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春の学校エッセイチャレンジ 

制服の着こなし

作者: 恵京玖

 中学の時、初めて制服を着てちょっとワクワクした。子供っぽくないスーツのようで何だか嬉しかったのだ。

 でも大体、これから大きくなるかもしれない……と言う親の考えのため、少し大き目のサイズを買うのがほとんどだろう。私の親もそうだったのだが、結構大きかったのだ。特にスカートのウェスト部分と裾の部分。

 しかもうちの中学校だと【ウェストの部分を折り曲げてはいけない】と言う校則があった。恐らくミニスカートをするなって言う事なんだろうけど、私は馬鹿みたいにこの校則を守ってくるぶしが隠れるくらいの長さのスカートで中学校に通っていた。マキシスカート並みである。

 校則は守っているから大丈夫だろうと思っていたが、校舎を歩いているとスカートが短いギャ達に呼び止められた。

 あれ? 私、何かやらかしたのか? と思っていると私のスカートを笑いながら触ってきた。


「あんたのスカート丈、ヤバいって。スケバンだよ」

「時代が時代だったら、あんた、目つけられているよ」


 若い読者のために解説するが【スケバン】とは、ものすごくスカートが長い女の子のヤンキーである。付属品として竹刀か機関銃を持っている事が多い。詳しく知りたい方は、ネットで調べてくれ。

 それにしてもギャルが【スケバン】っていう発言するのもおかしい話だが、それ以上に私のスカート丈はヤバかったようだ。

 こうして先輩ギャル公認で私はウェスト部分を折り曲げて、スカートの丈を少し短くするようになった。


 中一で貴重な経験をした私は中学卒業後、ちょっとヤバい農業高校へと入学した。

 この時、私はスーツや軍服を着こなす男子に萌えていた。だがこういった漫画やアニメのグッズが売っているお店も遠く、買えるお金も無かった。こういう時、オタクと言うのはどうするのかと言うと精神を真似ようとするのだ。つまり制服をきっちり着こなすようになった。

 ギャルもそこそこいたし、普通の子もワイシャツの上のボタン一、二個ほどボタンを外していたり、リボンも緩めて結んでいた。そんな場所できっちり着こなしていたので、逆に浮いていた。

 だが古のオタクと言うのは孤高を貫くのだ。と言う事で一切、気にしないで私は三年間きちんと制服を着こなしていた。

 さて農業高校と言うのは様々な学科があるが、やらない教科の先生は滅多に会う事が無い。

 ある日、職員室に用事があって入ると、滅多に会う事のない先生が私を見て珍しそうな顔をしてこう言った。


「ちゃんと制服を着ている子、初めて見た」


 ……珍しい生き物を見たような反応だなって思った。






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