女性だけの会社5
男性にとって不快な内容が含まれている可能性があります。男性の方がこの小説を閲覧されて、気分を害されても、当方は一切責任を負いかねます。
本作品は純粋な空想科学小説です。フィクションであり、実在する人物団体名とは一切関係ありません。また本作品に描かれている科学技術のほとんどがフィクションであり、現実に可能になっているものではありません。将来可能になるかどうかは現在の時点では言及できるものではありませんが、いくつかは紹介、実用化してほしいと作者は切に願っております。
「出ていけ」
怒号が響いた。マスコミでは温厚な学者として名が知れている研究所の所長が顔を真っ赤にして激高している。
「そうですか、それでも五十嵐さんの権利だけは譲りませんよ」
奈津子はすました顔で受け流す。奈津子にとってこんなことは慣れっこになっている。所長が外面がいいだけの薄っぺらい男であることも周知の事実だ。怒鳴られたぐらいで引き下がるような奈津子ではない。」
「五十嵐、こんな女にそそのかされて、お前の研究者人生を不意にするつもりか。お前もこの研究所から放逐してやるぞ」
所長は五十嵐の肩に手をまわした。セクハラまがいの行為だが、いつものことだ。マスコミでは紳士として通っている所長のいつもの姿だ。
「五十嵐さんは関係ないでしょ。私の進退は私の問題です。五十嵐さんの権利は権利です」
奈津子はすでに辞表を書いていた。いつ出してもいいように常に白衣のポケットに収めていた。自分の私設研究施設は稼働している。研究助手もすでに手配済みだ。今まで研究室で補助をしてくれていた研究員を雇う契約をしている。思い残すことはないが、高度科学研究所の中で不遇な扱いを受けている後輩のために、道筋だけはつけておきたい。
「私はこんなところ未練もありません。自分の研究は自分でします。でも、仲間の権利は断固として守ります」
「女に何ができる」
所長が吠えた。その言葉に思わず怒鳴り返そうとした寸前、五十嵐が全身を震わせた。
「このじじい、くたばりやがれ」
可憐を絵にかいて額に入れたような五十嵐が、頬を紅潮させ、涙を浮かべ、必死の形相で喚いた。
「私だってこんな研究所に未練はありません。赤城先輩を追い出すというのなら、私も出ていきます。そして弁護士を立てて私の権利を守ります」
「お前までこんなあばずれの言うことに騙されて」
これが皮きりだった。その場にいた大勢の女性研究員が異口同音にやめると怒号した。今までのうっぷんが吐き出され、そのエネルギーが渦を巻いた。
結局二十人の女性研究員のすべてが、そして三十人余りの研究助手、二人の事務員がまとまって辞職することになった。かといってすぐに出ていくことは権利関係や、引継ぎ、引っ越しなどで時間が必要だったが、それでも一か月後には高度科学研究所のほとんどの女性が退職した。一度に今まで溜まりに溜まったうっぷんが吐き出された後、女性たちは冷静になるとともに不安になった。奈津子はそれも対処済みだった。奈津子は以前から温めていたプランを彼女たちに示した。
まずは会社を作る。利益を生み出し、それで研究費、生活費を捻出する。
奈津子が概略を立てていたので、女性たちは落ち着きを取り戻した。そうなると元が理知的で頭のいい人たちだから、すぐに前向きに着々と準備、行動ができる。ラウンジの仲間たちは赤城を助け、それぞれが役割分担して会社設立に乗り出した。奈津子の友人、相坂恵子が常に支えてくれる。彼女は大きな病院の病院長の娘で、意外に顔が広い。どこから聞きつけたのか、廃校になった小学校を見つけてきて、そこを借りることにした。会社の本拠地が決まった。資金としては奈津子の今までに個人的に持っていた特許の使用料を当てることにした。仲間の中にも個人的な特許を持っているものがいて、それを供出することで資本金を集めた。
株式会社にして、出資額に応じて株を振り分けた。大部分は奈津子が出資したので、奈津子の総取りになってしまい、共同出資が有名無実になりそうだったので、奈津子は60パーセントを持つことで、ほかの仲間に株を配分することで、仲間意識や絆を重んじた。その奈津子の切符の良さにますますみんなは心酔し、仲間意識は堅固なものになった。
当初参加者のほとんどは研究者や研究補助員だったが、それを補うような形で事務を担う正木節子が現れた。彼女は五十嵐の友人で、大企業で経理畑を歩んできた人物だった。そして正木の人脈で経理士、弁護士、税理士などの士業の人間が参加した。
奈津子に基本的に事務能力はない。別にやればできるのかもしれないが、そんな時間があれば研究やその他自分のしたいことをした方がいいと考えているので、自分の研究施設を作ったときにも、事務手続きは業者に代行してもらっていた。
稚拙な文章ですが閲覧していただきありがとうございます。なるたけ時間をおかずに続きを掲載したいと思います。次の掲載をぜひ閲覧のほど、お願い申し上げます。