序章全四話のあらすじ
どうもこんにちは、あすれみです。
今回は今までの4話をざっとまとめた物になります。
冒険に出るまで大きな展開というものが無く、それまでが少し億劫に感じでしまうかなっと思ったので・・・
1,2話は読んだけど早く冒険へ出発して欲しい!という方はこちらを読んで頂ければ時短になるかなと思います!
他にも、1~4は読んだけど忘れちゃった・・・という方にもオススメです!
ただ端折ってコピペしただけではなく、所々修正も加えているので(ストーリーの設定などは変えておりません)ご安心くださいませ。
それでは!
俺の名前は神門詩憐みかどしれん、どこにでもいるごく普通の大学生だ。
────いや、だ・っ・た・というべきか。
俺はどうやら……死んだらしい。
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─ 2020年10月 ─
大学にバイクで向かっていた俺は、不運にも居眠り運転しているトラックに突っ込まれ命を落としてしまう。
そして目が覚めた時、そこは電子のようなラインの這う空間だった。
「目が覚めたのですね」
突然の声に辺りを見渡すと、そこには波打つ白い衣装を身に纏いうっすらと後光が刺す、まるで神様のような女性が立っていた。
そして、その女性が告げる────
「貴方にはこれから、次の世界へ転生するための肉体を創造して頂きます」
「……は?」
こうして、俺のキャラクリエイトが始まるのであった────
第一話 ~貴方にはこれから、次の世界へ転生するための肉体を創造して頂きます。~
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突然語られた言葉に詩憐は理解が追いつかず、間の抜けた声を上げてしまう。
(次の世界へ転生…はまだなんとか飲み込める…そういうアニメや漫画を最近読んだし…でも、創造ってどういうことなんだ…アニメにそんなのなかったぞ…?)
「まず、貴方が転生される世界についてお話させて頂きます、この世界には“魔法”と呼ばれる物が存在し、科学はほぼ存在しません。そしてこれら──────」
目の前の女性がなにやら説明しているが、詩憐は“創造”という言葉に気を取られ話が耳に入らない状態だった。
ようやく話をしている事に詩憐が気づいた頃にはもう遅く、女性は既に転生先の世界の事について話し終える所であった。
「……これで、この世界についての説明は以上となります。では次に───」
「あ、あの…!!」
知らず内に話がポンポン進んでいくので、詩憐は咄嗟に呼びかける。
「あっ、すみません私ばかり…何か質問などございますか?」
「えっとー、そのー…」
(やばい、話を止めたのはいいものの、すみません聞いていなかったので始めから説明し直してもらってもいいですか?なんて言える感じじゃないぞ…!?)
詩憐がどう答えるか悩んでいると、彼女はハッとなる。
「これはすみませんでした…私、大切なことを伝え忘れておりました…」
聞き直す事は出来なかったが、大切なことを聞き逃すまいと詩憐は耳を傾ける。
「私は輪廻の女神、キヤナと申します。本当は最初に言うべき事でした…申し訳ございません」
…まさかの自己紹介だった───
「えっと、それではこれから貴方の新しい人生を創造して頂きます」
キヤナはそう言うと、持っていた杖を軽く振った。
すると、詩憐の前にパネルのようなものが現れた。
○●○●○●○●○●○●○●○●
✩名前ヲ入力シテ下サイ
_________
○●○●○●○●○●○●○●○●
(なんだこれ、ゲームかよ!?)
詩憐は思わずツッコミそうになったが、こらえてパネルに“アスタルテ”と入力する。
それは普段詩憐がオンラインゲームなどで使っている名前だった。
「はい、承りました。それでは次に、容姿を創造して頂きますね」
そう言って目の前にまたパネルが現れる。
だがそれを見た詩憐は愕然とした。
○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●
✩性別 【選択シテクダサイ】
✩年齢 【___歳】
✩種族① 【選択シテクダサイ】
✩種族② 【選択シテクダサイ】
+タブヲ押スト追加、最大16種族マデ選択可能
✩容姿
▽骨格
▽体型
▽輪郭
▽顔
.
