満月ガウ
脇道に入り、商隊から十分に距離を取る。途中の村には目ぼしいものは無いそうなので、町を目指してショートカットするつもりだ。
日暮れが近くなったので、ライカを下ろし夕飯の支度にはいる。
まずはメインだ。大きめの野鳥を捕まえて、リュカに処理してもらう。
今日は乞食鶏だ。下処理した鶏に香辛料を刷り込み、中には香草も詰める。香りの良い葉っぱでくるんだのち、さらに土で全体を包む。この上で焚き火をして、じっくりと焼いて行く。
次はスープだ。仕込をすませてリュカに火の番を頼む。鶏のモツは串に差して置いておくので繋ぎに食べてね。
焼き上がりまで時間がかかるので、その間を使って、ユイと相談しながら素材を集めていく。一山を越えると育生もかなり違って来る。
乞食鶏は美味かった。
肉は柔らかく、味を逃がさず、濃厚なうまみが出る上、香草の香りも加わって、風味豊かなことこの上無い。三人で夢中になって食べる。
食後はお風呂だ。そろそろ、さっぱりしたいよね。風呂桶をはじめて見たリュカは珍しがっていた。
直ぐにお湯をはり、服を脱ぐ。
いまさらだが、裸になっても誰も気にしない。ライカとリュカもお揃いのティバックに手を掛けている。少し前屈みになった胸が綺麗な曲線を描いていて目を奪われる。
皆で頭からお湯をかぶり、さっぱりとしていく。
やっと落ち着いたので、湯船でくつろぐ。今日は本当に慌ただしかったよ。
気がつくと夜空に満月が昇りはじめていた。
大きく、まるく、明るい。
気がつくとライカが仁王立ちして此方を見ていた。
蒼い目を光らせ、銀色の髪と白い肌が月の明かりを受けて、夜の闇の中に浮かび上がっている。まるで絵画のようだ。