-1- 入学式
どうもです。
いろいろと見づらい部分などあるかと思いますが、
作者の未熟としてご了承下さい。
これからも精進致しますので、宜しくお願い致します。
ロレント高校は、小高い丘の上に立っている。
この辺りでは一番高い建物のため、学校からはこの街を全て見下ろすことが出来る。
教室のある本棟の他に、職員や学校管理関係者のいる教員棟、委員会や部活動の部屋がある学生活動棟、
その裏手には、さまざまな用具が収められている倉庫棟がある。
また、施設としては本棟よりも更に大きい演習棟がある。式典等も行える本格的な施設だ。
かなりのマンモス校らしく、それぞれの棟の大きさもかなりのものだ。
また、高校からすぐ、丘の下には遠方からの生徒のための学生寮も備えてある。
そんな高校への長い坂、息を切らしながら走る影が二つ。
一人は金の房を揺らし、ミニスカートを翻しながら駆ける少女。
この学校の生徒である証の制服を身に纏い、学年を示す首のチョーカーは白。
それに刻まれる、彼女の名を示す文字は『ガーネット』
もう一人、こちらは男子の制服を纏っている少年。
くせのある黒髪は、目にかかりそうな位の長さで乱雑にあちこち飛び跳ねている。
制服の袖からのぞく腕輪、学年を示すその色はまたしても白。
それに刻まれる、彼の名を示す文字は『ルル』
この学校の生徒には、入学した際に学年を示す為の装飾品を渡される。
女子はチョーカー、男子は腕輪がそれにあたる。
それぞれ、学年毎に色が指定されており、一年生は白、二年生は赤、三年生は黒となっている。
更に、各生徒の名前が掘り込まれた皮製のタグがそれらに付けられている。
また各委員会、部活のリーダーはタグがシルバー製になっていて差別化されている。
「ま、待って。待ってよ~。」
情けない声を上げて前を走るガーネットに声をかけるルル。
肩で息をしていて足はもつれている。今にも倒れこみそうな勢いだ。
「あんたが寝坊するのがいけないんでしょ!」
遅刻するわよ!と付け加えて、尚も速度を上げる。
目的の校門まではあと少し、というところまでくると、人だかりが出来ているのに気付く。
息を整えながらあたりを見回すと、皆一年生ということが分かる。
「間に合ったー?」
ようやく追いついて来たルルが、膝に手を置きながら息を荒げて尋ねる。
額ににじんだ珠のような汗を拭きながらこちらを見上げる。
「多分ね、他の一年生がいっぱい。」
何してるのかしらね、と呟いて人だかりの奥を見ようと跳ねる。
女子にして背が高い部類に入るのだが、いかんせん人の数が多すぎる。
いくら懸命に跳ねても向こうは見えなかった。
そうこうしているうちに、ルルも落ち着いてきたのかガーネットの横に並ぶと疲れた顔で呟く。
「……ガーネット、恥ずかしいからやめようよ。」
ルルはガーネットよりも背が低く、年下のように見られることも多かった。
隣でウサギの如く跳ねる少女を見ながら、気恥ずかしさからか若干頬を染める。
ルルの苦言が聞いたのか定かではないが、思案顔になり腕を組むガーネット。
嫌な予感がしつつも、この少女が自分の言う事を素直に聞く性格ではないことを彼は良く知っている。
あきらめの面持ちで、ガーネットの提案を少しでもいい方向へ導けるよう、
彼女が何を考えているをいくつか予想しながら待つ。
答えが出ないまましばらく、そろそろ何か言ってくるかとガーネットの方を見ようとしたとき、
人垣の向こうから拡声器を使ったらしい大きな声が聞こえてきた。
「はーい。一年生のみなさーん!聞こえますかー?」
ルルがつま先立ちになり声の方を見ると、何か壇のような物の上に立っているのか、遠くに顔だけが見える。
はっきりとは見えないが、若い男性のようだった。
短い髪の毛を無造作にかきあげているだけのラフな雰囲気だが、精悍そうな顔つきのせいか野暮ったい感じはしない。
右手に持った拡声器に向けて再び声を上げる。
「えー、おはようございます。生徒指導のオノギといいます。」
一旦切ってから、あたりを見回して続ける。
「皆さん、一年生は今から演習棟に行ってもらい、そこで入学式とクラス分けをお知らせします。
それでは移動を開始しますので前にいる二年生についていってください。」
そういって壇上から降りていったのか、その姿は見えなくなった。
かわりに、前の方から徐々に人垣が進んでいく。恐らくは二年生達が先導しているのであろう、
複数の声が道を促すように話しているのが聞こえる。
それに従い、ぞろぞろと列を成して敷地内に入っていく。
ルル達も周りに合わせてついていくと、やがて大きな建物が目に入ってきた。
恐らく校内で一番高い建物であろうそれは、見上げると大体五階建て位の高さはあるだろうか。
幾つも在る入り口の一つから中に入っていく。
何人もの一年生達に紛れ、ルル達はお互いが離れないよう、注意しながら進む。
幾つかのドアを過ぎたか、一同は吹き抜けの、開けた場所へと出てきた。
やや薄暗い室内を見渡すと、どうやら目的地に到着したらしい。
先行していた二年生が、順々に自分の席に戻っていく。
入り口に留まっていた彼らを促すように目線を投げているのは、先程のオノギである。
どうやら席は先着順らしく、前の生徒から席に着く。
