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-3- 入部

はい。こんにちは。


久しぶりにお休みが取れたので更新が早いです。

次はいつになるやら……。

『はーい!購買部の選考会会場はこちらでーす!!』


前方の壇上(先日オノダが立っていた場所)に乗り、またもや拡声器を使って声を張り上げる少女。

先日、ルルに紙切れを渡したあの少女。


名前は確か、アイファだったか、とルルが昨日のことを思い出しながら彼女を見やる。




 あの後、無事自己紹介が終了し、ガーネットと一緒に帰ろうと席を立とうとするルルにオノダが声をかける。

「あ、そこの。……お前だよ。

 えー、ルルだったか?」

まさか自分が呼ばれたと思わなかったため、無視するような形で過ぎ去ろうとしたところ、

手元の端末、恐らく生徒名簿を一瞥して、こちらを手招きをしているオノダと目が合った。


一瞬の間をおいて、ようやく自分が呼ばれたのだと気付いたルルは、

首をかしげながらもオノダのいる教壇に近づく。


「あぁ、すまんな。帰るところを。」

言いながら席に腰掛けるオノダ。

ふっ、と鼻腔をくすぐるタバコの香りにルルが気付く。


「……このにおい。」


「ん、あぁ。すまん、分かるか?

 生徒の模範たれ、とは言われてるが、こればっかりはどうにもやめられなくてな。」

苦笑いをしながら答える。

内緒だぞ、と耳打ちしながら笑う顔を見せるオノダは、見かけよりも若々しく見えた。

ルルは、内心子供みたいだ、とオノダに対する認識を改めた。


「しかし、良く気がついたな?

 粗方の匂いは空気に混ぜて散らしてたんだが。」

言いながら、目の前のオノダの周りに空気の流れが出来ていくのを肌で感じた。

恐らく、完全に匂いが消えていないために、再度同じことを繰り返しているのであろう。

彼の魔力が使役されているのがルルには見えた。


「でも、先生ってお給料いいんですね?

 そんな高いの買えるなんて。」

現在は、タバコや酒などの嗜好品は滅多に手に入らない。

製造自体もしているかどうか怪しいものだが、一応市場に出回っているので誰かが作っているのであろう。


 ただし、そのいずれも数が少なく、必然、値段は跳ねあがる。

ちなみに、タバコ一本を買うのには、高校生のバイト程度では

一日は最低働かないと手に入らない額だ。

そんなものを吸っているということは、相当の金持ちということになる。


「ま、ちょっとコネでな。」

買ってるわけじゃないんだよ、とまた笑う。

気がついたら先程の風はやんでいた。


「ところで、僕に何か?」

何故呼ばれたのか分からなかったルルは、ひとまず脱線していた話を元に戻す。

それに気付いたオノダが、そうだった、と頭をかいてこちらに答える。


「あぁ。そうだそうだ。

 さっきな、アイファがお前のとこに来ただろ?

