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銃火のオシナー  作者: べりや
第二章 タウキナ動乱
15/126

タウキナ動乱

 あの襲撃から三日たった。


 タウキナからの襲撃はアレを日切りに止んでいる。

 セイケウを発ってから襲撃がないことは好ましいが、それと同時に不気味さを感じてしまう。



「伝令によるとタウキナ騎士団は我らから十キロ前方に屯しているようです」

「十キロと言うとシブイヤの手前に陣を築いたか」



 行軍の小休憩中に偵察に出ていた騎士が戻ってきたので臨時の作戦会議となっているが、天幕もなくただ小さい机に地図が広げられただけのお粗末な本陣で騎士団や連隊の首脳達が首を捻っていた。



「タウキナ側の戦力は騎士が二千と歩兵が二千。歩兵はおそらく傭兵だと思われます。また、敵の本陣には第四王姫殿下を表す将旗が掲げられていました」

「フン。やっと重い腰を上げたか。此度は敵を逃すな。そして立ち止まるな。良いな?」



 まだアウレーネ様の奇襲の事を根に持っている。

 いや、俺が奴隷を買ってしまった時もそうだったがケヒス姫様は執念深い。

 だから東方諸族を憎むし、現王様のことも恨み続けているのだろう。



「姫様。今のところ数では我々が勝りますが敵の数が異様に少ないです。油断なきように」

「言われんでもわかっておる。斥候を出せ。周囲に敵の伏兵が居ないか捜索させろ。敵の存在に関わらず正午には戻らせるのだ。日のある内に布陣を整えたい」

「御意に」

「恐れながら東方辺境姫殿下」

「どうしたイサク?」



 セイケウ守備隊の副官を務めていたリベク・イサク殿がケヒス姫様の眼前にひざまずいた。



「我らは一層、姫殿下に忠を尽くす所存であります。ですからどうか我らを一番槍にしていただきたい」

「なるほどな。考えて置こう」

「ありがたき幸せ」



 ケヒス姫様は他に何か言いたい事がある者は? と俺達に視線を送った。



「それでは布陣についてだ。ヨスズン。後は任せた」



 そう言うなり従者が用意した折りたたみ椅子に腰を下ろした。軍議を観戦する腹づもりのようだ。

 なんと言うか、自由奔放という言葉がよく似合う。



「さて。タウキナ側は騎士と歩兵合わせて四千。対して我らは東方辺境騎士団三千に猟兵連隊一千、イサク殿の部隊が騎士一千に傭兵一千で合計六千の大軍となっている。イサク殿が先鋒を勤めるとして布陣だが、意見のある者は?」

「では俺から。我々の保有する大砲は先の会戦で敵に大きな損害を与えることが出来ました。此度の会戦も大砲を中心に猟兵、そして騎士団でコレを守るように戦うべきです」



 もう貴族の思惑で戦わされるのは真っ平だ。

 なら俺が作戦を提案してしまおう。



「大砲を後列に配してその前方に猟兵、そして側面を騎士で固めて頂きたい」



 要は猟兵の飛び道具と騎士の機動防御で敵が大砲に接近するのを阻止してその間に大砲が敵を殲滅する。

 単純だが、効果的な編成だと思う。



「ダメだ、ダメだ。先鋒をイサク殿が務めると申していたであろう。これだから戦を知らぬ工商風情が――」

「ケヒス姫様は損害をお嫌いになると言われていたのをハーデアン殿は忘れたので? 被害を最小限に抑えるなら俺の案以外に無いと思われますが?」

「戦の作法も知らぬ工商が大口を叩くな。我々は数的優位性を持っているのですからわざわざ策を弄することも有りますまい。正面から騎士団同士が激突して勝敗を分けるべきでしょうな。さすればイサク殿のお望みも適うというもの。いかがでしょうか?」



 ヨスズンさんは俺達の提案を聞いて顎をさすりながら思案していた。

 「ハーデアンの言ももっともか」と小さく呟いた時、ハーデアンは勝ち誇ったように笑った。

 正直に言うと悔しい。

 俺達猟兵連隊の危機を助けようともしなかった奴の策が受け入れられたと思うと悔しくて仕方が無い。



「よし。それではイサク殿の騎士団は約束道理先鋒を務めてもらう」

「御意にございます」

「残りの東方辺境騎士団と猟兵連隊はオシナーの作戦で行く。猟兵はイサク殿の部隊を援護し、東方辺境騎士団は大砲と猟兵を守るように戦う」

「――え?」



 ヨスズンさんの作戦に俺たちは敵も見方も顔を見渡した。

 イサク殿が先鋒として敵陣に切り込む。ここまでは良いが、その切り込みに追随する部隊は無い。



「それでは我々が孤立する恐れが――」

「イサク殿。勘違いなされるな。貴女方は裏切りの部隊。裏切り者を易々と信じられるほど姫様はお人よしではない」

「しかし――! 先にも申しましたが我々は東方辺境姫殿下に忠を捧げる所存です! 裏切りなど――」

「姫様に忠を捧げるのならその命を張って証明して欲しい。イサク殿の考えでは無く、我々からしたら貴女はタウキナからの裏切り者に過ぎない。姫様の信用を得たいのならその身を火の玉にして忠を示して欲しい」