一年生達の席から向かって右が二年生、左が三年生のようで、赤と黒の学年色が主張してくる。
良く見ると、何人かの首元に鈍く光る銀色が見て取れた。
(男子の手元は良く見えなかった。)
やはり、三年生側に偏ってはいたが、二年生の方にもちらほらと光を認めることが出来た。
やがて、ルル達の番が来たので、前に習って席に着く。
見た目より、なかなかの座り心地だったので、ルルの顔に若干の笑みがこぼれる。
ガーネットについて来た為、自然彼女の隣に座る形になった。
後から来た、やや大柄な男子生徒がルルの右隣に腰掛ける。
ちらり、とこちらを一瞥すると、興味が無いのか、すぐに視線を前へ戻す。
暫くざわついていた室内に(主に一年生だが)オノギの声が響く。
「えー、一年生がそろいましたので、これより入学式を開始致します。」
先程までのざわつきが、スッと静まる。
心無しか、二年生と三年生の顔が若干強張った気がする。
左右の空気がピリッと音を立てた気がした。
「……宜しい。」
そう言って、オノギが一歩下がる。
彼の横を抜けて、壇上に一人の女子生徒が上がる。
ルル達の席からでは遠目でしか見えないが、首元の黒いチョーカーと、
それに付いているシルバーはかろうじて見て取れた。
静々と壇の中央へ進むと、一同を見回して一息つく。
肩まで伸ばした髪の毛は、一遍の曇りもない綺麗な銀髪だった。
吸い込まれそうな大きな瞳は、髪と同じ銀色で輝く光が幾つもちりばめられた宝石のようだ。
柔和な笑みからは優しさがにじみ出ているかのような安心感があふれる。
何処から見ても、恐らく十人が十人とも美人と認めるであろう容姿だった。
目の前のマイクをいじり、自分の高さに合わせる。
若干のハウリングが耳をつくが、気になる程ではない。
小さな咳払いを一つ。
「皆さん、始めまして。生徒統轄会長を務めます、三年のヒバリです。
この度はロレント高校への入学、おめでとうございます。」
その声は、まさしくヒバリが囀るような美しいものだった。
「我が校の教育方針は、生徒の自主性を促すものであり、
また、己の行動に責任を持つことにより、個の自立を計るためにあります。」
凛とした口調で語る姿は、容姿も相まってか、どこか幻想めいている。
何処からか、溜息がこぼれる音が聞こえるが、仕方の無いことだと思う。
ルルの右隣の男子も例に漏れず、尊敬の眼差しを向けている。
ひとしきり、挨拶が終了したのか、姿勢を正したヒバリは、ふと思い出したように付け加える。
「そうだ。我が生徒会は、有能な人材を募っています。来月の選考会には一年生の諸氏にも期待していますので、
立候補したいものは、各担当教諭に意思を伝えてください。
他の委員会や部活は、明日から勧誘、及び選考会を開始するように。」
一緒により良い高校にしましょう。と加えて、一礼した後壇上から降りる。
その後、校長や理事の人間が簡単な挨拶をした後(どうにもつまらない内容だった)
オノギからクラス分けの指示が出された。
「各自の端末に、合格連絡の際に同梱したアクセス番号を入れてあることと思う。
ただ今より、学校側へのアクセスを許可したので確認してください。
各々の端末へ、クラス表と各種連絡事項を送信したので目を通して置くように。
マップも送ってあるので、迷うことはないと思うが、万が一の時は上級生か教諭に声をかけること。以上。」
一息でまくし立てると、そそくさと会場から出て行く。
他の参列者や生徒達も、それに習って席を立つ。
皆、近くの者達とクラス分けや、先程ヒバリが言っていた生徒会や委員会のことを喋りながら移動している。
「僕は……、二組だ。ガーネットは?」
そんな人達に紛れつつ、手のひらに収まるサイズのそれを弄りながら、横に立つガーネットに尋ねる。
若干、ガーネットの方が背が高いため、自然と見上げる形になる。
「私は三組ね。残念、違うクラスみたい。」
まぁ、隣だからいつでも会えるわよ。とカラカラと笑う。
ちなみに、二人ともマップを開きながら、既に目的地へと向かっている。
演習棟から出た二人は他の生徒にくっついて行きながら、本棟へと入る。
大きな入り口を抜けると、こちらも吹き抜けになっており、最上階まで続いている。
天井には、色とりどりのガラスらしきものがはめ込まれ、太陽の光を受けてキラキラと輝いている。
左右に階段があり、そこから上へ上がる。
マップによると、一年生が二階、二年生が三階、三年生が四階にそれぞれのクラスがあるらしい。
順路に従って行くと、目的の教室に到着した。
ドアの前でガーネットと目を向けると、向こうも同じようにこちらを見たのか、目が合う。
ガーネットは、ニコッと笑みをこぼすと左手を挙げながら言う。
「じゃあ、頑張んなさい!」
上げられた手にあわせるようにルルも右手を挙げ、それに答える。
「うん。そっちもね!」
パチン、と乾いた音が、あわせた二人の手からはじける。
これからの、長い学園生活の幕開けを告げるように。
あとがき
・お疲れ様です。
読んでいただき、ありがとうございます。
何かわからないところなど、ありましたらご質問下さいませ。
答えられる範囲で、本文内かコメントで返答させて頂きます。
ではまた。