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第10話 三人で海デート ④ BBQはやっぱり楽しい

思ったより長くなってしまいました。

この話で、三人で海デート編は終了になります。

 りんのお父さんが音頭を取って乾杯をし、BBQが始まった。BBQコンロは二つ用意してあった。一つは網でもう一つは鉄板だ。鉄板焼きか。場合によっては網より良い時もあるもんな。


「ドンドン焼いてドンドン食べよう。秋次くんも飲んで飲んで」

「あ、ハイ。いただきます」

「お父さん、なんかテンション高いね」

「秋次くんとBBQ出来るのが、なんか嬉しいみたいなのよ。昔はよく息子が欲しいって言ってたから」

「だからかー」


 りんのお父さん、名前は寿久さんだ。なんかテンション高いなと思ったら、そう言う理由だったのか。こんなまおーで良かったのかな? まあ寿久さんも喜んでるみたいだし、良いのかな? 良いか。

 智子とは、りんが高校の時からの友達なだけあって、知ってる様だ。当然、香織ちゃんとも顔見知りだから、普通に話をしている。そう言えば、柚美さんがいないな。遊びにでも行ってるのかな?


「そう言えば、柚美さん、居ないですね。遊びにでも行ったんですか?」

「そうなんだよ。前から約束してたらしくてね、こっちと悩んだ挙句、友達との約束を取ったみたいなんだ。それはそれで良い事だけどね。特別な理由がない限りは約束を反故にするのはちょっとな」

「分かりますよ、寿久さん」

「水臭いな。お父さんって呼んでも良いんだぞ」

「んー、じゃあ、お父さんって呼びますね」


 良い感じにお肉が焼けてきた。先に火にかけてた野菜と一緒に皿に取り、まずは焼肉のタレをかけてパクリ。モグモグ・・そして、ビールで流し込む。プハー、美味い!少し焦げがついて甘味が増した野菜と旨みが抜群のダンジョン産のお肉、オーク肉かな、焼き肉のタレが合う。そしてそれをビールで洗い流す。止まらないねー。

 お次はミノタウロスのお肉か。やっぱり見た目は牛肉っぽいね。軽く焼き、今度はわさび醤油で・・・ハム・・モグモグ。あー、わさび醤油が最高に合うー。今度はオーク肉を生姜醤油でパクリ・・・美味いわー。


「はい、アキ。日本酒持ってきたよ」

「ありがとう、りん」

「アキくん、乾杯しよー」

『かんぱ〜い』

「お父さんも、どうぞ」

「ああ、ありがとう。息子から注がれるってのはこんな気分なんのかねぇ」


 ふと見ると、雪達三人も楽しんでいた。そして、桃花はビールを飲んでいた。年齢的には平気だけど、見た目が中学生だからな。すごい絵面だな。これ、誰かに見られたらまずいよな。もしかして警察沙汰になるか? それでは世間体が悪い。どうしようか。飲むなとは言いにくいし・・・そうだ。


「雪、聖夏、桃花。悪いんだけど、ケモ耳と尻尾を出してくれるか? 獣人モードになって欲しいんだけど」

「良いよ。・・・はい。これでどう?」

「うん、オッケー。これで未成年に見えないな」

「あー、私がお酒飲んでるからか。気を使わせてごめんね、兄ちゃん」

「良いよ良いよ、気にするな。遠慮しないで飲んでて良いぞ」


 その間にも肉や野菜がどんどんと焼かれ、そしてどんどんと消費されて行く。美味いからね、いくらでも食べられるよ。焼き手のお母さんとりんと智子、ご苦労様です。俺も何か手伝おうかな。


「アキは座ってて」

「はい」


 てな感じで、完全にお客様状態だ。なんか、本当に申し訳ない。と思いつつ、どんどん食べて、ドンドン飲んでたりする。結構酔ってきた。あー、そう言えば聞きたい事あったんだ。


