表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/104

放たれた砲撃




「記念すべき一発目……発射だ」





「させるかああああああ!!」

アスタルテは渾身の力でクエンの前に張ってあるバリアに殴りかかる。

が、亀裂が僅かに増えるだけだった。




「なんでこんな……!」

アスタルテが唇を噛みしめたその時、クエンの前蹴りがお腹に直撃する。





前蹴りの勢いで地面に叩きつけられたアスタルテは、悔しさから拳を強く握る。




(完全に……完全に慢心してた……!)




 アスタルテは土を強く握りしめる。

アスタルテは自分から口には出さないものの、己のステータスの高さから自分が一番強いのだろうと思っていた。

それもそのはず。

何故なら、転生時にキヤナから聞いていた最高レベルである魔王ノレスはこの世界に来て序盤に戦い、互角の勝負をした。

そしていま現在のアスタルテのステータスは、そのときと比べ数倍にも膨れ上がっている。




となれば、必然的に自分がこの世界での最高ステータスであると確信していた。

事実、今まで戦った中で苦戦を強いられた敵がノレス以外いなかったし、先程戦ったクロも受け身特化だったからこそ手こずったものの、純粋に殴り合ったら一瞬で勝負はついただろう。




(そうだ……状態確認(ステータスチェック)!)




アスタルテはクエンに状態確認(ステータスチェック)をかける。

バリアは攻撃するたびに亀裂が入っているのだ、攻撃を重ねて壊せばクエンに手が届く。

直接対決になってしまえば勝てるはず…!





「え……?」




しかし、ステータスを見たアスタルテは思わず困惑の声を出す。







○●○●○●○●○●○●○●○●






✩名前 - クエン -


適正冒険者ランク - ??? -






✩Lv - 65 -






✩ステータス


HP(体力) - 800(+3000) -


MP(魔力) - 450(+1800) -


STR(物理攻撃力) - 220(+3000) -


INT(魔法攻撃力) - 550(+3000) -


DEF(物理防御力) - 400(+1500) -


RES(魔法防御力) - 500(+1500) -


AGI(素早さ) - 150(+1200) -






☆備考

魔王ノレスに継いで魔王を名乗る者。

力を持たずに権力だけを振りかざす者を心から嫌っている。







○●○●○●○●○●○●○●○●








元のステータスは大したことない……のだが、問題はその横の上昇値だ。

アスタルテは慌てて自分にも状態確認(ステータスチェック)をかける。

そういえば最後に見たのはかなり前だ、あの時よりも確実に上がっているはず……。








○●○●○●○●○●○●○●○●








✩名前 - アスタルテ -





✩Lv - 47 -








✩ステータス


HP(体力) - 2700 -


MP(魔力) - 1850 -


STR(物理攻撃力) - 1720 -


INT(魔法攻撃力) - 1600 -


DEF(物理防御力) - 1440 -


RES(魔法防御力) - 1350 -


AGI(素早さ) - 900 -


LUK(運) - 60 -










○●○●○●○●○●○●○●○●








それを見たアスタルテは絶句した。

確かにステータスは以前と比べ大幅に上昇している。

だがどれもクエンに遠く及んでいないのだ。





(どうする、どうすればいい!?)





そうだ、皆と力を合わせて倒せばいい。

私一人のステータスが届いていなくても、皆のステータスを合わせれば超えられるかもしれない…!




なんならノレスと二人でもいけるかもしれない。

なんていったってノレスも自分と同じで確実に強くなっているのだ。





「そうだ……そうしよう、まずは皆と合流して……」






────ゴガアァァァァァァァァ!!!






その時突然、地を鳴り響く轟音がアスタルテの耳を突き抜けた。

その正体はクエンの召喚したキャノン砲、つまり発射した音だった。




巨大な砲身から極太のレーザーが照射され、グレイスの町に向かって一直線に進む。





「やばい!!」




それを見たアスタルテの身体は考えるよりも先に動いていた。




アスタルテはグレイスとレーザーの間へと移動すると、両手をレーザーに向ける。




(フレイム!フレイムレーザー!フォースフレイムレーザー!!)




アスタルテはありったけの魔力を使ってレーザーに魔法をぶつけるが、レーザーは三分の一程削れただけで変わらず突き進んでいた。





「くっ…! でも、これなら…!」




アスタルテは天地両撃を唱え、ガントレットの巨大化させる。




「止まらなくても……打ち上がればそれでいい!うおりゃああああああ!!」





アスタルテはその拳を全力でレーザーに叩きつける!

勢いで負けないようガントレットとブーツに全力で魔力を流し、最大ブーストにする。





「ぐっ、ぬぬぬぅぅ!負けるかあああああ!!」




レーザーに叩きつけている右手の感覚が薄れてきたが、こんな所でへばってなんかいられない。




アスタルテはすかさず天地両撃を再度唱え、左手のガントレットも大きくする。

そしてレーザーを上方向へズラすように斜め下から全力で殴る。





────しかし、それは最善策とはいえなかった。





レーザーは予想通り上を向き、上空へと向きを変えた……のだが、上を向いたことにより正面からぶつけていた右手の拳が上に引っ張られ、アスタルテの身体はレーザーに飲み込まれてしまった。


 




────ドゴオオオオォォォォォン!!





逸れたレーザーは空中で爆散し、被害が出ずに済む。





(良かった……成功した……あとは……クエ…ン…を……)





爆発に巻き込まれながらも結果を見届けたアスタルテは微かに笑うと、空中で意識を手放したのだった────



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