装甲擲弾兵
将校用のテントから這い出して朝の匂いを胸いっぱいに吸い込む。
湿った森の匂いが鼻を付く。
だがその森の匂いに混じって生活臭も混じっている。
ラートニル郊外に陣を張ってすでに二週間。
さすがに野営に慣れたというか、野営に疲れつつある。
「おはようございます」
「おはようユッタ」
テントから出てきたユッタは黒いパンツに白い一つ襟の襦袢姿とだいぶラフな格好だった。彼女も寝起きのようだ。
襦袢の下の温かみのある肌が薄っすらと襦袢に色をつけており、寝汗でうなじに張り付いた襟足が扇情的だ。
その視線に気がついたのか、胸を隠すように腕を組んだユッタが話題(そもそも話してないが)を変えようと口を開いた。
「昨日の法撃は凄かったですね」
「まあ上手く敵の攻勢をいなせて良かった」
昨日の午前中に起こった敵の攻勢は凄まじかった。
ちょうど朝方に弱い雨が降ったために旅団の火力が落ちたところを魔法攻撃の援護の下、敵の重装歩兵が強襲してきたのだ。
だがこちらが複雑に築城した塹壕陣地に足を取られ(文字通りだ。重い甲冑が泥でぬかるんだ塹壕の底で足を取られていた)、機動力が落ちた所を大砲と騎士団で殲滅出来た。
すでに敵に奪取されていた塹壕陣地も奪還が成功し、小康状態になっている。
結果と言えば痛み分けと言ったところか。だが敵の攻撃を撃退できたのだから戦略上の勝利と言えるだろう。
「昨日の敵戦力は五百程度でしたし、敵の本隊はまだ無傷と考えるべきでしょうか?」
「丘が邪魔でわからないな。せめて一〇三高地を奪取できれば敵の規模が完全にわかるんだろうけど」
「空を飛べればすぐにわかりそうなものですね」
確かに空を飛べれば、な。
一応、騎士団のほうも敵戦力の規模を測るために散発的な威力偵察を行っているが、成果は芳しくない。
敵の重騎士が三千から五千ほど。重装歩兵が二千から四千と変動が大きすぎる。
じっくり腰をすえた偵察を行いたいところだが、こうも高低差のある戦場だと難しい。
「少数の偵察部隊を編成して敵陣深くを観察する作戦はどうですか? エルフなら森の中に潜伏して偵察が行えます」
ユッタの作戦に頷きそうになって、やめた。
確かに森林部族のエルフなら隠密行動が出来るかもしれないが、危険が大きすぎる。
エルフは優秀な射手が多いから危険な任務に投入したくないし、以前聞いたエルフの噂があるためにこの作戦は見送るべきだ。
下手に偵察部隊と敵の戦端が開いた場合、彼らを救出する手立てがないのだから最悪、玉砕という結果になりかねない。
「とりあえず朝飯にしよう」
「……わかりました」
不承不承の体でユッタはテントの中に戻った。
微かだが、衣類のこすれる音が聞こえてくる。二週間も野営していると野生の感が冴えるのか、音だけで様々な想像が頭を駆け抜けていく。
この布一枚を持ち上げたい。
薄く、いや厚いこの生地の向こうを見てみたい。
そんな欲求がこみ上げてきたとき、朝飯の準備をしていた従兵が現れた。
なんてタイミングだ。もしかして俺を監視していたのだろうか。
「おはようございます少将! 朝食はどちらにお持ちいたしますか?」
「今日も司令部に。幕僚の連中には先に食べるよう伝えてくれ」
「ハッ」
キビキビとした敬礼をして従兵の背中を見送り、俺もテントに戻って白い夏季軍服に袖を通し(肋骨服は汚れるのが惜しいからしまってある)、腰に軍刀を吊る。
そして司令部に向かって歩いているとなんだかいつもより殺気だった空気が漂っているのに気がついた。
嫌な予感がする。
ここの所、嫌な予感が的中するようだから余計に性質が悪い。
司令部のテントに入るとすでにスピノラさんがスプーンを加えて地図を睨んでいた。
まだユッタやヨルン達は来ていないのか。(ローカニルは未だシブイヤで大砲製作だ)
「おはようございます」
「ん? あぁ旅団長殿。おはようございます」
従兵によって用意されていた朝食に手を伸ばしながら俺も地図を覗き込む。
