騎士も回復魔法のための魔力を温存する計算をしながら勢い良く発射していた。
金属音を大量に詰め込んだ魔法玉と、水を限界まで吸い込ませた魔法玉を次々と食らい、魔物が顔と尻尾を振り回して鳴き喚く。巨体が揺れ動くたびに、地震の如く大地が震えたが、騎士達は踏ん張って攻撃を続ける。
三万人が一斉に攻撃して、ようやっと魔物にダメージを与えられる。
前の人生では、よく生き延びられた。クラウスはつくづく思う。無策のまま突っ込んで、運よく生き残った百人に入るなど、奇跡以外の何物でもない。
だが、やはり弱点を突くというのは効果がある。かつての人生で、ここまで魔物が追い詰められたことはない。
「……思った以上に効いているようだな。クラウスの話に乗って良かった」
「俺も、よく順調に来ていると思います」
「だが、正念場はここからだ。まだ決定打は与えられていない。……隙を見て、何とか一太刀浴びせたいところだな」
今は巨体をぶるんぶるん振るっていて、狙いが定まらない。
セスリーンやランバートの腕なら、魔法で弱っている今、あの魔物の体に傷を付けることが可能だ。何なら、あの目を刺しても良い。
クラウスも属性の得意不得意は変わらなかったが、今までの人生で魔法は色々修めている。
もし、大技が使えるチャンスが来たなら、セスリーン達の攻撃の援護をするつもりだ。他の騎士達に色々驚かれるだろうが、背に腹は代えられない。
「隙は、必ず現れます。魔法玉もまだまだストックは山の様にあります。狙いましょう」
「ああ」
「よっし。オレもどんどん撃つかあ! ……一人でも多く生き残って帰るためにも、踏ん張りどころだな!」
ランバートが号令をかけながら、己もばんばん魔法玉を撃っていく。彼は主に音の魔法玉を担当だ。流石は副団長なだけあって、狙いが正確だ。他の騎士達とは違い、一発で耳元で破裂させている。
そのたびに、ぐお、ぎゃああ、と魔物が暴れんばかりに絶叫し、硬直していた。
だが、懸念していた通り、魔物はやられっぱなしでは終わらなかった。
「――っ」
警戒しているクラウスの視界に、ちかっと光るものが現れた。
一瞬だった。
だが、それをクラウスは決して見逃すことは無い。
「――団長! 魔物が息吹を吐きます! 防御魔法を展開して下さい!」
「分かった! ――総員! 全員防御を張れ! 全力だ!」
「はっ!」
クラウスの言葉を疑うことなく、セスリーンが指示を飛ばす。
その指示通り、騎士全員が防御の魔法玉を取り出したり、防御魔法を張る。クラウスも溜め込んでいた防御の魔法玉を何個もぐしゃっと潰しながら、自身も必死に防御魔法を展開した。
直後。
ごっ! と、全てを消し飛ばす様な轟音が眼前でぶつかり合った。
防御魔法が、金切り声の様な悲鳴を上げながらも必死に攻撃を受け止める。受け止めながら端の方へと流し、何とか全てを受け切った。
しかし。
――何人か、衝撃波を受けて後方に吹っ飛んだな。
そのまま体を強く打って、しばらく動けない者も出ている。
攻撃は終わったというのに、びりびりと空気が震える様に逆立っていた。
目の前に迫ってきた光の息吹は、あっという間に小さな人間を飲み込むほどの圧倒的な威力があった。
そう。この灼熱の光の息吹こそ、魔物の最大の武器。
全てを跡形もなく蒸発させるほどの、熾烈な熱。溶岩に飲み込まれるよりも一瞬で終わりそうな熱量を目の当たりにし、騎士達の大半が震え上がった。
そんな隙を、魔物が見逃すはずがない。
びゅびゅっと、尻尾の先が空中で不穏に揺れる。
「――っ! くそっ!」
クラウスが音の魔法玉を番え、二つほど目にも留まらぬ速さで飛ばす。
ジャーッンッ! と爆発的な音が魔物の両耳で弾けると、尻尾や爪で攻撃しようとしていた動きがびくっと跳ねて止まった。
それを見て、もう二つほど魔法玉を飛ばしながら、クラウスは檄を飛ばす。
「みんな、見ろ! あいつは無敵じゃない! ちゃんと弱点がある!」
