第57話 バトルロイヤルで大暴れ
依頼内容:死都における演習
依頼内容:死都を利用した練度向上のための演習
報酬:戦果に応じて
敵機詳細:不明
依頼文: スカベンジャーはコロニーの治安維持、資源獲得、外敵の排除とあらゆる分野において要となる部隊であることを忘れてはならない。気のゆるみなど以ての外だ。よって、そのことを皆に思い出してもらうため、死都を利用した演習を行う。意欲向上のために報酬も用意した。奮って参加せよ。
参加可能人数:10名
参加資格:なし
備考:プレイヤーマッチ
今日の出撃はバトルロイヤル。先日のチームバトルではろくに活躍できなかった腹いせに暴れてやろうという気分です。さあ今日も、今日は……今日こそは、張り切ってぶっ殺しましょう。
愛機を乗せた輸送車両に揺られてしばらく待機、スモッグの霧が濃い殺風景なコロニーから、緑があふれ空気の透き通った美しい廃都に到着。
武装はいつも通りパイルとブレードの近接縛り。自殺志願者、あるいはカモ、あるいは狂気の沙汰と見紛う珍装備だが、俺にとってはコレが「今のところ」一番いい装備なのだ。今後のアップデートで追加があれば変更するかもしれないので、今のところ、としておく。
このゲームに実装されている武器はどれも何かしら長所があり、まったく使えないという評価を下されている装備はパイル以外にはパイナップルメイスくらいしかない。しかし、パイルは俺自身使って大満足の兵器だし、戦果もばっちり挙げている。パイナップルメイス、自爆装置だって前のイベントではボンバーマンが使って活躍していた。結局どんな武器だって使い手と使い方次第なのだ。
ということで出撃する。
「最初の敵はどこだろなーっと」
路地をローラーダッシュで駆け回って、敵を探して走り回り。角を曲がると、レーザーキャノンを構えた敵とばったり出会った。
「あっ、やべえ」
逃げ場はないので、レーザーを撃たれる前にブーストダッシュ、瞬間加速で速度を獲得しつつ、膝蹴り。強力な衝撃にチャージがキャンセルされて、レーザーキャノンの砲口から光が消えたのを横目に見つつ、カウンターのレーザーブレードを起動した左腕を切り落として、パイルで胴体を突き刺し……一機撃破。遭遇戦における格闘機は最強だ、角待ちレザキャにはヒヤッとさせられたけど、勝ったのでまあよし。ほっと一息。
表通りでは他の参加者の皆様が銃撃戦を楽しんでいる……仲間に入れてほしいなぁ、と路地を出て、銃声の聞こえる方向へローラーダッシュ。交差点の真ん中、こちらに横っ面を見せて、後退しながら機関砲を撃ち続ける敵機を狙ってブーストダッシュ。気付かれた。頭部カメラがこちらを向くが、すでに加速は完了している。対応は間に合わせない。最大速度で突撃しながら再びパイル。ガオン、と風穴を開けたらブーストジャンプで即座に離脱。
「ふたぁーつ」
蜂の巣にされる敵の残骸を置き去りにして、傾いている電柱を蹴って速度のベクトルを変更する。視線の向く先は、先程の敵と撃ち合っていたまた別の敵。
重力に惹かれ落下する機体を、更にブーストで加速。追従してくる20㎜重ライフルと機関砲の火線を振り切り、迎撃の弾幕の中を突っ切り、リロードの完了していないパイルを頭部に叩きつける! 装甲に突き刺さる鉄杭、メインカメラ粉砕!! はじけるスパーク!! パニックになり明後日の方向へばらまかれる銃弾!! 着地して、左手のブレードを胴体に突き刺す……と、静かになった。
バッテリー残量、60%、パイルの残弾、たっぷり。
「これで三つ。フハハハハハ……やはりパイルは最強」
威力が全武器中トップの代わり、近接カテゴリ中トップの重量、連続使用ができず即応性と柔軟性に欠けるパイル。欠点があったらロマンが消えうせるのか? そんなことはない。愛すると決めたなら短所ごと愛するのが男の甲斐性である。大体ブレードのような欠点のない武器は面白みに欠けるから使いたくないんだ……が、パイルバンカーだけではどうしようもない場面というのもある。
今みたいな間を置かない連続撃破だと、一発ごとにリロードタイムがあるせいでどうしてもブレードを使わざるを得ない。速度を乗せて叩きつけるだけでは撃破に届かないし。いっそのことダブルパイル……はやりたいけどできないのだ。今使っているフレームだと重量オーバーになる。大容量バッテリーを下すか、積載量の大きな脚部に変えるかのどちらかを選ばなければその夢はかなわない。もちろん機動力が死ぬのでナシ。機動力は格闘機の命だからな。
もうちょっとパイルが軽ければ二本持ちも可能なのに。そこだけが不満だ。
物思いにふけりつつ。また路地へと潜む。銃声の停止は戦闘の終了もしくは中断を意味し、銃声の止んだ場所には消耗した敵が必ずいる。そうして新たな敵が寄ってくるのだ。花の香りに誘われる蝶のように……実際には花の色を見て寄ってくるらしいけど、まあ例えだ例え。
いつまでも道路の真ん中で身を晒していればスクラップにしてくださいと誘ってるようなもの。最近はブースター装備の機体も増えてきて対応策も練られてきていること、プレイヤーの平均レベルが上がってきていること、火力の高い武器が実装されたこと、などなど様々な要因が組み合わさって、段々と撃たれてから反撃に動いてとっつくのが難しくなってきているから、あまりのんびりもできない……というわけでノコノコ単身でやって来たタンクを背後から突き殺しスクラップ四人目。爆発反応装甲でちょっぴりダメージを受けたけど、即死級のダメージではないので問題なし。
タンク足にシールド&ガトリング持ち相手に正面突撃はちょっと無謀なので、不意打ちで失礼した。というか小回りの効かないタンク足で単身市街地をうろうろするのは迂闊としか言いようがないな? いくら装甲が分厚くてもパイルの前には無力だぞ? あとブレードにも。
「不意打ちで倒すのはロマンなの?」とか「それブレードでよくない?」と言われると、ロマンを理解してもらえないのだなと悲しくなるので言わないお約束だ。言ったら殺す。慈悲はない。勝てばいいんだよ、勝てば。




