朝チュンですにゃ
「チュン、チュン、チュン・・・」
窓の外からは小鳥のさえずりが聴こえて来る。
うっすらと明るくなり出しているので、朝が来たのだろう。
「ううん・・。ハル君? おはようですニャン。」
ピスカがひしと抱き付いてくる。
此方からも強く抱き締めて、その感触を全身でしっかりと確かめる。
「ハル君、どうしたニャン?」
大丈夫。自分は確かに生きている。
「ハル君は甘えんぼさんだニャン♪」
ピスカが優しく受け入れてくれる。それがとても心地好い。
腕の中からはなれたピスカは朝日の中で柔らかく微笑んでいる。薄いキャミワンピが光を受けて、体の線が透けて綺麗に見えている。まるで天使が舞い降りたかのようだ。
いつまでも見ていたいと思っていたら、ピスカはキャミワンピを脱ぎだした。綺麗な肌に思わず手で触れそうになる。
寝巻きから着替えたピスカは朝食に茸のポタージュを作ってくれた。濃厚な旨味は姉妹にとっても極上だったらしく、皿の残りはパンで綺麗にぬぐい取られていた。
「村の人達に薬草を分けてあげても良いですニャン?」
「勿論ですよ。薬草も茸もまだまだあるので、出して置きますね。」
「ありがとう! 嬉しいニャン♪」
ピスカが外へと出掛けて行ったので、マオと家で二人だけになった。
「さて、これから何をしようかな?」
「今日は食材がまだまだあるから、森に行くのはお休みするにゃ。マオは水汲みと畑のお世話を、午前中に終わらせるのにゃ!」
マオは小さいのにお手伝いをして偉いね。
「午後は一緒に遊んであげるから、ハルはお昼まで一人で遊んでてくれるかにゃ?」
これがヒモになった男の気分というものなのか・・・。
取り敢えずヒモなりに手伝う事にする。
先ずは水汲みか。台所に幾つか甕が置いてある。
「マオ、これに水を入れるのかな?」
「うん、そうだにゃ?」
魔法を試してみる。亜空間の水樽から直接放水だ。
「ジャア~~~。」
水量調整も問題ない。
マオが恐る恐る、水の味を確かめる。
「お兄ちゃん、川の水より美味しいにゃ!?」
上流、というか、湧き立ての水だからね。
「畑の水やりも出来るのにゃ?」
「勿論できるよ、まかせてよ。」
午前中の仕事は、予定より随分と早く終わった。
「時間があるから、薪でも用意しとこうか?」
「助かるにゃ。お兄ちゃん、大好きにゃ!」
「マオの事も大好きだよ。」
手を繋いで二人で森に浅く入って行く。
この辺の木なら間引いても大丈夫かな。
何本か亜空間に格納していく。
「お兄ちゃん、凄いけど大きすぎて薪には使えないにゃ?」
「うん、大丈夫だから任せてよ。」
取り敢えず、家の近くまで戻る。薪置き場は裏手か。
亜空間内のまま、木を裁断して、乾燥させ、束にしてと・・・。一束をドスンと出してみる。こんな感じかな?
「お兄ちゃん、凄いのにゃ! かっこいいにゃ!」
ドス、ドス、ドスン・・・
取り敢えず薪には問題は無さそうなので、一山くらいを出しておく。
「凄すぎるにゃ! マオはお兄ちゃんを愛してるにゃ♥️」
マオの方に問題が出てきた。
村で採れるもの
水
茸、薬草、香草、鳥、鶏卵
根菜、野菜、豆、小麦
山羊乳、チーズ、山羊毛
鹿、獣油、薪、木製品
果物、山葡萄、ワイン
蜂蜜、メイプルシロップ
村では採れないもの
塩、胡椒、牛、魚介、オリーブ
鉄、布、糸、硝子、綿花、蚕
米、味噌、醤油