「戦線の整理は出来ましたか?」
「手持ちの第二連隊の第一大隊から二個中隊を前線に出しました。これで塹壕陣地の総兵力は六百強ってとこです」
「昨日の攻撃をどう見ます?」
「一千の重装歩兵の突撃はおそらく、塹壕陣地の制圧が主目的だったと思いますぜ。そこを足がかりに一〇四高地を狙ったんじゃないんですかね?」
確かにこちらが一〇三高地の占領をもくろむのは敵の観測陣地を潰し、敵陣を眼下に納めるためだ。
逆に敵も一〇三高地を占領して俺達を眼下に納めようと考えているのだろう。
「にしても新型の大砲はいつ出来上がるんですかね? もう待ちくたびれましたよ」
「そう言わんで下さい。砲身の鋳造だけではなく試験なんかも行わないといけないんですから実戦配備はまだ掛かりますよ」
「出来るだけ早期に攻勢に出たいものなんですがね。そうだ。腹案を思いついたんで今、いいですかい?」
「あ、おはようございます」
スピノラさんが口を開こうとした時、ユッタとヨルンが司令部に入ってきた。
中座を余儀なくされた隙に俺は朝食の粥を喉に流し込みながらスピノラさんの腹案について続きを促した。
「一〇四高地は丘という天然の要害に守られ、なおかつ弩を装備した敵の弓兵が頭上から矢を射掛けてくるから攻略が難しいんです」
「確かに丘を登るのは兵士にとって負担だし、稜線に隠れて矢を放ってくる敵に猟兵の手銃や小銃は命中できないものな」
「でも、それ以上に問題なのは大砲の火力支援が行えない事だと思います」
スピノラさんは「さすが副官殿」とコップを投げ出すように机に置くと立ち上がって地図に指を走らせる。
「タウキナ動乱の時に我々が有利を得られたのは火力――攻撃力と言ったほうが良いですかね? がタウキナを上回っていたからです。兵の錬度を見るなら到底、敵いませんでした。
ですが今度ばかりは射程不足で火力が足りません。おまけに敵は『火力』支援があるもんですからこちらの優位性がありません」
「だから火力支援のために新型の大砲を作っているんでは?」
「旅団長のおっしゃるとおり。ですが、それだと敵に時間を与えてしまいます。
時間は黄金と同義。それを無償で敵に渡す道理はありませんぜ」
「それではどうするのですか? こちらは手も足も出ないんですよ?」
そこでスピノラさんの作戦を聞くと、納得というか、確かにそんな方法もあると思った。
しかし――。
「リスクが高くないですか?」
「戦なんですから仕方ありませんぜ。それに志願兵にやらせれば士気も高いはずです」
「それならわたしが指揮を執ります」
「いえ、副官殿じゃ体格的に無理でしょうな。せめてドワーフの戦士じゃなきゃ作戦が成り立つかどうか。とりあえず冷血姫様に上奏されては?」
おそらくケヒス姫様だったらスピノラさんの作戦を採用する気がする。
だが危険が大きすぎるのも事実だ。
それに時間を敵に与える恐ろしさもわからなくは無いが、それはこちらも同じだろう。
時間があれば新型の大砲を装備した砲兵を配備できる。
「今のところ、ベスウスも旅団や騎士団も決定打に欠けています。故に戦線が膠着してるんですよ。そこを突き崩せれば一気にこちらが有利になりまさぁ。
とりあえず上奏してみればいいでしょう。まだ机上の作戦なんすから騎士団の方と意見を交換した方が良い作戦に仕上がるはずです」
「わたしもスピノラ連隊長の意見に賛成です」
ユッタの賛成に俺は不安が鎌首を持ち上げる気分だった。
ただヨルンは「僕も反対です。そもそも装備がそろえられるか」と実務的な批判をしてくれただけだ。
「ここで上奏して、新型大砲が配備された後の攻勢でもこの作戦は生きるはずです。まだ空論にすぎませんが、今からでも作戦を煮詰めるべきです。
それにヨルン中尉相等官は装備さえそろえられれば賛成なんですね?」
元々、戦を好かないホビットのヨルンは渋々とユッタに頷いた。
「……わかった。上奏だけはしよう。とりあえず朝飯を片付けるぞ」
