『俊賢、死穢を看破し速記で比喩すること』速記談2031
藤原頼通公がまだ少年でいらっしゃったころ、源俊賢卿と、北山のあたりに遊びに行かれ、あるところでお堂に入って休もうとされた。俊賢卿は、周囲をきちんと確認しもしないでお入りになってはいけません。近ごろ北方がふさがっていないので、恐らく、思いもよらないことがあるでしょう、速記だって同じです。原文帳をよく確認しないで書いていると、めくったときに、前に書いた速記文字が既にあったりして、驚くことがあります、と言って、自分が先に入り、あたりの様子を確認したところ、お堂の北の庇に、死人を入れた牛車が停められていた。俊賢は、もしあなたがうっかりと先にお入りになっていたら、きっと汚れを受けたことでしょう、と自身の慎重さを自賛したという。
教訓:めくった原文帳に既に速記が書かれているということは、自覚がないわけで、あれは本当にびっくりする。