 購買部の件で。」


「あ、ハイ。

 アイファ先輩を知ってるんですか?」


「あぁ。俺は生活指導の方と購買部の顧問と、掛け持ちでやってるからな。

 アイファは購買部の生徒だからな、知ってて当然。

 ところで、あいつはなんだって?」

こちらを向き直りながら尋ねてくる。

ルルは、先程アイファから受け取った紙切れをポケットから取出し、

ソレをオノダに渡しながら答える。


「良く分からないんですが、明日の購買部の選考会に来い、と部長さんから。」

受け取った紙切れを見ながら、ルルの答えを聞く。

暫く手の中でソレをひっくり返したりした後、ルルに返す。


 再び戻ってきた紙切れを、ポケットにしまう。

オノダを見ると、やや薄ら笑いを浮かべていた。


「あー、まぁ、なんだ。頑張れ。」

そういって、先程の薄ら笑いをこちらに向ける。

その表情には、若干の憐れみの雰囲気が読み取れた。


「なにを頑張れば良いのか、良く分かりませんが……。」


「ま、部長に目を付けられたお前が悪い。」

諦めろ。言うが早いが、オノダは席を立って教室を後にしようとする。


「ちょ、ちょっと待って下さい!」

慌ててオノダを呼び止めたが、既に廊下に出ていた彼は、

軽く上げた右手を背中越しに振るだけで、去っていってしまった。


追いかけるのも、何だかしようがなくて、ルルは諦めた。

「全く、何なんだ……。」


呟く声は、ただ寂しく廊下に響くのみ。

他の生徒は既に帰宅しているのか、オノダのタバコの香りと、ルルだけがその場に残っていた。






 時は戻って、各部活の拠点である学生活動棟。

相変わらず、壇上で声を張り上げているアイファを視線の橋に捉えつつ、ルルは大きな溜息をついた。


そんな彼に、金髪をポニーテールにまとめている少女が、見下ろしながら声をかける。

「んで、あれがアイファさん?」


 先日、薄情にも既に帰宅していたガーネットに、事のあらましを話したルルであった。

それに対して、ガーネットの答えはこうである。


「良いんじゃない?面白そうで。」

ついてくる。そう言ってガーネットは、うきうきとした様子でいたことを思い出しながら、

ルルは再度、先程よりも大きな溜息を吐く。


「人事だと思って……。」


「ま、あたしはこの後ヒバリさんのとこに行かなきゃ行けないから、もう行くけどね。」


そう、ガーネットは昨日、すぐさまヒバリのところ、

即ち、生徒統轄会に赴き立候補したのである。

教員に伝えて、の部分をすっ飛ばし、直接ヒバリのところへ直訴しに来た彼女を、

「行動的で良し!」のヒバリ会長による鶴の一声で入会を決定。

現在に至る。


どうやら、これから引継ぎやらで生徒会に赴かなければいけないらしいが、

そのついでらしい。


「あ、そろそろ時間かも。ンジャ、頑張ってねー。」

言うが早いか、タッ、と駆けた少女を見上げる。

しかし、ルルの目が捉えられたのは、彼女が残した魔力の残骸と、周りにいた生徒

(恐らく、選考会に来ていた生徒達であろう)のあきれたように見上げる視線のみであった。


あたりの視線を追いかけると、五階建ての部活棟の屋上に、見事な着地を決めているガーネットがいた。

ルルが見ている事に気付いたのか、ぶんぶんと手を振ってから走り去る。


周囲のざわめきと、好機の視線を受けつつ、本日三度目となる溜息を吐こうとする。

しかし、突如かけられた声に遮られ、それはかなわなかった。


『あ、ルル君!』

声の主は、先程まで生徒を誘導していたアイファだった。

拡声器のまま話しかけている為、さっきよりも多くの人間がこちらを向く。

アイファとルルを交互に見やりながら、好機の視線を投げかける。


『あー、ルル君はこっちねー。こっちこっちー。』

手招きしながら呼ぶアイファに、しぶしぶ彼女の元に駆け寄る。

顔が赤面しているのが自分でも分かるが、自分が行かねば再度声がかかるのは分かりきっていたので急ぐルル。


 人ごみを掻き分けて、ようやくアイファの元にたどり着いたルルは、壇上の彼女を見上げて抗議の声を上げる。

「ア、アイファ先輩!そんな大声で呼ばないで下さい!」

息を切らしながらのルルの講義に、今気付いたというような感じで拡声器から顔を離す。


「おぉ、ごめんごめん。いや、目に付いたからさ。」

ははは、と笑いながら謝る。

ちらり、とスカートから除かせる足に目が行ってしまい、慌てて視線をそらしながら答える。


「い、いえ、別に構いませんが……。

 どうしたんですか?ここに並んでればいいんじゃ?」


 周囲には、購買部の選考会に参加するために順番を待っている生徒が大勢いた。

先程、ルルが走ってきたときの感じでは、恐らく百名近くはいるはずである。

よくよく見ると、一年生だけかと思っていたが、中には赤の色や、

更には黒のチョーカーや腕輪をつけている生徒がいる。

しかも、比率的には赤、二年生の数が一番多いように思える。


皆、緊張した面持ちで順番を待っており、上級生の威圧感に負けたのか、

最後尾の方にいた一年生は、場違いな空気を感じたのかそそくさと帰っていく生徒もいた。


「あぁ、ルル君はね、合格。」


「……はい?」

一拍おいて、間抜けな声を上げる。


「ん?だから合格だって。入部おめでとうございます!」

ぱちぱちと、アイファのたたく乾いた手の音しか聞こえない。


他の生徒も、良く分かっていないのか、ぽかんとした表情でこちらを見ている。


「さて、合格したルル君には、お姉さんからこれを授けよう。」

言いながら、ごそごそと後ろからなにやら取り出す。

取り出したのは、銀色に輝く腕輪だった。

ルル達、男子生徒がつけている腕輪よりも若干細く、飾り気のないシンプルなものだった。


「今つけてる腕輪の、反対側につけてね。」


「あ、はい。」


言われるがまま、腕輪をはめる。

すると、急に腕輪が発光し、思わず目を閉じてしまう。

やや熱を帯びたような感じを受けつつ、そっと目を開けると、光が収まったのか、

先ほどと変わらない銀色の腕輪があった。


「ん、登録完了っと。」

アイファを見ると、ルルと同じ腕輪が右手にあり、それを見ながら呟いている。


「これで購買部に正式に登録されたから。

 あ、ルル君の媒体に部室の場所送っておいたから行ってて。

 こっちが終わったらあたしも行くから。」


そう言って、再度拡声器を持ち出し、声をあげる。


『はーい!列を乱さないで下さーい!』

見ると、さっきのやり取りを見ようと、自分を中心に大きく円が出来ていた。

彼らを元の列に戻そうと、声を荒げるアイファ。


 なにやら文句の声が聞こえてきたが、ルルはそそくさとその場を立ち去る。

自分がその場に立ち止まっていると、アイファにも迷惑をかけると思ったからだ。

 

 アイファを横目に、端末を開きながら走る。

部活棟の最上階を指すように光るアイコンをみながら、先程中断した溜息を吐く。


あれよあれよと、入部してしまった購買部に、若干の期待と多大な不安を胸に抱きながら。








お疲れ様でした。


やっと購買部に入部できました。

まだまだ先は長いですが、宜しくお願い致します。


読んでくれる方が一人でも多くなるように頑張ります。

感想、お待ちしております。

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