二番目の夢
数百万年以上前、エクゾディアの世界は戦争など存在しない平和な世界でした。しかし、そこに異変が起こりました。魔王カミカゼです。彼は悪魔から生まれたのではなく、人間の七つの大罪、すなわち色欲、貪欲、暴食、怒り、怠惰、嫉妬、傲慢から生まれたのです。彼が現れた時、世界のルールは根底から覆され、彼を滅ぼすため、様々な種族が同盟を結成しました。その中には、魔王カミカゼによって残酷な仕打ちを受けていた悪魔たちも含まれていました。しかし、魔王が強力であるだけでなく、魔王の血と体液から創造されたその子供たちも強力であったため、状況は困難を極めました。数兆年にもわたって様々な種族と魔王カミカゼの戦いが繰り広げられ、数千人もの人々が命を落とし、世界の道徳を代表する神々が堕ち、世界は絶望の深い闇に沈んでいきました。
しかし、その深い闇の中から、希望の光が姿を現した。聖剣「エカーリバー」が!
最高の鍛冶屋によって鍛え上げられ、湖の女神の祝福を受けたその光は、幾兆年にも及ぶ戦争の絶望という深い闇を消し去った。聖剣の前では、あらゆる道徳は無意味だった!しかし、その創造者たちを悩ませていた問題があった。誰がその剣を振るうのか?
神々と様々な種族は議論を重ね、人間、アーサーを選ぶことにした。両親のいない少年アーサーは、ゆりかごの中で妖精たちに拾われ、育てられた。アーサーはこの世界の意志を持つ生き物とは異なり、勇敢で、限りない優しさを持っていた。そして、星の湖の女神の使命を受け、石から聖剣エカーリバーを引き抜くという挑戦を受け入れた時、聖剣エカーリバーは彼を選んだのだ。
アーサーは戦場に立ち、聖剣エカリブルの柄を強く握りしめ、眩い光を放ち、幾十億年もの間世界を覆っていた闇を払いのけていた。
目の前には、無数の戦死者の骨で作られた玉座に座る魔王カミカゼがいた。彼は微笑むことも、憂いを見せることもせず、ただ黙って、業火に燃える目でアーサーを見つめていた。
「アーサー、来たか」
カミカゼは低い声で言った。それはまるで幾百万もの魂の叫びのように響き渡った。
「待たせたな」
アーサーは答えなかった。彼は一歩一歩着実に進み、聖剣の光が地面を覆う邪悪な黒霧を払いのけた。
カミカゼは目を細めた。
「ふむ…恐るべき剣だ。だが、それだけで私を倒せるとでも思っているのか?」
突然、周囲の闇が押し寄せた。
~ドカーン!~ 闇の中から七つの巨人が現れた。魔王の七人の子ら、人類の七つの大罪の化身だ!
アスモデウス - 色欲。魅惑的な美しさを持つ女魔族。その瞳は邪悪な意図で赤く輝いている。
マモン - 強欲。まばゆい黄金の鎧を身にまとい、輝く宝石がちりばめられた杖を手にしていた。
ベルゼブブ - 暴食。底なしの腹を持つ巨人。その口は常に噛み砕き、飲み込んでいる。
サタン - 憤怒。赤い炎に覆われた男。その瞳は永遠の怒りに燃える二つの太陽のよう。
ベルフェゴール - 怠惰。枕を抱えて眠る男。一歩踏み出すたびに地面が割れる。
リヴァイアサン - 嫉妬。カミカゼの城に巻き付く大蛇。青い瞳は憎悪に燃えている。
漆黒の天使の翼を持つ男、ルシファー=プライドが、嘲るような笑みを浮かべながらアーサーを見つめていた。
「その剣を握っても、我々全員を倒すことは不可能だ!」
ルシファーは高らかに笑い、黒き長剣を掲げた。
アーサーは深呼吸をした。これはただの戦いではないと悟った。世界の運命を賭けた戦いだった。
彼は聖剣エカリバーを高く掲げた。まばゆい光を帯びた強風が戦場を吹き抜けた。
「私は独りで戦うのではない。」
アーサーは決意の眼差しで言った。
「私は倒れた者たちのために戦う。この世界のために犠牲になった者たちのために!」
剣が輝き出した。
60昼夜以上が過ぎ、戦いは終結し、勝利はアーサーのものとなった。アーサーはエカリバーの光が廃墟の中で今も揺らめく、荒廃した戦場をゆっくりと歩いた。七つの大罪の屍が、生気を失い、辺りに散らばっていた。世界全体が息を呑み、幾兆年にも及ぶ戦いの終結を待ちわびていた。
目の前には、魔王カミカゼが跪いていた。その体はボロボロで、深い傷が全身に広がっていた。口からは黒い血が流れ、深紅の瞳は拒絶に輝いていた。
アーサーは世界を闇に陥れた者を見下ろし、低くも響き渡る声で言った。
「お前は負けた…」
カミカゼは唇をわずかに歪めた。もう力は残っていなかったが、それでも嘲るように笑おうとした。
「負けた…?は…ははは…」
彼は笑った。声は弱々しかったが、その笑い声には恐怖も後悔もなかった。
「ああ、負けたんだ」
アーサーは眉をひそめ、剣の柄を握りしめた。
「だが、アーサー、聞いてくれ」
「私が作り出した闇は決して消えない、アーサー。私を殺しても、七つの罪を消しても…人々はそれでも罪を犯す。色欲、貪欲、怒り…それら全てが新たな魔王を生み出す。そしてその時が来たら、誰がそれに抗うのか?」
アーサーは黙った。カミカゼが嘘をついていないことを彼は知っていた。
世界は一時的に救われるかもしれないが、人間の本質は変わらない。罪、欲望は闇を育み続けるのだ。
「アーサー、私の他の子供たちも忘れるな。彼らが神のコピーとして生まれたことを忘れたのか?」
カミカゼは高らかに笑った。
「もちろん知っている。一人は殺した。」
アーサーは聖剣を高く掲げた。
「そして、皆滅ぼす。」
アーサーは剣を振り下ろし、魔王の首を刎ねた。
魔王の首が落ち、史上最強の魔王の命は絶たれた。
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魔王カミカゼの死後、世界は人間たちの歓喜と、魔王に従う者たちの恐怖で満たされた。人間たちは英雄アーサーの勝利を喜び祝い、街は栄光の松明で照らされ、世界を解放した者への賛美の歌が響き渡った。しかし、その影の中では、かつて魔王に仕えていた者たちが、自分たちを追う者たちから生き延びる術を模索していた。
魔王軍は総大将を失い、多くの拠点が急速に崩壊しつつある。弱者は荒野に避難する。強欲な者たちは、破壊された神風宮殿の財宝を略奪し、遠く離れた地へと逃亡する。魔王に絶対的な忠誠を誓う者たちは、魂を主に従い地獄へと導くため、自ら命を絶つことを選ぶ。
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「2000年後に会おう、アーサー。」
「君のおかげで、昔の自分を思い出すところだった…」
「…」アーサーは黙っていた。
「なあ、アーサー。」カミカゼの声は次第に弱くなっていった。
「君が…築く…人間と魔族が…共に暮らせる王国を…見てみたいんだ…」
「帰ってきたら、案内してくれ。」
それがカミカゼの最期の言葉だった。強大な魔王は目を閉じ、死んだ。しかし世界は平和になり、もはや戦争も混沌も消え去った。
アーサーはしばらくカミカゼの頭の前に座り続けたが、やがて立ち上がった。
「もちろん、人間と他種族が共存できる場所を創ります。」
二つ目の夢の終わり