薬草を売るガウ
何事も無く?無事に門を通り抜ける事ができた。
門に続くメインの大通りは、早くも食べ物の屋台や、宿の客引きでにぎわっている。
「大きな市場があるから、後で案内をするワオ。」
リュカの案内でお店に向かう。はらぺこライカがちょっと残念そうだ。
最初に向かったのはこ洒落たレストランだった。営業は昼からだろうに、早朝からすでに仕込みが始まっている。
「こんにちわガウ!」
「良く来てくれた。待ってたよ。」
料理人達はライカの茸を吟味し、さっそく献立の組み立てに夢中になっている。ホールを担当しているらしい、元気いっぱいの女の子のアンナが、代わりに計算をしてくれた。給仕の時にはかわいい制服を着るそうなので後で見せて貰おう♪
乾燥した松茸やトリュフ、ポルチーニ茸は高価なので1本で¥2000程になるそうだ。100本で¥20万か。これだけの数をチート無しで良く集めたものだ。他の茸類、香草類もどんどん換金されていく。
「今回は乾燥前の生の茸や香草も有るのですが?」
ザザっ!!
真剣な視線が一斉に集まり、かなり怖い。
「それは本当でしょうね?」
「大人しく全て出しましょうか?」
迫力に焦ったが、目立たない様に少しずつ出す事にする。素材を痛めないように箱詰めのまま丁寧に出して行くと、すぐに料理人達が香りを確かめ味見をはじめる。
「松茸、鶏、葱、炭火の薫りをコンソメにまとめたらどうだろう?」
「立体的なのも良いが、素材をそのまま押し出す料理も捨てがたい・・・」
「トリュフは肉にあわせるか?パスタに合わせるか?いっその事・・・・」
長くなりそうなのでと、アンナが賄いをわけてくれた。これは凄く美味しい!素材それぞれの輪郭がはっきりとしている。ハーモニーも絶妙だ。ライカはもっと味わって食べようね。
取り敢えず3倍の値段で計算してくれるらしい。いろいろと10本ずつ出すと、合計で¥30万ほどとなった。気に入って貰えたようで何よりだ。このお店なら素材を大事に使ってくれることだろう。
次に向かったのは、通りを外れた静かな場所の小綺麗なお店だった。
「ギルドとかを通すと間引かれるワオ。ここは馴染みだから安心するワオ。」
「こんにちワオ、メグ!久しぶりワオ!」
「いらっしゃい、リュカ! おばあちゃん、リュカが来たよお!」
可愛らしい女の子が出迎えてくれる。ヒラヒラの服とマジックステッキが似合いそうだ。目がキラキラとさせていて微笑ましい。
メグに呼ばれて奥から出てきた店主の方は全身黒尽くめだ。黒い帽子を被って顔を隠している。
「今回もいい状態だ。数はかなり多めだねえ。無理はしていないかい?」
お金を用意しながら心配もしてくれる。
「こんなものも有るのですが?」
さっき亜空間から出しておいた、生の薬草を並べていく。
「!!!!、一体これだけのものをどうやって?? いや聞くのはよそう。これは助かるよ。」
鮮度で効能が変わったり、落ちたりするものもあるからね。店主は目を光らせたが、黙って金を出して来る。思っていたよりもかなり多い。
お金の単位は取り敢えず円と同じで。解りやすさ優先で。