猫耳姉妹にゃ
「人里までの案内をお願い出来ますか?」
「お任せくださいませ♪ 泉の流れを下って二時間程で、小さな集落まで辿り着きますよ。」
「こちらでのお金はどうしましょうか?」
「途中に高価な薬草や美味しい山菜があるので、それで十分に足りるでしょう。」
「薬草ですか? この世界の人は内部ナノマシンがあるから、薬草なんかは使わないのではないですか?」
「この時代で内部ナノマシンが残っているのは貴族だけです。只の村人に魔法は使えませんよ。」
採取をしながらのんびりと歩いて3時間ほどか。やっと森を抜けると、まばらに民家が見えてくる。門や柵が無いのは、この森には危険な動物が少ないためなのだろう。
「お兄ちゃんは、一人で森から来たのかにゃ?」
素朴だけと可愛らしいエプロンドレスの女の子が屈託無く話しかけてくる。良く見ると、ちょこんと猫耳と尻尾がのぞいている。
「そうですよ。」
「お姉ちゃ~ん!」
「はい、はい・・・。あらあら、こんなにお若いのに旅人ニャンですか!?」
そう言う姉の方でもこの身体と同い年位だろうか?
「村の外からの人は久し振りだから話をききたいのにゃ。晩御飯をご馳走するからうちに泊まっていくのにゃ!」
迷惑では無いだろうかと姉の方を伺ってみると、
「駄目ニャンですか?」
上目遣いで、じっと見つめてくるのが愛らしい。
「駄目じゃないです!」
勿論、此方からお願いしたいくらいです。
「ご迷惑で無ければお願い出来ますか?」
「嬉しいニャン、もちろん大歓迎なのニャン!」
笑顔がとても眩しい。
猫耳姉妹に家まで案内をして貰う。
二人して自然と手を繋いで来るのがちょっと恥ずかしい。手の感触は柔らかく暖かい。なんだか気持ちよくて幸せな気分になってくる。
「あたしはマオにゃ!」
「私はピスカですニャン♪」
「二人とも可愛らしい名前ですね。わたしの事はハルと呼んで下さいね。」
程なくたどり着いた家は二人暮しにしては少し大きいようだ。
「父母は行商に行っているのニャン。ここの森で取れたものは街まで持っていくと結構高く売れるのニャン。」
視線に気付いたピスカが教えてくれた。寂しいだろうに元気で良い子達だ。そうそう、森で採った薬草と山菜があったんだ。
「良かったらこれをどうぞ。」
「これは凄いニャン! こんなにも沢山、本当に貰っても良いのですニャン?」
「勿論ですよ。」
「助かるにゃ~ん♥️」
夕飯に出た茸のアビージョは香り高くて、箸が進んだ。只の炭火焼きも風味が良くて2人とも大喜びだ。
「この村ではお風呂はどうしているのかな?」
無いだろうとは思ったけど、一応聞いてみた。
「お兄ちゃん、お風呂なんてお貴族様位しか使わないのにゃ~」
「お湯を沸かすので、私が後でハル君のお背中を拭いてあげますニャン♪」
村は130世帯、500人、半径5キロ程度の想定