 まるでアムニスでの猟兵を見ているようだ。

 確かにケヒス姫様にとって『亜人』の戦闘部隊などが作られた日には後から撃たれると思うだろう。

 だが俺たちはアムニスでケヒス姫様の命令を遂行した。命をかけて遂行したから亜人政策を変えてくださったのだ。

 ケヒス姫様は厳しいお方だ。だが相手の事を認めればその者を尊重する芯の通ったお方だ。



「イサク殿以外に何か意見のある者は?」

「……あ、ちょっと良いですか」

「どうしたオシナー?」

「タウキナ側には魔法使いがいたと思うのですが、あの人は出てくるのでしょうか?」



 気がかりがあるとすればあの魔法使いだ。

 どんな技を使ってくるかわからないが受勲式のパーティーで火の玉を操っていたのを見るとそれでこちらを焼き尽くすことくらい朝飯前のような気もしてくる。

 前世の記憶だと万の軍勢を一人の魔法使いが屠るという小説の多いこと。物量とは一体なんだったのか。

 そんなのと戦うのであれば正直、ケヒス姫様に打ち首覚悟で降伏を勧めなければならない。

 いたずらに猟兵を殺すことなど俺には出来ない。



「あの魔法使いは治癒に秀でているようだったから問題ないだろう。攻撃魔法が使えたとして我らは六千の大軍だ。いかな魔術師がいようとこの数に太刀打ちできまい」



 どうやら魔法使いは厄介な戦力だが物量で押せば問題ないという事か。

 しかしそうだと良いのだが、安心してしまって良いのかは疑問だ。

 未知の敵と戦うのだから出来るだけ備えをしたい。例えば少数の部隊を敵陣の背後に送り込んで魔法使いを狙撃するとか。


 まあ手銃には個人を狙えるような精度はないから妄想も良いところだ。

 戦が終わったら手銃の改良を行わなければならない。

 この戦争で得た教訓と悲劇を無駄にしないように。いや、アムニスで死んでいった奴らも含めてその犠牲が無駄にならないように――彼らのおかげで今があると思えるように考え続けなればならない。

