これはパンツガウ
次の日は昼前に穀倉地帯に入った。
かなり広い。見渡す限りに続いている。これだけあれば、かなりの人口が養える。おそらく交易品として、輸出をしているのだろう。
火事が怖くて火を使いたくないので、お昼は干し肉をかじって我慢する。固くて塩気が多いので本当はスープにしたかった。消化も悪いので良く噛んで味わう事にする。
ライカとリュカがボリボリと食べているのは、気にしない事にする。
夕暮れには遠くに城壁が見えてきた。思っていたより大きな街だった。都市に近い規模だ。日没の門限までに間に合うかもしれないが、門の行列もあるだろう。慌てない事にする。
すっかり暗くなってから、北にある門まで到着する。月明かり照らされた街道には、開門待ちの行列が出来ていたので、後ろに並ぶ事にする。
テントや焚き火がちらほら見えたので、此方も使う事にしよう。
焚き火で暖を取り、スープを作る。
串に差した肉を炙り、ライカにアーンすると嬉しそうに頬張る。リュカも口を開けて催促している。これくらいのサービスはしても良いだろう。
そして、日の出とともに門が開く。
明け方にやって来る人が多いらしく、開門待ちの行列はかなり長くなっていた。昨日は夜の内に並んだので、そんなに待たずに済んで助かった。
「何処から来たのか?人数は?名前は?この街での目的は何か?」
そして荷物のチェックが始まる。薬草や茸を手早く確認する手際は、おそらく何万回もやってきたのだろう、動きに無駄がなく洗練されている。
その係の動きが突然止まる。
「この紐みたいな綺麗な布は何だ!?」
手触りを確かめながら、詳細に調べていく。
「この材質、この繊細で緻密なレースにデザイン!かなり高名な職人のものだろう。なぜ申告をしない? そもそも此れは何なのだ??」
「これはパンツガウ!」
困った係員がリュカを見る。
「これはパンツワオ!」
係員が混乱している。
「まさか、そんな訳は・・・・」
ライカとリュカが揃ってスカートを捲り上げた!
村は130世帯、500人、半径5キロ程度の想定
街は2千世帯(穀倉地帯を含む)、8千人、城壁は半径3キロ程度の想定