俺は無理やり議論を辞めて、まずは目先の問題に目を向けた。
それが先延ばしである事はわかっているが、出来るだけスピノラさんの提案した作戦について考えないように防衛線の修築と増強について思考する。
だが意識の底では沈殿したようにスピノラさんの作戦の可能性について考えている俺が居た。
「そろそろ騎士団との連絡会です」
ユッタの報告に俺は防衛線策定のための意見書を書くのをやめた。
それにしても軍が二部隊あるから二つの司令部を別々に設置する効率の悪さに辟易する。
どうせ意見交換を行うのだから同じ天幕を作るべきじゃないのか? と思ったときに旅団司令部が騎士団の本営か、その近くに司令部を置けば片付く問題じゃないか思い至る。
だが騎士団の本営と隣接するように司令部を置くのも、騎士団への不信感から避けたいと思ってしまう。
それに今回は旅団を主力に防衛線を作っているのだからいくらケヒス姫様が最高司令官とは言え、旅団側に騎士団が本営を作るべきじゃないのか?
悶々と考えるうちに旅団の幕僚は騎士団の本営に入り、ケヒス姫様の到着を待つ。
「東方辺境領姫殿下御入来!!」
衛兵の名乗りに俺達はケヒス姫様に一礼して出迎える。
「席に着け。まずはオシナー。陣地の様子はどうだ? 変わりないか?」
「ハッ。昨日の攻勢に関しましてすでに敵の占領した塹壕を奪還しており、補修作業並びに塹壕の拡張作業を行わせております。午後からはさらに一個大隊を投入して作業を加速させたいと思います」
「よかろう。任せる。ヨスズン。昨日の捕虜はどうした?」
「お答えいたします」
捕虜?
騎士団も昨日の防衛線に出撃していたのは知っていたが、捕虜を取っていたのか。
そう言えば旅団の兵士達は捕虜を取っていないようだが、まさか殺していないだろうな?
「捕虜の尋問の結果、敵の魔法攻撃について情報を得る事が出来ました。
敵はこの地点に『法撃』陣地を築き、魔法をもちいた遠隔通信で着弾を観測しているようです」
ヨスズンさんの報告に本営が騒がしくなる。
魔法を用いた遠隔通信。
どういう物か想像できないが、もし前世でいう無線機のような存在であれば恐ろしい。
要はタイムラグゼロで伝令が行えるのだ。
喉から手が出るほど欲しい。
「一〇一高地の裏か。この地に急襲をかける作戦が欲しいな。旅団は出来るか?」
ヨスズンさんが指した敵の法撃陣地は仮称一〇一高地と呼ばれるラートニルからベスウスの関所に向かう街道の脇にある丘だ。
ここが攻略できればラートニルを奪還できたも同然だろうが、その前に目の上のタンコブである一〇三高地を落とさねばらならない。
「無理です。砲兵の支援はもとより、敵陣の真っ只中に攻撃を仕掛けることは出来ません」
ケヒス姫様は「ならばよい」と一気に引き下がった。本人も期待していなかったのだろうか。
「敵の陣地が分かっても攻撃する手段が無いか。仕方が無い。新型の大砲が出来るまで塹壕を掘り進めよ。他に何かある者はおるか?」
「では」
そう言って気だるそうにスピノラさんが挙手した。
いよいよこの時が来てしまったか。
「ホルーマ第二連隊連隊長のアンブロジオ・スピノラです」
「発言を許可する」
「ありがたき幸せ」
幸せさを微塵も感じさせないスピノラさんは億劫そうに口を開いた。
「確かに姫殿下のおっしゃる通り、一〇一高地ならびに敵の法撃陣地の占領ないし撃破は必須ですが、その前段階として一〇三高地攻略も必ず占領せねばなりません。基本方針としてはここを足がかりに――」
「そんな基本は分かっておる。一〇三高地をおとせる妙案でもあるのか?」
それにスピノラさんが小さく頷き、再び本営が騒がしくなる。
その騒がしさをケヒス姫様が手を一度叩いて黙らせた。
「その作戦を話せ」
「なに、単純なことですよ。要は歩兵を支援する火力が乏しいから攻略が出来なかったんです。なら、火力支援を行えば良いんです」
「簡単に言ってくれるな」