.
.
.
○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●
下へスクロールするとまだまだ続く果てしない項目に詩憐は目眩がした。
元々ゲームのキャラクリエイトが詩憐は苦手だった。
それにも関わらず、ゲームを遥かに超える自由度が広がっていたのである。
種族だけでも数百と種類があり、容姿の項目なんて元項目だけで数え切れないのに、“顔”だったら、そこからまた鼻、眉、眼球などと派生していっているのだ。
(どうすんだこれ…これ作ってる間に人一人の一生が終わるんじゃないか…?)
永遠に終わらなさそうな選択肢の前に詩憐は先が思いやられる気持ちだったが、意外にも早くその選択は終了する事となる。
──────《おまかせ》という文字の発見によって。
第二話 ~数の暴力~
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それから詩憐の作業は難航していた。
年齢は区切りよく20歳に設定し、種族は、見た目はほぼ人間だがせっかくだし長い人生を歩んでみたい、と思い、魔人と人間のハーフつまり悪魔族のクォーターにした。
そこまで決まったのはいいものの、問題は容姿である。
あれから少しでもカッコよくと思い、なんとなく目に付いた顔のパーツを選んでみたり、身長を伸ばしてみたりと頑張ったが結果は元いた世界のオンラインゲームよりも酷かった。
限界を感じた詩憐は、テンプレでもないものかとページを下の方まで一気にスクロールする。
すると、《決定》の横にとある文字が存在することに気づく。
「おまかせ…?」
その言葉に、杖をくるくると回して遊んでいたキヤナが反応する。
「あぁ、そちらはおまかせでランダムに創造させていただくものになります。ランダムとはいえ、手足の長さがバラバラになったり顔の輪郭が小さいのに対して体が大きくなったりといったことにはならず、バランス良く仕上がりますのでご安心を」
───これだ!と詩憐は思った。
詩憐が今までプレイしてきたゲームにも“おまかせ”は存在していたが、いびつな容姿になってしまったりと、とても選べたものではなかった。
「ただ、そちらのおまかせはこちらのページの全項目に振り分ける物で──────」
(しかし、今聞いた感じだとある意味テンプレに近いものだな…それならば悪くない、いやむしろ良い!)
この時、詩憐は自分にとって最も重要なことを聞き逃していた。
実は容姿という項目自体にお・ま・か・せ・がある事を─────
そして、詩憐が見つけた“おまかせ”はこのページ全てにおける“おまかせ”であり、種族はおろか、年齢、そして“性別”までおまかせになってしまうという事を─────
それもそのはずである。容姿の項目にある“おまかせ”は、数百種類ある容姿の最終項目に存在していたからだ。
たった数十項目で最後まで見るのを放棄してしまった詩憐にその文字を見つけられるはずもなかったのである。
「じゃあ、おまかせでお願いします!」
その言葉にキヤナは一瞬驚いた表情を浮かべたが、にっこりと微笑むと《おまかせ》を選択した。
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「それでは最後に、こちらの入力をお願いします」
キヤナがそう言うと、詩憐の前にまた新たなページが浮かび上がる。
○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●
✩ジョブ 【選択シテクダサイ】
✩初期Lv _____〈1~999マデ入力可能〉
✩初期ステータス
〈各1~999マデ入力可能〉
▽HP-ヒットポイント-体力-
______
▽MP-マジックポイント-魔力-
______
▽STR-ストレングス-物理攻撃力-
______
▽INT-インテリジェンス-魔法攻撃力-
______
▽DEF-ディフェンス-物理防御力-
______
▽RES-レジスト-魔法防御力-
______
▽AGI-アジリティ-素早さ-
______
▽LUK-ラック-運-
______
✩初期スキル選択
〈0~20個マデ任意選択可能〉
【 】
-
+
±タブヲ押シテ追加、削除
