悪役
悪がはびこるこの世界でヒーローは人々のあこがれの的だった。そしてその人々の中には、悪役もいる。そして、悪の組織の一人、有栖黒。彼もまたヒーローにあこがれ、ヒーローに恋い焦がれる一人なのである
かっこいい、すごい、なんていう薄っぺらい言葉。ヒーローを一番近くでみているのは僕だけなんだ。
悪役。みんな悪役を批判するけど、悪役がいなければヒーローなんて、ヒロインなんて、存在しないんだ。そして僕は今日も最愛の人に会いに行く。
「綺麗だね。汚くて、愚かで。とっても綺麗」
「っ…町を滅茶苦茶にして…っ」
いい人だね。身を滅ぼしてしまいそうなほど。
「だって汚いじゃん。全部綺麗にしてあげるんだ」
「子供たちのことすら考えられないのかっ…」
「仮にも僕を悪なんだろう?なら、僕が正義のためにいきる必要だってないじゃないか」
「クズめっ…」
「さぁ!始めようか!パーティーを!」
今日も接戦を演じる。憧れのヒーローを守るために。本当は指先だけでヒーローなんて、殺せてしまう。僕は強いから、ヒーローは弱いから。でも雑魚の癖していっちょ前に強がるから大好きなんだ。
「うっ…次は勝つからなっ…」
「待てっ!逃げるなっ!!」
勝てないんだから…馬鹿だなぁ。
僕は死ぬまでヒーローを信仰する。それが悪役の役割なのだから。
有栖君は結構ヤンデレ気質で自分以外がヒーローと戦うことを許しません。