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第16話 ダンジョンアタック再び

 ダンジョンアタック再び。リベンジとも言う。前回は被害が大きく退却を選択させられたが、今回は中身が割れているので対策も準備も万端だ。

 対策というのは。全員でフロアに踏み込んで、正面からの火力投射ですり潰す。全員で戦うことで負担を分散して、ボス戦のための体力を残しておく。ボス戦になったら各々全力で暴れる。それでダメならもう一回だ。

 ちなみに今回の装備は、全員ガトリング&ランチャーの重装備。リーダーの乗っている装甲車には、換装用のパーツと予備の弾薬と、さらに機体が損傷したときのための、交換用フレーム。補給も整備も、これ以上ないほど整っている。

 リーダー含め他のメンバーは、これくらいなんでもないと言っていたが。これだけかき集めるのはさぞかし大変だったろう。こつこつ地道に他のプレイヤーをぶっ殺して稼いだわけだ。偉いねみんな。狩られたみんなには同情する。



 さて、そんなわけで全員集合。全員といえば、当然ナメクジ君も含めている。ナメクジくんが女子高生というのはなかなかに衝撃だったが、しかしそれでゲームの中での関係が変わるかと言えば否である。ナメクジ君はナメクジ君だ。そうとしか扱いようがない。よって参加するという流れに。哀れ。

 しかし、ナメクジ君が虫が苦手というのは、言われてみれば女の子らしい。


「ナメクジ!」

「行きたくねえなあ」

「アヌスレイヤー!」

「はーい」

「ボンバーマン!」

「いるぜ」

「ガンナー!」

「準備おっけー!」


装甲車の機銃用ハッチからリーダーが顔を出して、一人ずつ点呼を取った。誰が居る居ないなんて見ればわかることだが、気分を盛り上げるための様式美というやつだ。俺とナメクジ君は若干テンション低め。


「ではこれより、第二次地下基地攻略作戦を開始する! 前回は惜しくも撤退という結果になったが、今回は必ず最深部まで到達し、ボスを討伐してクリアするぞ!」

「「「Sir! YES,Sir!!」」」

「へーい」


 リーダーの熱い声に呼応して、一人を除いて全員のテンションが上がる。その一人は、あえて言わなくてもわかるだろう。


「ナメクジ! 久々に全員そろっての出撃なんだから、テンション上げないと勿体ないぞ!」

「そうだそうだー」

「うるせえ! 俺は虫が嫌いなんだよ!」

「うーむ……別に無理してついて来いとは言わないぞ?」

「まあ、本当に嫌なら今からでも下がってていいぞ」


 リーダーの発言に一同頷く。嫌がる相手に物事を強制するほど、人間ができてない連中はいないらしい。当たり前のことであるが、現実にはそれができない者も居る。喜ばしいことだ。


「一人だけ仲間外れとか……寂しいじゃん」

「かわいいところあるじゃねえか」

「黙れ変態!」


 やれやれ。困ったら罵ればなんとかなるとでも。思ってんだろうなあ。

 とりあえずそんな感じで、和気藹々とダンジョン攻略スタート。入り口のバンカーから坂を下って、指揮官一人に攻撃担当三人が壁の数十メートル手前で隊列を組んで、各々武器を構えて停止する。で、自分は先行してターミナルを操作する。Hacking……と表示されたらすぐに後退、隊列に加わり、間もなく開門。


 門が開くと大量の蟻が姿を見せるが、これで二度目となるアタックだ。一同動揺することなく、事前に決めていた作戦通りに、敵が反応する前に火力を一気に叩き込む。

機動力を捨てて、火力に全振りした重装備。ロケットランチャーからは炸裂弾、各自六連装のランチャーを二門装備しており、単機につき十二発の砲弾。それが四機で四十八発。それだけの火力が敵陣に投げ込まれ、爆発が同じ数だけ起こり、蟻共は爆炎に焼かれ、爆風と破片によって微塵に引きちぎられる。


 それですべてが倒せたなら楽なのだが、しかしそうはいかない。あれだけぶち込んだのに、死骸が盾になって爆風を防いだのか、多少汚れや傷はあるが、ほぼほぼ無傷の蟻がいくつか、煙の中を突っ切って突撃してくる。

それでも数は大幅に減っており、ガトリング四門から放たれる砲弾の嵐の前にあっけなく散った。一見全滅したように見えても、まだ敵が残っているかもしれないと。煙が収まるまで銃口を前に向けたままで待機。