「つまり、個人が大火力を発揮すれば問題ありません。過去の戦訓――アムニス大橋やセイケウでの奇襲攻撃を受けた際に猟兵が大砲の装薬を使った攻撃を行っています。それを行うのです」
今まで、アムニス大橋ではエルフのヘーメル少尉以下の少数の班員がアムニス大橋の突破をもくろむゴブリンに石などを詰め込んだ装薬の袋を投擲して敵を撃退した。
セイケウ会戦後のアーニル様が行った奇襲攻撃でもローカニルが装薬を投げつけて打撃を与えていた。
だがどれも窮した際の悪あがきのようなもので正式な攻撃ではない。
そもそも大砲が使えるのならそちらのほうが遠くに火力を投射できるのだから装薬を投げつけるメリットが無い。
「なるほどな。だが問題は装薬を敵陣に投げ込めるかだ? 出来るのか?」
「敵は稜線に隠れた弓兵です。そのため大盾に鎧を着込んで矢を防ぎながら肉薄して敵兵に打撃を与える特別部隊を編成すれば作戦は成功するでしょう」
「大盾に鎧? まるで時代を逆行するようだな」
皮肉を利かせた騎士団のヘイムリヤ・バアルの声に嘲笑が起こる。
だがケヒス姫様だけは真剣にスピノラさんの作戦を吟味しているようだった。
「スピノラ殿。傭兵の中でも奇策の天才と言われた貴方でも、この策はありますまい。
そもそも大盾を持っていては片手が塞がって不利だ。故に大盾は廃れたのであろう?」
「確かに。ま、敵の意表をつくならもってこいでは?」
皮肉に臆することなく持論を展開するスピノラさんにバアルがたじろぐ。
その時、ケヒス姫様が口を開いた。
「作戦を認めよう。ヨスズン。必要な装備を集めろ。そして志願者を募れ。部隊名は決まっておるか?」
「そうですな。金属の鎧に身を包んだ爆弾投擲兵――装甲擲弾兵とでも呼びますか」
「よし。旅団は装甲擲弾兵を集めろ。騎士団もだ。三日後に装甲擲弾兵を用いた夜襲作戦を行う。
夜陰にまぎれ敵陣に近づき、夜明けと共に攻撃を開始して丘を奪え」
「しかしケヒス姫様! 未だ火力はその装甲擲弾兵の持つ装薬だけです。新型大砲の配備を待って万全を喫するべきです。下手に攻撃して失敗すれば敵の警戒をあおるだけです!!」
「つまり、失敗しなければ良いのだろう? 現状を打破するには小さな決定打が居るのだ。ならばこれで十分。他に意見のある者は?」
「ではさらに一つ」
「なんだスピノラ」
「志願者には作戦の成否に関わらず褒賞を出していただきたい。
これは作戦とはいえ苦肉の策であることに代わりませんし、大盾と鎧だけで身を守れる保障も無い。
成功率の低い切り込み作戦と言えます。
部下に死を強要するならせめてそれ相応の褒賞を頂たい」
「控えろ! 姫殿下になんたる口をきくのだ!!」
「バアル。良い。して、褒賞は何が妥当だ? 命を懸けるにみあう褒賞とは?」
「せめて爵位を」
一瞬の静寂。そして飛びかう怒号。
「爵位をもらいたいだと? 莫迦も休み休み言え!!」
騎士団側の総意をヘイムリヤ・バアルが叫んだ。
だが、悔しいが俺も同感だった。あまりにも恐れ多い。
「それほどの覚悟でなければ装甲擲弾兵に志願する者は居ないでしょう。これが通らない限り、少なくとも第二連隊から兵を出すわけには行きません。
また作戦の都合上、大盾に鎧、投擲用の炸薬、個人武器など大装備を身に着けて尚且つ走り回れる人材でないと作戦の成功率がより下がります」
以上です、とスピノラさんが腰を下ろす。
「す、スピノラさん!」
「なんですかい旅団長。作戦についてはすでに――」
「いやいやいや。そこじゃなくて爵位を求めるなんて……」
「そ、そうですよ。その案が通れば殿下は『亜人』にも爵位を与えねばなりませんし」
ユッタの指摘通りこの作戦に東方諸族が加われば爵位が与えられる。
つまり王国の貴族達に一枚噛むことになるのだ。
東方やタウキナ領では東方諸族に対する目は変わってきているが、それはごく一部にすぎない。
未だに亜人奴隷を『所有』する貴族も多い。
そこに『亜人』の貴族が生まれるなんて許されるのだろうか?
