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序章 夢

死にたくて死にたくて死にたくて仕方なくて飛び降りた私は偶然にも生き延びて長い間眠り続けた。


その間ずっと夢を見ていただけだった。何か漠然と恐ろしいものを持っている誰かに追われる怖い夢を。


真っ暗な空の下、私は崖の上に立っている。


誰かに追われてそこへ辿り着いた。


まるで最初からそこに来ることが決まっていたかのように。


びゅうびゅうと風が唸り私の髪を激しく揺らす。


崖の上には大きな紅葉の木と桜の木が一本ずつたっていてその周りを二羽のウサギが跳ねていた。


その光景を見慣れているようで初めて見たようで、えも言われぬ感情になる。


崖の下を覗き込むと白波が何度も崖にぶつかっては引いてを繰り返していた。


素直に怖いと感じて体が震える。


でも「奴」が来るかも知れない。


もう逃げ道はない。


口を一文字に結んで瞬きをした。


そうしてゆっくりと翼を広げるみたいに両手を広げて、紺色の深い深い海に身を投げる。


一瞬空を飛べた気がした。


尾の長い真っ赤で立派な羽をもつ鳥が飛び、薄い雲が金色の満月に照らされている。


空を飛んだ一瞬でそんなものが見えた。


入水とともに水しぶきが派手に飛び散り、ドボンと音を立てて体が水と泡に包まれる。


そんな夢を繰り返し見ていた。


何度同じ夢を見ても、「奴」の正体は分からなかった。




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