 煙が晴れた先には、もう動かない蟻の残骸が残るだけ。

 初見は驚かされたが、対策さえしておけばこんなにも脆い。


『前進! 入り口の壁や天井に気を付けろ!』


 隊列を縦列に組みなおし、俺が先頭になってフロアへ進入。ゲートをくぐる際、左右と上をクリアリング。敵影ナシ。


「クリア! 前進する!」


 その後、フロアの中央まで進軍。完全に制圧したことを確認して、装甲車が遅れてついてくる。


「被害報告!」

「損害ナシ!」

「よし! 弾の補給に戻ってこい」


 命令通りに。装甲車の後ろのハッチに並ぶ。その間にちょっと雑談。


「あっけなかったな」

「初見はびびってたのもあるからなぁ」


 パーティでの連携と、適切な武器を用意できていれば苦労しない、適切な難易度だと思う。ソロプレイじゃちょっと厳しいかもしれないが。


「今回連中無抵抗だったな。酸も撃ってこなかったし」

「ある程度距離が近くないと撃てないのかね」

「それだけど。連中打つ前に足を止めるから、余裕があればそいつから撃ったらいいぞ」


 ボンバーマンが口を開く。言われてみればそうだな。そんな様子はあった。余裕があれば止められるかもしれない。


「大量に押し寄せるアイツらを前にそんな余裕があると思ってんのかテメー」

「まあ現実できっこないわな。でもまあ、一応頭の隅に置いとこう」


 ガンナー(元祖ガトリングマン)がナメクジ君に同意を、ボンバーマンの言葉にも理解を示す。

 確かに、一匹二匹ならそれもできようが、二十三十になればそんな余裕はないかもしれない。目の前に迫られて、どっちを殺るかで迷ったときには参考にしよう。

 いや、本来の装備なら敵陣に飛び込んで、ぶっかけ食らう前に切った張ったして、狙いを定めさせないからそんな事態にはならないかな。だが今の装備なら起こりうる。


「しかし、たまには射撃重視もいいな。じっくり腰を落ち着けて打ち込むのも、楽しい」


 最近はずっと高機動近接型だったからな。楽しいし、楽だ。でもブンブン飛び回って敵をぶっ殺す楽しみのほうが勝る。その方が戦ってるって感じがする。


「そうだろう、そうだろう。でもこの装備の難点は足を止めないと最大の効果が出ないから、狙撃や砲撃に弱いのと。あと弾薬費がやばい」

「うんうん。そうだよね」


 射撃偏重となるとやはり弾薬費がネック。装甲が硬くとも重火器の集中砲火には耐えられないので、固定砲台は無理がある。撃破されれば修理費がかかる。

なので、みんな自然と機動力と火力、弾薬費の兼ね合いでライフル持ちに落ち着くのだ。重量か中量フレームにライフル、シールド、ランチャー。お守りにブレードというのがテンプレ装備。それが悪いってことはない、むしろ良いのだから広まったのだ。バランスがよく、どんな相手にも対応できる上に原作主人公も同じ装備。人気も納得。


 良さを認めたうえで、俺はパイルバンカーが好きだから使っている。それだけの話だ。


「次のフロアは中央到達で敵が出現する。円陣を組んで回りながら撃てば効果的だと思うがどうだろう」

「前みたいに俺が一人で殲滅してもいいけど」

「今回は全員で行く。そう決めただろう」

「イエッサー」

「俺たちはチームだ。一人にばかり戦わせるわけにはいかないからな。で、どうだ」

「まあやってみよう。うまくいけば儲けもの。うまくいかなかったら、その時はその時だ」

「蟻が至近距離に映るとか嫌だー……帰りたい」

「帰りたいなら帰っていいぞ」

「仲間外れも、それはそれで嫌だからなぁ……」

「じゃあ腹くくろうぜ」


 女子高生だからと対応は変えない。ナメクジ君はナメクジ君である。ということで、彼女を引き連れていざ鎌倉。敵は本能寺にあり。ここは鎌倉でも本能寺でもないが,そんな気分で行きましょう。


これにて書き溜め終了となります

今後の更新は間が空くと思われますがご容赦ください


あとできればブクマ、評価、感想、読了ツイなどなどくださると作者が悦び更新頻度が上がるかもしれません。

モンハンやエースコンバットやアトリエとか色々誘惑があふれてますからね、油断するとそちらにばかり時間を費やしますので。

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