「そう言えば、何で九十九里に三人がいたの?」

「えっとね、聖夏ちゃんと桃花さんと出会ったのが九十九里ダンジョンでしょ? だからちょっと行ってみよう、ってなったの」

「確かに、あそこのダンジョンは、色々転機になったな」

「私にとっても、みんなと出会えたのは転機になりましたよ。一生あんな事しなきゃいけないのかと、絶望してましたから」

「私も、兄ちゃんと出会えたのは、今思えば奇跡だったなー。五百年生きて来た中で、間違いなく一番の人間だもん、兄ちゃんは」

「煽てても何も出ないぞー」


 確かにあのダンジョンは、俺たちにとって転機となったダンジョンだった。聖夏と桃花との出会い、覚醒者の存在、試練の事、そして、多分一生の相棒になるであろう亀真丸との出会い。極め付けは、智子とも付き合うことになった事か。そう考えると、色々あったな。

 そんな感慨に耽っていると、裕人くんと香織ちゃんが声を掛けてきた。


「アキさん、ちょっと良いですか?」

「なに?」

「ちょっと、動きを見て欲しいんですけど」

「動き?」

「回避行動ですよ。学校で最初に習うんでしょ? だったらやってても良いかなって思って、香織ちゃんとたまにやってるんですよ。勿論、武器を使って」

「はぁー、偉いねぇ。ちゃんと訓練してるんだ」

「で、ちゃんと動けてるか、確認してもらいたいんだけど、良いですか?」

「良いよ。だったら、模擬戦やる?」

「あ、それでお願いします」

「ちょっと待ったー!」


 突然の待ったが掛けられた。掛けたのは智子だ。一瞬、こんな所でやったら近所迷惑だから止めろって言われたのかと思ったが、智子の顔を見ると、なんかニヤついてる。あれは何かを企んでる顔だ。俺は知っている。


「そんな面白そうな事、配信しよう! アキくんドローンある?」

「あるよ」

「よし、じゃあ決まり。わたし実況やるから! んー、燃えてきたー!」


   〜   〜   〜   〜   〜


 はい! 突然始まりました、ゲリラ配信の時間です。


《お? 何か始まったぞ?》

《今日は配信ないと思ってたけど、何やるの?》


 今日の配信の内容は、『わたしの弟と、りんの妹が、アキくんと模擬戦をするー』をお送りしますー。実況はわたし、折井智子が、そして解説は【小野寺りん】がお送りします。 


《模擬戦の実況かー。でもよく見るとBBQやってるねー》


 三人とも準備をしてますね。でもアキくんは、なんかフラついてるぞ。【結構飲んでたからね。酔ってるのかも】もしかして弟達にも勝てるチャンスが出てきたか?

 さあ、お互い準備が出来たようだけど、アキくんの格好、なに? アレ。【狐のお面に尻尾が付いてるね】そう言えばさっき、桃花ちゃんに『妖狐なりきりセット』なんてもの借りてたな。確か、見た目だけで、一切ブーストがかからない奴。


《まおー、酔ってるのか。確かに少しフラついてるな》

《まおーの格好が、完全に厨二だなー》


 さあ、お互いが向かい合ってるぞ。弟は剣に盾、紫乃と同じスタイルで、妹ちゃんが、棒だ。対するアキくんは、妖狐の格好をして無手で構えてるぞ。【まあアキは、徒手空拳も練習してるからね。メインは刀だから、ちょっとしたハンデって感じかも】アキくんの素手は一撃必殺だから、全然ハンデになってないと思うぞ。

 さあ、どちらが先に仕掛けるのか。お互いに隙を伺ってるぞ。でも、アキくんはやっぱりフラついてるな。大丈夫か?

