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ノレスとのデート①




「アスタルテ、起きるのじゃ」




何者かに名前を呼ばれ、アスタルテは薄く目を開ける。




「起きたか。ほら、支度せい」

「う~ん……」




目を擦りながら起きると、そこにはノレスがいた。




朝からなんでノレスが部屋にいるんだ…?と、まだ眠りから覚醒しきれていない脳で考える。




やがてノレスがいる理由が分かると、脳が一気に覚めた。




「あ、今日デートの日か!」

「あ、ってお主……寝ぼけてたとはいえ、我とのデートを忘れるとは…」

「ごめん!すぐ準備するから!」




そうだった、今日はノレスとデートする約束の日だった…




ノレスに申し訳ないと思いつつ急いで身支度を整え、ノレスと共に家を出る。





「さて、それではまず朝食を食べに行くとするかの。少し歩いたところに良さげな店があってな、そこに行くとしよう」

そう言ってノレスが歩き出す。

それを聞いたアスタルテは一つ違和感を抱いた。




「あれ?ノレスって過去にこの街に来たことあるの?」

「ん?いや、お主と来たのが初めてじゃが?」




なんでそんな事を聞いたんだ?とでも言わんばかりにノレスがアスタルテの顔を見る。





「え?じゃあなんでお店とか知ってるの?」

「そりゃ、お主とデートするからじゃ」

「ん…?どゆこと?」

「デートでエスコートするからにはプランを練るのは当然であろう?当然、店の下調べもしておる」

「へー、ちょっと意外かも…」

「お主…一体我をなんだと思っておる…」





なんか、ノレスって結構ずさんというか…わりと大雑把なイメージがあるからな…

あとなによりも、ゼルさんとコトハさんが行き当たりばったりすぎたせいで感覚がおかしくなってる気がする…




まあそうだよね、基本デートでエスコートする立場だったら普通は計画立てるよね…





改めてゼルさんとコトハさんのはデートとは言い難いな…と思うアスタルテだった。







「着いたぞ、ここじゃ」




10分ほど歩いた先に目的のお店があった。

まるで田舎の定食屋のような雰囲気のお店に入ると、店員さんに案内され席に付く。




「ご注文お決まりになりましたらまたお呼びくださいませ!」




店員さんはメニューをテーブルの上に置くと、カウンターの方へ戻っていった。




「何にしようかな…」




正直私は朝ごはんを食べないタイプなのだが、少し歩いたのもあっていい感じに小腹が空いていた。

メニューを見てみると、どうやら今は朝専用のラインナップみたいだ。




パンとサラダセット等の軽食からハンバーグのような重めの物まで、朝専用にしては結構種類が豊富だった。




ハンバーグか…

この身体になってから、胃もたれや胸焼けなどが一切起きなくなったおかげで朝から重いものもいけるのだが…




でもまあ、そこまでお腹すいてないしパンとサラダでいいかな。




「アスタルテ、決まったかの?」

「あ、うん。大丈夫だよ」

「ふむ」




ノレスはアスタルテの返答を聞くと、テーブルの上に置いてあるベルを手に取り鳴らす。




店員さんに注文内容を伝え、料理が来るまで待つ。





「ところでアスタルテよ」

「む?」

「他の者とのデートはどうだったんじゃ?」

「あー……なんというか、まあ、うん…」

「なんじゃその歯切れの悪さは…」

「うーん…簡潔に言うと、戦ったり昼寝したりかな…」

「ん?我はデートの日の事を聞いとるんじゃぞ?」

「うん、デートの日の事だよ…」

「あやつらは何を考えておるんじゃ…」




うん、それは私が一番聞きたいよ…





「お待たせしましたー!」




しばらく雑談をしていると、注文していた料理が届く。

サラダは採れたての野菜なのか、シャキシャキと歯ごたえが良くてみずみずしくとても美味しかった。

パンもいい焼き加減で、溶けたバターが丁度良く染み込んでいて絶品だ。





「どうじゃ?美味いか?」

アスタルテが食べていると、ノレスが問いかける。




「うん、めちゃくちゃ美味しい!よくこんないいお店見つけたね」

「お主がデートに行っておる間にそれなりに調べたからの。なんにせよ、口に合う様なら良かった」




なんだか、4回目にして初めてまともにデートしてる気がする…

そんな事を思いながら、アスタルテはペロリと完食するのであった。






最後にお会計を済ませ、2人はお店を出る。

ちなみに支払いはノレスの奢りだった。

ノレスって人生経験豊富そうだなーと思いつつ、次にやることをノレスが言うのを待つ。





「さて、では次は大通りの方で露店を見て回ろうと思うんじゃが、良いか?」




おお、俗に言うウィンドウショッピングですな。




「うん、分かった!」





アスタルテが答えると、大通りの方に向かって2人で歩く。




しかし、そこには小さな事件が2人を待ち構えているのであった─────



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