表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/8

-2- 異端

お久しぶりです。

公言しましたとおり、更新が遅く申し訳ございません。

(しかもこんな序盤から)


細々と続けていきたいと思いますので、宜しくお願い致します。

 ルルが教室に入ると、既にあらかたの生徒は到着していたのか、大体の席は埋まっていた。

辺りを見回すと、いくつかのグループが出来ているようで、何人かがおしゃべりに興じてる。


「や。ちょっといいかい?」

入り口付近で、そんな室内の様子を見ていたルルに、背後から声がかかる。


 振り返ると、自分と同じくらいの背の女子が立っていた。

深紅と言えるほどの、紅い目を持った彼女は、右手を軽く上げながらこちらに微笑みかける。

ざんばらになっている髪の毛は、瞳と同じく真っ赤なもので、ルルは軽く目がチカチカとした。


「は、はい。なんでしょう?」

いきなり尋ねられたことに若干の疑問符を浮かべながら聞き返す。

普段から人と話す事に慣れていないルルは、やや後ろに引けながらではあるが、

目の前の彼女に対面する。


「いやー、ちょっとお使いでね。今時間ダイジョブかい?」


「え、えぇ。……まだ時間はありますから、少しなら。」

ちらりと自分の端末を確認してから答える。

規定の時間まで、恐らく立ち話程度ならば問題はないだろう、とルルは考えていた。


「ん、アリガト。あ、あたしは二年のアイファ。」

宜しくね。と左手を差し出してくる。

慌てて、出そうとした右手を引っ込めて左手で握り返す。


ほんのりと、熱を帯びた感じの彼女の手を握りながら、握手なんか久しぶりだな、とどうでもいいことを考えていた。


「あ、僕は一年の」


「ルル君、でしょ。知ってるわよ。」

名乗ろうとした時、被せる形で少女、アイファが言ってきた。

驚愕の表情を見せるルルに、いたずらが成功したような笑みを浮かべて、

こちらをのぞき見るアイファ。


「だって、あなたの腕輪にそう書いてあるじゃない。」

そう言ってからからと笑う。

揺れる体につられて、深紅の束が揺らめく姿はまるで火のようだった。


「……、それで、アイファさんは僕に何の御用ですが?」

やや憮然とした口調でルルはアイファに尋ねる。

時間まであまり無いことも加えて、彼女の態度に少しばかり気分を損ねたようだ。


「あぁ。ごめんごめん。

 ンっと……、あったあった。ハイ、これ。」


「?」


 もぞもぞとスカートのポケットから小さな紙切れを取り出し、こちらに差し出す。

どうやらメモのようで、走り書きのようになにやら書かれている。


「えーと、『明日の購買部の選考会、必ず来るように』って、何ですかこれ?」


「あ、うちの部長からね。それ。

 なんだか最近人手が足りないらしくてさ。あんたにこれを渡すようにって。」


んじゃ、と用件は済んだとばかりに踵を返して立ち去ろうとするアイファ。


「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!何でいきなり!?」

いきなりの事に呆然とするまもなく、そそくさと立ち去ろうとするアイファに向かって声を荒げる。

ルルの声に反応したクラスメートの数人が、こちらを見てくるのが分かった。


「ん?さぁ?部長の考えてることはわかんないけど、

 あの人のことだからなんかあるんじゃない?」

あたしにはさっぱりだけどね、と付け加えると今度こそその場を後にする。

恐らく、時間的にもぎりぎりなのだろう、教室へと急ぐ他の生徒に紛れてその姿は消えていった。


残されたルルは、手に残った紙切れを見つめて溜息を一つ吐いた。









「…ルルです。出身はこの町で、趣味は機械弄りです。専攻は魔学です。

  宜しくお願いします。」


パチパチパチ。


まばらな拍手。

まぁ、高校の自己紹介で拍手喝采を浴びても、それはそれで気味が悪いが。


がたん、自分の席に戻り安堵の息をつく。


 あの後、担任として、先程壇上に上がっていたオノダが教室に入ってきた。

変わらぬ様子で生徒達を静まらせ、今の自己紹介となっている。


クラスの人数は二十五名。

全クラスその人数で固定されており、各学年十クラスで構成されており、

学年の総人数は二百五十名である。


 男女比率はおおよそ同じで、ルルのクラスは男子が一名多い。

先程、ルルの紹介であったように、高校では共通の授業の他に、

『魔学』、『科学』のどちらか、別途専攻する科目を選択する。


 魔学は、その名の通り魔法学を習得する。

全ての人間は、保有量を差異はあるが、魔力と呼ばれるものを持っている。

古くは、『気』や『丹』等と呼ばれていたこともあったらしいが、

現在は一般的に『魔力』とそれを呼ぶ。


 それこそ、はるか太古ではその存在さえあるとされていなっかた魔力だが、

ある発明家が、ソレを視覚化できる装置を発明。

それを期に、爆発的に魔力の認識が広がる。


 所詮、認識できていなかっただけのこと。

ひとたびソレが認知されてからは、そこからは早かった。

あらゆる分野からのアプローチで、瞬く間に一つの分野として確立してしまう。

それが現在の魔学である。


 基本的に、『人間は』魔学を専攻する。

なぜか、と聞かれてもルルはそれに対する答えを持っていない。

答えられるとしても、「そういうもの。」という答えしか返せないだろう。


 では、科学を専攻するものは誰か。

……それは、アンドロイド。

とはいっても、基本は人間となんら変わりない。

普通に食事を食べるし、睡眠を取らなければならず、子供も作れる。

唯一つ、人間と違うのは、その身に魔力を宿していないこと。

だが、代わりに人間以上の肉体的スペックを彼は持っている。


 人間が持ちえる、能力、魔法。ソレを持たないアンドロイド。

故に、彼らは『科学』を求める。

自分達を生み出したソレを追求する。


 自己紹介の、専攻を伝える事は己の出自がどちらかを暗に伝えるもの。

つらつらと続いているクラスメートの自己紹介を眺めながら、

『アンドロイド』のルルはあくびをかみ殺した。

短くてすみません。(汗


微速前進ですが進んでいきますので、宜しくお願い致します。


ではまた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