 あっと、ここで妹ちゃんが、棒を上から振り下ろした! しかし、アキくんはこれを左足を右後ろに引き躱した。当然、棒は地面を強打! その瞬間アキくんが棒を掴み一気に引いたぞ! 妹ちゃんが、バランスを崩して前に倒れ込んだ! そこに弟が妹ちゃんを守るように盾を構えて間に入った! 【良い判断だね。じゃないと妹がアキに攻撃されてたからね】


「裕人くん、その判断は悪くないけど、盾を構えながらも、いつでも攻撃出来るようにしなきゃダメだよ。じゃないと・・」


 アキくんが弟が構えてる盾に鉄山靠を喰らわせた! 


「うわっ!!」

「こんな風に攻撃されるよ」


 弟が堪えきれず吹き飛んだ!【あんなこと言ってるけど、今の所アキだけだからね。防御ごと吹っ飛ばすのって】

 弟が吹っ飛んでる間に、妹ちゃんが突きを入れてきたぞ。攻撃への判断が早いぞ!


「香織ちゃん、もうちょっとフェイント入れないと・・」

「きゃあー!」

「こうなるからね。本当ならここで発勁を打ってるよ」


 アキくんが突きの軌道を逸らして、さっきみたいに棒を掴んで引き寄せたぞ! 堪らず前によろめく妹ちゃんを掴んで足払いをして地面に転がした! 【怪我をさせないように投げてるね。酔っててもそこはちゃんとしてるんだね】お腹に発勁は死ぬんでダメです。【じゃあ胸部には?】胸に行ったらなんかエロいんでそれはそれでダメです!


《胸部に発勁は、確かに胸を触りに行ってるようにも見えない事はないな》

《相手が初心者とは言え、やっぱまおーって強いね》

《相手の攻撃が掠りもしないもんな》


 その隙に今度は弟が攻撃をしてきたぞ。振り下ろしからの胴薙ぎ、そして袈裟斬りだ! これにはアキくんも反撃出来ないか?【確かに隙を伺ってるようにも見えるね】


「うん。反撃出来ないねー。でも・・ハァ!」

「うあっ!」

「こうする事も出来る」


 アキくんが袈裟斬りを避けて、盾に浸透勁を放った! 腕が痺れたのか? 弟が盾を落としたぞ!【えげつないねー。防御の上から攻撃して防御を殺すなんて】弟と妹ちゃんはどうする? おっと、今度は二人同時に行くようだ。しかも弟は盾が持てないから、盾を捨てたぞ。

 妹ちゃんが先に攻撃を仕掛けた。【ちょっと大振りかなー。なんか焦ってる感じがするよ】当然アキくんは躱わすね。って言うか避けすぎだよねー。真眼ってほんとチートだわ。避けた先を狙って、今度は弟が斬りかかったぞ。しかし、これも躱わす。そそ隙を狙って、妹ちゃんが突きを入れるも、またアキくんが躱わす。【雷の魔法さえ躱わすんだもん。当たるわけないよねー】今度は弟が斬り下ろしをするも、アキくんが左に躱し、発勁を放った! 【この発勁は浸透勁じゃなくて、吹っ飛ばし系だね】しかも結構手加減してるぞ! 堪らず吹っ飛ぶ弟! そして吹っ飛んだ先には妹ちゃんが居て、巻き込み事故みたくなってるぞ。


《まおー、容赦ないな》

《でも手加減してるんだろう?》

《実力差があり過ぎて、手加減しているようには見えん》

《まおーって確か探索者になって一年経ってないよな》

《もうすぐ一年になるはず》


「どうする? もう少しやる?」

「いや、十分です」

「もう少し手加減してよ、アキ兄ちゃん」

「十分手加減してたんだけど・・・」


 はい! ここで模擬戦終了ー! どうでしたか? りん。【うーん、結構頑張ったけどねー、相手が悪かったねー】まあ、アキくんはわたしも勝てる気がしないしねー。だって、魔法だけじゃなくて、ライフル銃の中の魔力まで見えるって言うんだよ! あの人! 勝てないって、そんなの。魔法使いの天敵だもん!【さすが! 私達の旦那様だねー】ねー。