それに『亜人』を毛嫌いしているケヒス姫様が爵位を授与するわけがない。
「もちろんこの策が通るとは思っていませんぜ」
「へ?」
その言葉とともにケヒス姫様が手を打ち鳴らした。
「静まれ。一々地獄の亡者の如く騒ぎおって。スピノラ」
「ハッ!」
「さすがに爵位をやることはできん。爵位の授与となれば王の承認がいる。今の余では無理だ」
「しかし目に見える形で褒賞が出なければ兵達は志願しないでしょう」
「勲章ではどうか?」
「せめて三級戦功章でなければ意味がありません」
「むぅ」
悩みの声を上げるケヒス姫様。
俺はスピノラさんに一級戦功章がどういう物か聞いた。
「王族が特別に戦功のあるものに授与する勲章でさぁ。一級から三級まであって王族が戦いぶりに感銘して授けるものです。敵将を討って三級が出るか出ないかの授与数の少ないもののために持っていればだいぶ箔がつきます。
なんたって王族が認めた戦功なんですから」
俺もケヒス姫様から三級戦功章は授与されているから王族に認められている、と言うことだろうか?
ケヒス姫様が王都でポンとくれた印象しか無いからありがたみを感じない。
「わかった。授与しよう。その代わり、亜人共はこの作戦に志願するのか?」
「確証はありません。旅団は騎士様と違って寄せ集めの徴兵軍団ですから命を投げ打ってまで戦えるものが居るかどうか」
「フン。まいい。ふれを出せ。他に何かある者は? おらぬな? では解散」
ケヒス姫様の一言で軍議が終わった。
ケヒス姫様が本営を去ると三々五々に本営を騎士達がさる。俺たちも司令部に戻る事にした。
「ま、計画道理ですな」
「計画?」
「最初から爵位なんか望んじゃいませんからね。ただ、最初に三級戦功章を要求しても断られることがわかっていましたから、選択肢として爵位か戦功章を選ばせたんです。今頃、はらわたが煮えくり返っているでしょうな」
不敵に笑うスピノラさんに呆れてしまう。
だが、勲章を――それも王族が認める勲章をもらえると言うことなら東方諸族の地位を王族が認めることに等しい。
王族を認められた存在を無碍にもできなくなるだろう。
だが、どちらにしろケヒス姫様の逆鱗に触れるはずだ。
「とりあえず我々は部隊の編成を急ぎましょう。このままお互いが遠距離砲戦を行うだけでは共倒れ必須ですから」
その意見には賛成だが、しかし、だ。
やはり新型の大砲を待つべきじゃないのか? より火力支援を行えるであろう新型大砲を配備できればより大火力を発揮できる。
それまで待ったほうが良いはずだ。
だがすでに動き出した歯車を俺は止める事はできなかった。
ドワーフの装甲擲弾兵はエルフの猟兵やケンタウロスの竜騎兵とならび出したかった兵科ですw
ご意見、ご感想をお待ちしております。




