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第4話

 いつも通りの朝だ。

 しかし、放課後はいつも通りではない。

 今日は安井さんとデート…いや、散歩をするのだ。

 安井さんが散歩と言っているのだ。デートではないだろう。

 まず好きでもない奴とデートなんてしない。

「おはよー!」

 そしてやはり安井さんは話しかけてくる。可愛い。

 しかし、放課後に会うとなるといつも以上に意識してしまう。

 今のうちから心臓が爆発寸前だ。

「おはよう」

「楽しみやなー、今日のデート!」

 そうだな、楽しみだな、デート…デート!?

 やはり俺たちはデートをするのか!?

「顔赤いよー!」

 そう言って安井さんは自分の席に戻った。

 安井さんの頬も赤いんだよな。

 俺、勘違いしても仕方ないよな。



 放課後、夜8時50分少し早く集合場所に着いてしまった。

 正直な話、超緊張してる。

 少し時間がたつと、遠くに人影が見えた。

 安井さんだ。

 暗くても俺には輝いて見える。

 俺に気づいたのか、少し早足で向かって来た。

「やっほー、待った?」

 可愛い。

「さっき来たところやで」

 緊張しすぎてまじで待った感覚無いんだよな…

「じゃあ行こっか、今日のエスコートは任せて!」

 今日のって何?またするの?今度は俺がエスコートするの?

 しかし、夜に見る安井さんは可愛いというより綺麗だ。

 本当に…

 夜に話しながら二人で歩く、こんなの中学時代の同級生に見られたらお終いだな。

 歩き続けていると、いつの間にか川の上に建っている橋まで来ていた。

「目、閉じて」

 安井さんがそう言う、何?川に落とすの?

 それはそれで良いかと思い目を閉じると、安井さんが手を握ってきた。

 そして、手を引いてくるから安井さんを頼りに歩いた。

 河川敷だろうか、風が少し肌寒い。

 そして…

「開けて良いよー!」

 目を開けると、目の前には安井さんと…桜?

「綺麗…」

 気づけばそうつぶやいていた。

「どっちに言った?」

 安井さんが微笑みながらからかってくる。

 それに対し、

「どっちも…」

 また無意識につぶやいていた。

 夜桜か…

 無言の安井さん、今しかない!

「安井さん!」

「どうしたん?」

 少しびっくりしたかのように返ってくる。

「えっと…」

 後先考えずに言おうとして、言葉が詰まる。

「告白かな?」

 また微笑みながらからかってくる。しかし…

「…そう」

「えっ?」

「どうしても、諦めきれへんくて、」

 今しかない、言え!

「えっと…」

 言え!言わなきゃ後悔する!

「付き合ってください!」

 強い風が吹き、散っていく桜が安井さんをさらに綺麗にする。

 今の安井さんは、俺が見た中で一番綺麗で、輝いている。

 少し間が空き、安井さんが口を開く。

「…いきなりでびっくりしてて、まさかここでされると思わなくて」

 そりゃそうだ、勢いで言ったし。

「でも期待はしてたし、いつの間にか林さんのこと好きになってたんやと思う」

 え?ある?うそやろ。

「やから、これからはあなたの彼女として、接していきたいし…あなたを彼氏として接していきたいから」

「いいよ!」

 なんか変だな~、急に涙が、

「泣いてる?嘘やん、嬉しすぎて?」

「だって、絶対あかんと思ったし…」

 安井さんが手を伸ばしてきて、

「よしよし」

 撫でられてる?展開早くね?たった今だぞ付き合ったの…

 しばらく俺は安井さんに甘やかされていた。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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