追放
10年以上続いた勇者パーティで最年長になってしまったおっさん(35)はとうとう戦力外通告を受けてしまう。
「何してんだよおっさん」
若手勇者が俺を叱咤する。俺は今年で35歳体力的にピークは過ぎた剣士だ。今いるパーティは勇者パーティで魔王討伐を目標としているのだが。
「だってよお、最近全然魔物と戦えてないんだぜ? このままじゃレベルも上がんねえしスキルも増えねーよ」
「そんなこと言ってたら死ぬぞ?」
「すまない」
そう言いながら目をそらす。この勇者はいい奴なのだが口が悪いのが玉に瑕だな。
「あんたっていつもそうよね! 戦闘でも何もしないで偉そうにしてるだけじゃない!」
魔法使いの女が俺に向かって叫ぶ。
「うるせえなあ、おっさんみたいな雑魚と一緒にいたらこっちのレベルまで下がるだろうが」
つい本音が漏れてしまう。
本当はわかっているのだ。自分が足手まといになっていることを。全盛期なら彼らと同等以上に戦えた。しかし、今の俺ケガと経年劣化で能力は落ちてしまっている。
だから強い彼らについて行こうとしている。
「ごめんなさい……私のせいで」
僧侶の少女が申し訳なさそうな顔で言う。
「違うんだ、君のせいなんかじゃないよ。悪いのは全て弱い俺なんだ……」
自分の不甲斐無さに嫌気がさしてくる。
「もういいですわ、あなた達とはやっていけませんもの」
聖女である少女がため息交じりに言う。
「ああ、そうだなこんな奴がいるパーティにはいられないからな」
勇者の言葉を聞き流しながら俺は街へと戻る。
「どうしたんですか?」
部屋で休んでいるとリーダーが俺の部屋に訪ねてきた。
「話したいことがある」
勇者は真剣な顔をしていた。
「あんた、もう辞めてくんない?正直足手まとい」
「どうして!?」
突然の事に驚きの声を上げてしまう。
「限界だよ。どれだけ頑張っても強くならないお前を見てるとイラつくんだよ!」
怒りに満ちた目で睨みつけてくる。
「待ってくれ!まだやれる!まだ頑張れる!!」
必死に訴えかける。
「無理よ、あなたいるメリットが無い、
そろそろ隠居したらどうですか?」
「お前はクビだ、出て行け」
勇者パーティの仲間達は冷たい視線を浴びせかけてきた。
こうして俺は勇者パーティを追放された。