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「おぉ…!」
苦手な容姿作成では気が滅入っていたが、自分のステータスを降るというのはにわくわくする。
まずはジョブを選ぼう!と意気込む詩憐だったが、タブを開いてゲッ、となった。
なぜならそこにも大量の選択肢が用意されていたからである…
ジョブ選びに悩んでいると、ふとした疑問が浮かび、それをキヤナにぶつけてみる。
「これらのジョブは途中で変えられるんですか?」
「はい、途中で変更する場合は一定のステータスが必要となりますが、可能でございます」
なるほど、それならばと詩憐は上位ジョブのウォーリアを選択した。
選択肢の中にはヒーローなど、全種族頂点のジョブも存在したが、詩憐は別に最強を望んでなどいなかった。
一般的な冒険者よりも少し強いくらいで平穏に暮らせていけばそれが一番だと思っていたからである。
ジョブが決まった詩憐は、次の項目の初期レベルに進んだ。
キヤナさんに聞くところによれば、転生後の世界の平均レベルは詩憐のいた世界のオンラインゲームなどと比べると低く、一般市民が大体レベル1、数人しかいない冒険者の最高ランクSS級でも最低が60レベルだそうだ。
ここで一つ詩憐に疑問が浮かんだ。
─────この世界の最高レベルは一体いくつなのだろうかと。
特に深い意味はなく、純粋にいくつなのかと気になっただけであった。
しかし、それを聞いたキヤナは躊躇ったような顔をし、そして告げた。
「現在存在が確認されている者で最もレベルが高いのは魔王ノレスで、レベル90になります────」
この世界にも存在したのである。
────魔王が。
第三話 ~《おまかせ》の発見~
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魔王の存在を知った詩憐は動揺した──────
何故なら、詩憐がアニメで見てきた異世界転生の定番と言えば人間界への魔王の進軍を阻止し、魔王を倒す事が使命というパターンがほとんどだったからである。
正直、詩憐は魔王と戦うなんてまっぴら御免だった。
せっかく新しい人生を送れるというのに自ら死地に飛び込むようなものであるからだ。
「もしかして、俺が転生する理由って…その魔王を倒す必要があるから…なんですか…?」
詩憐は恐る恐る聞いてみる。
それを聞いたキヤナの表情がより真剣な物へと切り替わり、それを見た詩憐の心はより一層ザワつき、心拍数が上がるのを感じていた。
「特にそのような事はありませんので、ご安心ください」
しかし、キヤナから出た言葉はそれだった。
「……へ?」
(いや、違うんかいっ!!さっきまでの無駄な緊張感はなんだったんだよ!!)
無駄に緊張して疲れた詩憐はため息をつき、パネルへと向き直った。
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「うううむ…」
しかし、再び難航していた。
初期レベルは12と、Dランク冒険者の少し上にし、ステータスのパラメーターもそれに合わせて平均的な数値をキヤナに聞いて設定したのは良かったのだが、その次のスキルを見るとまたもやおびただしいほどのスキルが存在していたのである。
どうしようかと唸っている詩憐を見て、キヤナが話しかける。
「スキルはレベルや個人の成長に応じて新しく覚えられますので、深く考えなくても大丈夫ですよ」
「あ、そうなんですね…」
(それなら最初は無くても良いくらいだけど、なんかしら欲しい感じもするんだよな…)
そう考えた詩憐はある物を思い出した。
─────先ほど容姿作成の方で選んだ“おまかせ”である。
(おまかせなら適当に付くだろうし、仮に使えないスキルが付いたらそれはそれで無いものだと思えばいいか)
そう思った詩憐はスキルのタブを閉じ、《おまかせ》を選択してその横の《決定》を押した。
この時も詩憐は気付かなかったが、スキルのタブの最下部にスキル用の“おまかせ”は存在していた。
しかし、先ほどの容姿作成でも《おまかせ》を選んだ詩憐には、“おまかせ”はここだという先入観があり、深く注意しなかったのである。
こうして、名前以外の全選択を結果的におまかせにしてしまった詩憐の、アスタルテとしての人生が始まるのであった─────
第四話 ~そして新しい世界へ~