「……っ!」
「今までも、水や音の攻撃が効いていただろ! 大丈夫だ! ――あいつは! 倒せる! どれだけ致死級の攻撃がこようと、当たらなければ! どうってことはない!」
大変酷い屁理屈だ。
その、当たらない様にすること自体が大変なのだが、もっともらしく胸を張ってクラウスは叫ぶ。もはや、それ以外に思いつかなかったからだ。
そして、効果はあった。
「――そうだ! てめえら、しっかりしろ! こんな平民風情でさえ頑張ってるってのに、オレら貴族が震え上がってどうする!」
ベンドーが、水の魔法玉を投げつけながら発破をかける。言っている内容は最低だったが、今はどうでも良い。
それはセスリーン達も同じだったのだろう。今は、生き抜いて勝つことだけを念頭に叫んでいた。
「勝利は我らにあり! 必ず! 勝てる!」
「踏ん張れっ! お前達なら出来る! オレも……行くぜ!」
ランバートが地面を蹴って、魔物の懐へと飛び込む。そのまま、魔物の爪の一つに思い切り短剣を突き立てた。
すぐにまた地面を蹴り飛ばして離れると、魔物が刺された手ごとどったんばったんと荒れ狂う。巻き込まれない様に逃げるランバートは、尋常ならざる技術のセンスの持ち主だ。
選択肢を意識していない時は、こんなに勇ましい戦い方をしていたとは知らなかった。あまりに頼もしすぎる。
クラウスに出来ることは、このランバートやセスリーンを、魔物の懐へ届けることだけだ。
「――よしっ」
水と音の乱舞に魔物が翻弄される中、クラウスは更に尻尾を狙う。先程から、天にも届きそうな尻尾がばしん、どしん、と地面を無作為に叩いて足元が安定しないからだ。
本当は尻尾を切り飛ばしたいのだが、かなり分厚く、並大抵の刃物では斬れなかったと記憶している。あの、あっという間に魔物の隙を突いて懐に入ったランバートも、爪を短剣で刺したくらいだ。今の状態では、切り飛ばすのは至難の業ということだろう。
ならば。
「――凍れっ!」
クラウスは、セスリーンやランバート、そして他数名のみしか知らない秘密兵器を解き放った。冷気を存分に込めた魔法玉を、勢い良く魔物に向かって撃ち放つ。
尻尾は無作為に地面を跳ねていて狙いが定まりにくいが、ならば広範囲で解き放てば良い。下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるの、広範囲バージョンである。
クラウスの作戦は、半分ほど成功した。尻尾が、びきびきっと、付け根から半分まで見事に凍り付いたのだ。
「ぐううううううううううううううおおおおおおおおおおおおおおおっ‼」
魔物が、咆哮を上げて仰け反る。
水が嫌いな魔物だ。その水を凍らせた氷だって嫌いなわけである。
凍り付いた半分は魔物にとって重いのか、動きが格段に鈍くなった。
ただ、このクラウスが使った氷魔法には欠点がある。
「……クラウス。てめえ、氷魔法も使えたのか」
「ええ。ただ、……一日使い物にならなくなりますけどね、俺が」
ベンドーが割と驚いた様に聞いてきたのには、クラウスが疲れた様に応える。
魔法は、基本的に適性が無ければ使えない。
ただ、それでも使える方法はあるにはある。簡単に言えば、適性のある属性の魔法を、適性の無い属性に転換させれば良いのだ。
無茶苦茶な使い方ではあるが、一応可能だ。魔法は、己の魔力を使って適性のある属性の魔法を作り出して使うものだからだ。つまり、無から有を生み出しているのである。
しかし、これは非常に繊細な技術を必要とするもので、一度使えば短くて半日、長ければ一日は寝込むのである。
しかも、魔法を扱える全員がその方法を使えるわけでもない。使えない者の方が一般的なのである。
そして、水と氷。同じ属性ではあるのだが、魔法の分野ではきっちり別物として分かれている。そして、クラウスは水の適性はあったが、氷の適性はまるで無かった。氷属性は割と特殊で、この戦地に駆り出される騎士の中には、誰一人として適性を持つ者はいなかったのである。