さて、この辺でゲリラ配信の実況を終了します。実況はわたし折井智子、解説は【小野寺りん】がお送りしましたー。ではでは、しーゆーあげいん。


亜香里:《何やってんの? 三人で海デートって言ってなかったっけ?》

紫乃:《裕人くん、今度戦い方教えるよ》


 おや、お二方、どうした? 【デートして来たよ。それで最後に私の家でBBQやってんの。モン娘達もいるよ】


《ほんとだ。モン娘が居る! しかもみんな獣人モードだ! 可愛すぎる!》

《あー、桃花ちゃんがビール飲んでるからか。見た目が見た目だから、まずいと思ってだろうね》


 それでね、裕人達が模擬戦をしたいって言うから、アキくんが相手してたの。アキくん、酔ってるくせに強かったなー。


亜香里:《見てた。反則だよねー。狐のお面なんて被ってたら、前見えにくいだろうに。なんなんだろうね、アレ》


 さすがはウチらの旦那様ってとこかなー。ねー、りん。【ねー、智子】


紫乃:《ハイハイ。それはよーござんしたね》

《いつでも何処でもイチャつくよな。コイツら》


 それじゃ、配信を終わるよ。じゃーねー。


   〜   〜   〜   〜   〜


 裕人くん達、あそこまで動けるなんて、頑張ってるんだなぁ。学校に行ったら、一目置かれるんじゃないかな。まあ、頑張れ(モグモグモグ・・・くぃー・・)


「そろそろ良い時間だし、締めようか」

「あ、はい。そうですね、お父さん」

「じゃあ片付けますか。炭は・・・」


 ふと思った。この火のついた炭に水属性の魔力をぶつけたらどうなるのかと。物は試しだ。

 水属性の強魔力を展開して、収縮させて圧縮していく。最初は変化が無かった炭だが、徐々に火の気が無くなり、完全に消えた。しかも、水を掛けた時のような煙も出ず、手で触れるくらいまで炭が冷えている。思った以上の効果だな。みんな目を丸くしている。魔力は普通の人には見えないからな、俺が何かやったのはわかっても、何をどうやったかまでは分からないんだろう。分かったのは、智子と桃花だけだった。


「そんな方法で火を消すなんて、よく思いついたねー、アキくん」

「本当にそう。普通は水魔法をぶつけるか、水を掛けるかなんだよ。兄ちゃんってどんな頭してんの?」

「いや、まあ、俺もここまで効果があるとは思わなかったよ。精々冷めるのが早くなる程度かなと」


 思った以上の効果を発揮した。まあ、片付けが早まったんで良しとしよう。


 粗方片付けが終わり、時刻は九時過ぎだ。時間も時間なんで、智子と裕人くんは先に帰った。そして俺たちも帰る準備をしていた。


「よし、忘れ物は無いな。それじゃ、ご馳走様でした」

「こちらこそ、美味しいお肉や魚を頂いたし、凄いものを見せて貰ったよ」

「香織ちゃん、怪我はなかった?」

「大丈夫だよ。平気平気」


 そう言ってブンブン腕を回していた。怪我をさせなくて良かったよ。お邪魔しましたー、と言って小野寺家を出ると、四人が外に出て見送ってくれたので、俺たちも手を振り返して帰った。


「いい人達だったね。ほんと兄ちゃんの周りの人って、みんな良い人だよね」

「そうだな。お前達三人も含めて、周りの人に恵まれてるよ、俺は」

「今度は智子お姉ちゃんの家に行ってみたいね」

「そうですね。智子さんのお母さんも覚醒者なのでしょう? 一度会ってみたいですね」

「今度連絡して行ってみるか」


 そんな話をしながら、アパートに帰った。

 もう直ぐ夏休みだからな。実家帰るし、何しようかな。

 地方在住なもので、首都圏の高速はよく分からなくて、色々調べながら書きました。なので間違ってる部分もあると思いますので、その時はご指摘頂けると、ありがたいです。

 このあとは、本編を書きますが、趣味編はまた折を見て書きますので、その時はまたよろしくお願いします。

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