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コロロンウイルスに試されているの?  作者: 風の子ふうこ
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輪子との電話話

「好きな事、我慢出来るか?我慢出来ない事は?」

一人一人のそんな事に興味が湧いてきて、雪菜は何人かの友達にLINEを出してみた。その返信を見ながら「なるほど、なるほど、捉え方はそれぞれだけど、中々面白い」「輪子にも聞いてみたいな。迷惑かな?でも一応聞いてみよう」そう思って輪子にLINEを入れる事にした。


「輪子、お久しぶり〜!元気にしてる?何か世の中大変な事になっちゃってるけど、輪子はちゃんとトレーニング出来てるの?

忙しいだろうから、もし時間あって気が向いたらでいいんだけどね。

実は私、コロロンウイルスの事をテーマに小説書こうかな? って思ってるんだけど、そこに盛り込みたい事があってね。

何人かの友達に聞いてるんだけど

「貴方の最も好きな事は何か。その好きな事を出来なかったら我慢出来るか。貴方の我慢出来ない物は何か」って事。

難しく考えないで、インスピレーションでいいんだ。

あっ、無理しないでね。ホント、気が向いたら返信お願いね」


輪子は雪菜の大学時代の親友。自転車のマウンテンバイクの凄い選手だ。今、東京オリンピックに最も近い選手。コロロンウイルスの影響で、選考対象レースが相次いで中止や延期となり、選考争いは持ち越しとなっているのだか、現時点で最も高いポイントを持っていて、代表はかなり確実視されている。


すぐに返信が届いたので雪菜はびっくりした。

「雪菜、久しぶり〜。好きな事は勿論自転車に乗る事。う〜ん、出来なかったら辛いけど、でも我慢は出来るかな。

で、なんかさ。今、色んなモヤモヤがあって、書くの面倒だから、電話しちゃっていい?」


雪菜は「OK!」のスタンプを送り、「あ、こっちから電話するよ」って入れようとしたら、その前にもう電話がかかってきた。


輪「もしもし〜」

雪「あ〜、輪子。ごめん。こっちから電話するよって入れようとしたら電話きちゃって」

輪「いいよ。このままで。何か雪菜と話したら、ちょっとスキッとするかな? って思って。今、電話大丈夫なの?」

雪「勿論」


輪「好きな事、とか我慢出来ない事とか、最近割と考えててさ。今、自分はどうするのが一番いいんだろうとかさ」


雪「オリンピック、延期になっちゃったし、色々大変だよね。トレーニングはちゃんと出来てるのかな? ってちょっと心配してたんだ。でも、緊急事態宣言出された都市に住んでなくて良かったね」

輪子も長野県に住んでいる。同じ長野県と言っても、長野は広いから、雪菜の住んでいる所から車で2時間はかかる田舎町だ。


輪「まあね。でもそんな単純な物じゃないんだよね。ここで自転車乗ってて感染したり感染させるリスクって、今は凄く小さいと思うんだよね。ただ、皆んな「stay home」って叫んでて、怪我のリスクだって無いわけじゃない。医療機関に迷惑かける事出来ないし。皆んな我慢して自粛頑張ってるのに、自転車乗っても楽しくないんだよね」


雪「そっか。でも、オリンピックに向けて頑張って欲しいな。だって大学の時『東京オリンピックに出るんだ』ってあんなに頑張ってたじゃん。練習出来る環境にいるなら、怪我には細心の注意払ってやっていいんじゃないの。『スポーツ選手は実力だけじゃなくて、運がすっごく大きいんだ』って輪子言ってた事あるし、この環境を手に入れてるのは輪子の力と運なんだから、活用すれば? それに非常事態宣言が出された所に住んでる人達にも差をつけるチャンスなんじゃないのかな?」


輪「うん。そんな風に考えてもみたんだ。私はオリンピックに出るんだから、それっくらいの気持ち持たなきゃとも思ったりもしたけど、ダメなんだよね。外走ってて楽しくないし、頑張ろうと思ってもスイッチ入んないよ。

でもね。安心して。室内トレーニングとか頑張ってるから。嫌いだったローラーも乗ってるよ」


雪「え? 輪子がローラー乗ってるの? 大学の時はあんなに嫌ってたのに。雨の日とか、他の部員は皆んなローラー乗ってても、輪子だけは『雨の中も気持ちいいよ』なんて言って外走りに行ってたじゃん。

そんなさ、嫌いなローラー乗るなんて、運が悪い人達に気を使わなくていいんじゃないの?」


輪「気を使ってるわけじゃない。何でか解んないけど理屈じゃないんだよね。自分に言い聞かせても本心じゃないって思っちゃって楽しめない。

ローラーが楽しいか?って聞かれたら、楽しくはないけど、でもちゃんと集中してちゃんと練習出来る。楽しいと思えずに、集中も出来ずに外乗るより、よっぽど気持ちいい。

大学1年の時、鎖骨折って、ちょっと複雑な折れ方で3ヶ月間全く自転車乗れない時があって、その時は強制的にローラーと補強運動ばっかりの毎日だった。それしか出来なくなったらそれに集中出来るし、あの時だって充実してた。

それに、怪我が治って自転車に乗れるようになった時は最高に嬉しかったし、何かあのトレーニングのおかげで強くなれちゃったんだよね。

あとね、今皆んなが自分の健康に凄く気をつけてるでしょ? 私も免疫力が低下しないように、ガムシャラにやる事を避けてるんだけど、何か調子いいんだよね。無理にトレーニングするんじゃなくて、自分の調子に合わせてやってる。そこからまた見えてくるものもあって。

だから今、実は強くなるチャンス貰ってるのかな? とか思って、室内トレーニング頑張ってるんだ。

あ、でも安心して。こもりっきりじゃないよ。ちょっとは外でも乗ってるしランニングとかもしてリフレッシュしてるよ」


雪「そんなものなんだね。私はそんな輪子が好き。

いいと思う」


輪「ありがとう。雪菜と話してるうちに、何となく自分でも自分の気持ちがちょっと整理出来て、今やってる事に自信持てる気がしてきた。

で、雪菜が質問してた事。

私は自転車に乗る事が最も好き。でも、乗らなくても我慢出来る。

我慢出来ないのは『頑張れない事』かな? それも何か1人じゃなくて『一緒に頑張る』事が好きみたい」


雪「あ〜、解る。激しく同感!」


輪「そうそう。雪菜、小説書こうとしてるんだよね? 少し前に私が読んだ小説、自転車選手が事故で車いす生活になっちゃう話なんだけどね。その主人公の生き方がかっこよくて、私も頑張ろーって思えたんだ。雪菜もきっと、誰かを勇気付けられるような小説書けると思うよ」


雪「輪子、ありがとう。私も何か頑張りたくなってきたよ。また何かあったらいつでもLINEでも電話でもしてきて」


輪「うん。雪菜もね。じゃ、またね〜」


雪菜は輪子が電話を切ったのを確認して電話を切った。1年延期になった東京オリンピックで、輪子はきっと飛びっきりの笑顔を見せてくれるだろうと思っていた。

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