故に、この準備期間で、転換出来る騎士達総出で何とか一日一個魔法玉を作った。
ただし、数はほぼ無い。当然だ。適性が無く、一度使っただけで寝込むのだから。
そのため、これは切り札的な意味合いが強い。クラウスが今切ったのは、尻尾を何とかすれば少しでも戦況が楽になると思ったからだ。足元の揺れが少なくなるのは、とてもありがたい。現に、他の騎士達も魔法玉を放つ時、安定して狙いやすくなっているのが分かった。
後は、セスリーンとランバートに託してある二つのみ。
それを有効的に扱えるのは、あの二人だけだとクラウスは信じている。
「……けっ。オレ様よりも格下の人間がっ」
「……今はそんなことを言っている場合じゃ」
「だから、後はこの貴族のオレ様が! あの尻尾を叩き切ってやるよっ!」
「――」
言うが早いが、ベンドーが滑る様に駆け出す。音もほとんど立てずに疾走する姿は、まるで本当に疾風の様だった。
そのまま、一刀両断。
凍り付いた尻尾は、元の分厚いままの尻尾よりも格段に斬りやすかったらしい。
どん、っと波打つ様に切断された尻尾が地面で跳ねる。
その衝撃に、があああああああっ! と魔物が喚き叫び、のたうち回る。
「……ベンドーも、いばってるだけあって本当に強いんだな」
この人生で初めて知った。
しかも、クラウスがアシストした様な形になったのが悔しい。
だが、それよりもアシストしたのがクラウスなのに、それに文句も言わずに確実に物にしたベンドーも意外だった。日常であったなら、絶対にクラウスの助けに乗っかったりはしない。
やはり、任務には忠実だ。そういう意味で、クラウスは再度彼を認め直した。
そんな風に、張りつめた心が少しだけ緩んだ直後。
「――っ! ベンドー⁉」
ベンドーは、注意深く魔物から距離を取っていた。切り捨てた直後だからと言って、慢心などしていなかった。だからこそ、すぐに離れたのだ。
それなのに、好機と見たのか、続けざまに斬りかかる騎士達が現れてしまった。
「――バカがっ! 戻れっ!」
ベンドーが叫びながら走る。騎士達が疑問を浮かべながら振り返るのを、クラウスも馬鹿、と毒づきながら急いで駆けた。
しかし、遅い。
数名の騎士が、魔物が振り回した腕に叩き潰される。
そして。
「――ぐうっ!」
駆け付けて間に合った騎士を弾き飛ばし、ベンドーは防御魔法を張りながら剣で猛烈な一撃を受け止めた。
だが、腕力が違い過ぎる。
ベンドーだけで張った防御魔法は不完全で、剣はあっという間に割れた。真正面からもろに攻撃を食らい、思い切り吹っ飛んでいく。
そのまま、どん、っと駆け寄ろうとしたクラウスの下へと落ち、転がってくる。
致命傷では無さそうだ。
しかし、出血が酷い。何もしなければ死んでしまうのがクラウスにも十二分に伝わってきた。
「ベンドー! おい、しっかりしろ!」
「っ、ば、かやろ……! にげ、……っ!」
ベンドーが息も絶え絶えに目を見開く。
それで、クラウスも分かってしまった。見たくも無いのに、振り返る。
魔物の目が不気味にぎらつきながら、クラウスを捉えていた。ちかっと、魔物の口の奥で光るものが目に映る。
しかも、その光り方が先程よりも濃い。
これは、まずい。クラウスは本能で叫んだ。
その時。
『盾になってベンドーを助ける(GAME OVER)』
『ベンドーを見捨てて離れる』
『ベンドーを囮にして、団長達に攻撃の機会を与える』
ぶんっ、と。
不穏な音をぶれる様に鳴らしながら、目の前に選択肢が再び現れた。
選択肢「やあ! ごきげんよう。選択肢だよ!」
クラウス「……」
選択肢「あ、あ、剣しまって! 私は繊細……ああああああああ!」
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