プロローグ 亜人たちとシェアハウスしながらスローライフを
年齢的に衰えの見え始めた俺(36)は若手パーティから追放された。路頭に迷っていたが幸運にも村に居場所を見つけてスローライフを始める。村での生活の中で魔族やエルフ族などの亜人たちとシェアハウスをしながらのんびり暮らしている。そんな俺もここまで来るまではどん底を味わい、無一文んで餓死する寸前にまで行ったものだった。
この村に来て二年がたつだろうか。勇者を引退した俺はこの村で、美女のエルフや娘たちをシェアハウスを送っているのだ。
「……なによ」
と、俺の視線に気付いたのか、リリアナがジト目で睨み返してきた。
「いやあ、今日も可愛いなって思ってさ」
「はっ!? ちょ、ちょっといきなり何言ってるのよ!」
「いやだって本当のことだし?」
「そ、そういうことを軽々しく言わないでっていつも言っているでしょう! こっちにも心の準備があるんだから……」
顔を真っ赤にして抗議してくるリリアナだが、その言葉とは裏腹に嬉しそうな表情をしているのは隠せていない。ツンデレ属性まで完備とはなかなかどうして、隙のない娘だ。
「ああもう、そんなことより早く出かけましょう? 今日は私、お弁当を作ってきたのだから」
そう言いながらリリアナはバスケットを持ち上げて見せる。おお、マジか。それは楽しみである。
「へえ、そりゃまた随分と気合が入っているね」
「当然じゃない。貴方のために作ったのだから……ほら、行くわよ」
「へいへい」
そうして俺たちは家を出て、森へと向かうことにした。
「しかし、本当によく作れたなぁ」
「ふふん、まあ料理に関してはそれなりに自信はある方だし。それに、レシピさえあればそれくらいどうってことはないわよ」
自慢げに語るリリアナだが、正直かなり驚いた。まさか彼女がここまで料理ができるとは思っていなかったからだ。これは今度、何かしらの形で礼をしないといけないかもしれないな。
「さて、着いたぞーっと……ん?」
目的地の森へと辿り着き、辺りを見回す。だがそこにいるはずの少女の姿はなかった。おかしいな、約束の時間には確かにまだ早いはずだが……。
「あら、珍しいこともあるものね。あの子が時間通りに来るなんて」
「だよなぁ。普段なら俺の方が先に着くはずなのに」
「……ねえ、ひょっとしてあの子―――」
その時だった。
「……あっ!!」
背後から突然声が上がる。振り返るとそこには、一人の小さな女の子がいた。
「うおっ!?……なんだ、お前さんかい。驚かさないでくれよ」
「ご、ごめんなさい……!」
素直に頭を下げるその子の名は『ノエル』というらしい。彼女はつい最近この村に引っ越してきたばかりであり、俺が初めて出会ったエルフでもある。
今でこそ一人ではないが、ここに来る前は勇者パーティを率いていた時期もある。そこから追い出されてしばらくは大変な目にあったのだった。