出会い
だからお願いします! どうか私を助けてください!! 少女の話を聞き終わった後、俺はしばらく言葉が出なかった。
まさか、勇者が義理の母親を殺そうとしていたなんて・・・ しかも、彼女はまだ幼い子供だというのに。
許せない・・・ もし彼女がいなければ俺の父さんは死なずに済んだはずなのに・・・ 怒りで体が震える。
しかし、今の自分には何もできない。
仮にできたとしても返り討ちにあうだけだ。
悔しさを噛みしめながらその場を去った。
それから数日たったある日、俺はある噂を聞いた。
なんでも、村の外れにある森の奥深くに魔族の少女がいるらしい。
そいつを倒すことができれば莫大な富を得ることができるとか・・・正直、迷った。
でも、このままではいけないという思いもあり結局行くことに決めた。
しかし、一人で行かせるには危険すぎると思い村長に相談することにした。
「村長、相談したいことがあるんですけど」
「おぉ、君じゃないか。一体どんな話だい?」
「実はですね・・・」
事情を話すと村長は難しい顔をして考え込んだ。
しばらくして口を開く。
「わかったよ。ただし条件がある」
「なんですか?」
「僕も一緒についていくことだ」
予想外だった。
てっきり反対されると思ったからだ。
だが、これは好都合かもしれない。
村長の力を借りることができれば心強い。
こうして俺たちは二人で森の中に入っていった。
道中は特に問題はなかったのだが、目的地に近づくにつれて嫌な雰囲気を感じるようになった。
おそらくもうすぐだろう。
そう思った矢先、突然後ろから声をかけられた。
「お兄ちゃんたち、こんなところで何をしているのかなぁ~」
振り向くとそこには一人の少女がいた。
見た目は10歳くらいだろうか? 身長はかなり低い。
肌の色も青白く不健康そうだ。
髪の色は黒。
瞳の色は赤色をしている。
服装は白いワンピースを着ている。
一見すると普通の女の子に見えるが・・・ なぜか背筋がぞくっとした。
本能的に恐怖を感じているようだ。
もしかするとこいつが例の魔物かもしれない。
そう思い警戒する。
すると、向こうから話しかけてきた。
「ねぇ、聞いているんだけど答えてくれないかしら?」
「あ、ああ・・・」
声がかすれる。
うまく声を出すことができない。
すると、今度は別の方向から違う人物の声が聞こえてくる。