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第一話 どら焼きを作ろう

 3、2、1、スタート!


「はい、始まりました新コーナー『和菓子を作ろう』です。作り手は私、りんです。そしてアシスタントは、」

「智子ですー」「紫乃です」「亜香里です」

「この四人でお送りしまーす」(パチパチパチ)

「はい先生、何を作るんですか?」

「今日はどら焼きです」

「作れるんですか?」

「まっかせなさい!」


今日はダンジョン配信でも、俺がメインでもない。女子四人組がメインのお菓子つくりの動画を撮影してるのだ。なぜかと言うと、


 〜数日前〜


 りんから電話があった。さっき会ったばかりだけど、なんだろう。そう思い電話に出ると、自分も配信したいとの事だった。良いんじゃないかと思い、High-sceneの開設の仕方を言おうとしたら、俺のCH内でやりたいんだって。なんで? 理由を聞いたら、


「アキのCH名は?」

「ホビーアクティブTV」

「趣味って意味のCHだし、誰のって言ってないから大丈夫」

「あ、はい。そうですね」


 俺は知ってる。こう言う時の女子に逆らってはいけないと。という事で、りんのコーナーが出来たのだった。まあ別に良いかな。


 〜現在〜


「どら焼き、美味しいよねぇ。何回か作った事あるんで、今日はそれを動画にしました。では、早速始めましょう。レシピはこちら。ドン!」


 掛け声と共にレシピを書いたホワイトボードが出てきた。ちなみに俺はカメラマンです。


〜どら焼き七個分〜

・全卵   100g

・上白糖  100g

・薄力粉  100g

・蜂蜜     6g

・重曹   0.6g

・ベーキングパウダー(イスパタでも可) 0.6g

・水    20cc

・調整水    適量


「はい、これがどら焼きの皮のレシピです」

「はい、先生。全卵って何ですか?」

「全卵とは、殻も含めた重さの事です」

「なんで水が二つあるの?」

「あとで分かります」

「イスパタってなんですか?」

「プロが使う膨張剤です。と言うか、和菓子屋さんはほとんどイスパタですね。和菓子にベーキングパウダーは、全然じゃないけど、あまり使いませんね」

「結構材料少ないんだねー」

「その分、作り方一つでガラッと変わるんです。よく言いますよね、お菓子作りは科学実験だ、って。ホントその通りなんですよ。ちなみに餡子は準備する時間がなかったんで、お菓子屋さんで買って来ました」

「餡子だけって買えるんだ。初めて知ったよ」

「お店によるから、確認してね」


 なんでそんな事知ってんだろうな、りんって。それだけ和菓子が好きなのかな。


「さあ、作っていきましょー。まずはボールにお湯を張ります。そして、別のボールに卵を割っていきます。割ったら、ホイッパーで白味と黄身を混ぜ合わせます。そこに上白糖を入れて混ぜ合わせ、湯煎にかけます」

「先生! 何故湯煎に掛けるんですか?」

「それはね智子くん、人肌程度に温めて砂糖を溶かすからです。そして温まってる方が卵は立ちやすいんです」

「なるほどー」

「それでは、人肌にあったまった卵をホイッパーでかき混ぜて、立てていきます」


 お菓子作りって言うより、どら焼きの講習会の様な感じだな、なんか。まあみんな楽しそうだし、良いか。


「これは・・結構、大変だね・・。先生、ハンドミキサー使ってダメなんですか?」

「良い質問ですねー。全然OKです」

「最初から使えやー!」


 流石、智子ちゃん。ツッコミが激しいねー。


「ある程度白くなって、立ててる間に軌跡と言うか線と言うか、が出てくるので、そうしたらレシピの水で溶いた水溶き重曹を入れてかき混ぜます。その後、ベーキングパウダーを入れて振るっておいた薄力粉を入れます。この後ホイッパーで混ぜるんですが、まずは優しく混ぜます。完全に混ざったら、今度は力の限りかき混ぜます」

「はぁ、はぁ、せ、先生、質問。なんで、力の限り、はぁ、かき混ぜるの?」

「水と小麦粉が合わさると麩、所謂、グルテンが発生するので、それを細かく切るためです。それによってフワッと焼き上がるんですよ」

「これも、はぁ、ハンドミキサーで、はぁ、だめですか?」

「OKです!」

「だから、最初からやれやー!」


 なんか、お菓子作り漫才見てるみたいで、面白いな。


「さて、今度は調整水を少しずつ生地に入れてかき混ぜます。目安は生地を掬い上げてそのまま生地を落とし、ひらがなの『の』の字が書ければOKです」

「だから、調整水は適量なんだね」

「では焼いていきましょー。火をつけておいたフライパン、もしくはホットプレートに生地を落とします。火の調整は説明が難しいんで、何回も試してね。この時は、生地は落とすだけです。スプーンやお玉で広げないでね」

 

 なんでそんなに詳しいんだ? りんと付き合って一年だけど、分からん。


「落としたら蓋をして、焼いていきます。すると表面に泡が出て来ますので、全体に少し出て来たら、ヘラで端を少し持ち上げて、摘んでひっくり返します。ヘラで返しても良いですが、慣れればこっちの方が楽ですね。但し、プロはヘラで返します。焼く目安ですが、中央を少し触ると若干押し戻される感触があるんで、それが目安です。焼き上がったら二枚一組にして皿にでも取りましょう。これで皮の完成ですー」

「おー、美味しそうー」

「自分で焼くとすごく美味しそうよね」

「早く食べたいね」

「では、好みの量の餡子をつけて、完成です!」(パチパチパチ)

「「「「いただきまーす」」」」」


 ホントに美味そう。カメラ越しでも美味そう。俺の分はあるのかな。


「美味ーーい!!」

「自分で作ったってのもあるけど、この甘さ控えめの餡子もすごく良い!」

「もぅ、最高〜〜!!」

「みんなも作ってみたくなったかな。この動画を見ながら作れば、それなりに作れるよ。さあ! みんなも、作ってみよー! 今度は何を作るのかなー? お楽しみにー。ではでは、りんでしたー。またねー」


 はいOKです。あとは編集して投稿すれば大丈夫だな。約一ヶ月位かな。コメントが楽しみだ。


「はい、アキの分のどら焼き」

「ありがとう。カメラ越しでも美味そうだったから、食べたかったんだよね」

「ふふ、ありがと」


趣味編の一回目がお菓子作りになるとは思わなかったけど、これはこれでアリだな。なんせ、女の子がエプロンと三角巾でお菓子を作ってるだけで絵になるもんな。また何か作ってもらおうかな。何が良いかなー。


趣味編が始まりました。思いついたら書いていくので、不定期投稿になりますが、宜しくお願いします

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