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コロロンウイルスに試されているの?  作者: 風の子ふうこ
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笹山家のある日の会話

次の日、笹山家はテレビのニュースを見ながら、夜の食卓を囲んでいた。

このペンションを営んでいる雪菜の両親と、母親の母親(雪菜のお婆ちゃん)も一緒に住んでいる。他に家族は雪菜のお兄ちゃんが1人いるけれど、お兄ちゃんは神奈川でヘルパーさんの助けを借りながら一人暮らしをしている。


聞こえる声は、雪菜と母親のものが殆どで、たまにお婆ちゃんの声がして、父親は殆ど喋らない。


雪菜の声。

「ねー、この先どうなっちゃうんだろうね。このペンションだってお客さんとれないでしょ? 私がいたって何か出来るわけじゃないし、食費がかかるだけでしょ?」


母親の声。

「どうなっちゃうのかしらね。何か考えなきゃね。ま、雪菜がいても食費が大きく変わるわけじゃないし、お母ちゃんは一緒にいられるだけで嬉しいけどね」

雪菜は小さい頃から母親の事をお母ちゃんと呼んでいて、今も変わらないし、母親も自分の事を雪菜の前ではお母ちゃんと言う。


お婆ちゃんの声。

「お婆ちゃんは、雪菜がニコニコしてくれていればそれだけで幸せだよ」

雪菜が返す。

「もー、お婆ちゃんったら。ありがと」


そんなほのぼのとした会話が続く中で、テレビのニュースはコロロンウイルスの話で持ちきりだ。

「いよいよ首都圏には緊急事態宣言が出されたね」とため息をつく母。

父が「遅すぎる」とボソッと言う。

テレビ画面には女子大生っぽい2人の後ろ姿が映し出され、インタビューを受けている。

「不要不急の外出は控えるように言われてますけど、今日は急用ですか?」という問いに対して

「ちゃんとマスク着けてるしー。気を付けてるしー」

「誰か買い物してあげなきゃ、お店潰れちゃうしー」

「まー、人っていつか死ぬもんだしー」とか言っている。

雪菜は怒りを露わにしている。

「何考えてるんだろ?こんな娘達がいるから『今時の若者は』って皆んなひっくるめて悪者にされちゃうんだよ」


お母さんの声

「そうね。色んな娘がいるわね。雪菜があんな娘じゃなくてよかった」


お婆ちゃんが珍しく口を挟んできた。

「そうだねー。確かにちょっとね。でもね。ひとつ覚えておいて欲しいのは、この世の中には色んな価値観を持っている人が住んでるって事。お婆ちゃんはあの娘達を肯定しているんじゃないよ。

でも、ものの見方や考え方はひとりひとり違うものなの。どれが正しくてどれが間違っているとかじゃなくても、自分の物の見方や考え方を基準に考えてる人が殆どなんだよ。

私は、養護学校に勤めていた事があって、そこで色々学ばせて貰ったよ。発達障害を持つ子供達の中には何かに対して我慢出来ない子が多いんだよ。それは我慢しないんじゃなくて、頑張っても出来ないんだよ。テレビに映っていた人達は健常者じゃん、って思うかもしれないけど、障害者と健常者のきちんとした線引きは、あってないようなものなんだよ。

宣言が出てしまった今は従わなくてはいけないけれど、誰もが同じように我慢を出来るものじゃないって事を知ってる事は必要だと思うんだよ」


お母さんが続けた。

「人によって我慢出来る物と出来ない物の違いがあるわね。皆んな我慢してるんだから我慢しろって言うだけじゃなくて、その人の気持ちを解ってあげる人がいるって事も必要でしょうね」


今日はお婆ちゃんが沢山喋る。

「好きな事は我慢出来ないってわけでも無いように思うよ。例えば私はね、草花がとっても大好き。見るのがとっても好きだよ。でも見ない事は我慢出来る。4月は桜を見るのを毎年楽しみにしているけれど、自粛して見に行かないで欲しいと言われたら、それは我慢出来る。でも、例えばアラスカなんか行く事出来ないから、そこが開発されようがされなようが関係なさそうだけど、そうは思えなくて。そこの草花達が開発によって無くなっちゃうような事は我慢出来ないんだよ」


続いてお母さん

「そうねー。お母ちゃんは色んな人と会ってお話しする事が1番好きな事だけど、こうやって家族で話す事が出来るんだから、他の人と会わない事は我慢できるわ。我慢出来ないのは家の中の皆んなが暗〜い顔してる事かな〜。雪菜は?」


雪菜は困った顔をした。

「んー、難しいね。あんまり考えた事なかったし……

んー、好きな事は、誰かの力になる事。我慢出来ないのは、自分の気持ちを解って貰えない事かな〜。

難しいけど、何かなるほどって思える事あるね。

私ね、コロロンウイルスの事をテーマに小説書こうと思ってるの。

ちょっとだけ書けそうな気がしてきた」と最後は嬉しそうな顔になった。

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