ノーブラがぉ
「きゃあああああっ!!!!」
朝から甲高い悲鳴が上がる。念のために服を確認してみる。大丈夫、パンツはちゃんと履いているようだ。取り敢えず犯人は自分ではなくてほっとする。
「何かあったのですか?」
「スフーが蠍にやられたガォ。よりにもよって緑ガォ。」
シェラによると普通の蠍なら命には関わらない筈だが、コイツは毒の強いやつらしい。しかもスフーはまだ身体が小さいから毒の回りもとても早い。
「あれだけ靴の中の確認を忘れないように言ったのに、スフーは大バカなんだがぉ。」
スフィアが泣きそうな声だ。
スフーは白目を剥いて涙と涎を垂れ流している。激痛に悲鳴をあげたかと思うと、ひくひくと身体を痙攣させて呼吸もあやしい。
「これはもう助からないガォ。長く苦しむだけだから早く楽にしてあげるガォ。」
冷たいようだが正しい判断だろう。私がいなければの話だが・・・・。
「3分だけ僕に時間をくれませんか?」
時間が惜しいので、返事も待たず強引に割り込む。
傷口は赤く大きく腫れているので直ぐにわかった。そこに躊躇なくしゃぶりつく。
「傷口から毒を吸い出そうとしても無駄なのガォ?」
そうじゃないよ?傷口からスフーの血液と毒素のサンプルを入手する。腔内でナノマシンを使い最適化したワクチンを生成する。
痙攣しているスフーの顎を掴み、強引に舌を差し入れる。牙で舌を噛みきられないように注意しながら、抗体とナノマシンを流し込んでいく。スフィア達からすると病人に無理やり唾液を飲ませているように映っていることだろう。
「ペロペロ、ペロペロ・・・・」
気が付くとスフーが一生懸命に舌を求めて口を動かしている。まるでそこに救いがあるかのような必死さだ。
「「!!!!!!」」
本当は胎内にも薬をいれておきたい所だが目立ちすぎるのでやめておく。回復に少し時間がかかるかもしれないが、対処が早かったから後遺症が残る心配もないだろう。
スフィア達に感謝されたがお互い様だ。泊めて貰っているだけでも十分過ぎる。それでも他に何か出来ないか聞いてくるので、宮殿の案内をお願いした。
スフーの容態がが落ち着いたので、スフィア達に世話を任せてバザールの散策に出る。ザクロはこの街の名物らしく、其処らじゅうで売られている。ガスパチョはトマトベースの冷たいスープだ。トマトに玉ねぎやピーマン、パプリカなどたっぷりの野菜をミキサーにかけ、塩コショウと酢で味を調えるだけの簡単料理。なのに暑さのせいか、病み付きになる美味しさだ。
夜は寂しいだろうと、スフィアが添い寝をしてくれた。いい匂いがする・・・。この甘い香りはザクロだったのか。今日のスフィアは何故だかノーブラだ。スフーのお礼のつもりなのだろうか?その豊かな胸に顔を埋め、明日の事を考えながら眠りにつく。夢の中でおっぱいを吸っていた気がするが、スフィアに何も言われなかったから多分気のせいなんだろう。