 彼らに報いるために考え続けなければならない。



「では姫様。先ほどの作戦でよろしいでしょうか?」

「よきにはからえ。皆のもの。ここが正念場だ。心して掛かれ」






「築城を急げッ 敵は待ってくれないぞ!!」



 正午に戻ってきた斥候の報告によると伏兵などは見られず、現有戦力は騎士二千、歩兵二千の合計四千しかいないということだった。

 ヨスズンさんはイサク殿の裏切りに触発された者達がアウレーネ様の参集の命令に難色を示したのではないかと言った。一枚岩では無いタウキナがついに崩れたのかもしれない。

 ここでアウレーネ様を捕らえることが出来なくても敵部隊を壊走させられれば戦線の建て直しは出来なくなるだろう。

 確かに正念場だ。



「第一大隊が所定の位置に付きました! 第二、第三大隊も作戦通り動いているようです」



 猟兵連隊は平原を二つに分けるように馬車の城壁を構築していく。

 ただ直線的ではなく突撃してきた敵に十字砲火を浴びせられるように緩やかなV字型を描いている。

 俺たちはその後に予備兵力となっている第四大隊と共に布陣した。



「そいじゃ、ちょっと砲兵陣地作成の陣頭指揮をとってきますわ」

「頼んだぞローカニル」



 騎士団も所定通り猟兵連隊の脇を守るように展開している。

 今のところは全て作戦通りか。



「うぬよ。敵との距離は?」

「およそ二千メートルと言ったとこでしょうか?」



 だが何故騎士団を率いるケヒス姫様が連隊司令部となっている第四大隊に居るのか。

 ヨスズンさんも騎士団の本営で指揮を取るようにケヒス姫様に言っていたがことごとく拒否してしまったし……。

 だがケヒス姫様は俺から連隊の指揮権を奪うでもなく自ら指揮を執ることもない。

 何がしたいのか聞いたら「試したい事がある」の一点張りであり、さらに追及すると無言で首を斬る動作をするだけだった。



「あの、騎士団の本営に行かなくて本当によろしいのですか?」

「なんだ。余がここに居るのが迷惑なのか?」

「いえ、そんな事は……」



 別に迷惑というわけではない。断じて、無い。



「オシナーさん。顔に出てますよ」

「うーん。やっぱり顔にでるか……」



 あのパーティーの時もアウレーネ様に指摘されていたがそんなに顔に出やすいのか。

 気をつけてはいるのだが……。難しい。やはり政治とか駆け引きのような場面に出くわさないようにした方が身のためかもしれない。



「フン。騎士団と連隊の意思を統一するには余がここから命令した方が良いと判断したからだ」



 この間の一件で連隊と騎士団の溝は一気に深まった。

 その中で騎士団に砲兵を守らせるように機動防御を行う作戦を立ててしまったから否が応にも互いが協力しなければならない。

 ん? 互いに協力か。



「ケヒス姫様。もしかしてやりたい事とは騎士団と連隊の統合した部隊運用の事ですか?」

「ん? 気がついたか。察しが良いな。初戦におけるタウキナ騎士団のとの戦を見ていて思いついたのだが大砲で敵戦力を減じさせ、騎士により敵を蹂躙し、猟兵により決着をつける。洗練された新しい戦術だ。コレがどれだけタウキナに通じるか試してみたくての。それには騎士団と連隊の密接した連携が必要になる。故に陣の中心となるここに余がおるのだ。しかしただの工商と思っておったが案外目の付け所は悪くないぞ。く、フフフ。」



 珍しく褒められたが、俺としては内心驚いていた。

 いや、軍同士が共同で戦うと言うことはさして珍しくは無いと思う。そうでなければ傭兵と騎士の混成編成なんて出来ない。

 驚くのは新しい戦術を確立しようとしている事だ。

 今まで攻勢における戦術はいかなる陣形を持って敵と相対するかだった。

 そこに新しい戦術――戦闘教義ドクトリンを確立しようとしている。



「新しい兵器。新しい兵士。新しい戦術。そして新しい戦争が来る。戦とは日進月歩だ。うぬが手銃を市で撃った時から思い描いていた戦絵巻きがついに完成する。まあうぬと出合った頃はここまで明確な考えは無かったがな」



 一人楽しそうにケヒス姫様は笑っている。

 初めてケヒス姫様と出会い、コロッセオで向けられた凄惨な嗤いを――いや笑いを浮かべていた。



「姫様!! 姫様!!」



 馬を駆ってヨスズンさんが威勢よくかけてくる。その後には東方辺境騎士団が着ている甲冑とデザインが若干違う物を着た騎士が追っている。

 騎士団の展開状況についてだろうか? だがヨスズンさんは今、実質的な騎士団の最高指揮官のはずだ。

 そのヨスズンさんが騎士団を離れてまで何の用事があるのだろう。



「何事だ?」

「ハ。それが――」

「それがしタウキナ北方に領地を持つイルベ・タウキナ男爵の使者でございます。我が主イルベ・タウキナ様より東方辺境姫殿下に書状をお渡しするよう命を受けております。どうかお受け取りください!」



 使者の方が差し出した手紙には遠目にもわかるように封蝋されていた。

 男爵――貴族から封印が施された手紙。このタイミングで中身を他人に見られたくない手紙が来ると言うことは内容を想像しやすい。



「…………。なるほど。貴様の主人もアーニルに愛想を尽かしたか」

「此度の戦には出陣する機を逸してしまいましたが我が主は東方辺境姫殿下に戦費を献上する用意があります。今後は東方辺境姫殿下がご出陣成される時は一級の武功を上げる事を誓うとの事です!」

「なるほどな。まあ敵が増えないのならそれに越したことはない、か。して、貴様の主人は何故アーニルを裏切ったのだ?」

「それがしの口からはなんとも。ただ、アーニル様ではタウキナ王に相応しくは無い、と言うことではないでしょうか? 我々は真の王を望んでおるのです。これは我が主だけではなく、多くの領主がそう思っておりましょう。」



 王位に相応しくない。



 アーニル様自信がその事は認めていた。

 それが表面化したのだ。

 タウキナ大公国が瓦解しようとしている。



「真の王か。そちらに都合の良い王、では無く真の王か?」

「お戯れを。それがしたちが求めるのはタウキナに安寧と繁栄をもたらす王を願っておるのです。我が主も同じ考えかと」



 すごすごと頭を下げる彼に嫌悪感がわかないと言えば嘘になる。

 要は主君が使えないから誰でも良いので新しい主君を欲しているにすぎない。

 それをケヒス姫様に求めている。他力本願すぎないか?

 だがケヒス姫様はタウキナ大公国の解体を宣言していたから今の内に近づいて新しく編成されたタウキナで要職に就こうと考えているのかもしれない。


 もうタウキナは終わりを迎えようとしている。


 家臣が主君を裏切るようでは戦に勝とうが負けようがコレまでのタウキナ大公国ではいられなくなるだろう。

 革命のような変革がタウキナに訪れようとしているのかもしれない。



「伝令! 第二大隊大隊長より伝令! タウキナの軍使達が接近中。指示を請う。以上!」

「ほう。誰が来た? また追っ払うのも一興だな」



 悪い笑顔でケヒス姫様が連隊司令部として使っている馬車から飛び降りた。



「ハッ。そこまではわかりませんッ!」

「フン。亜人は使えないな。だが余は気分が良い。許そう。余自ら確認しようではないか。オシナー、ヨスズン。余についてまいれ。それでは使者殿。これにて」



 俺としてはここで連隊の指揮を執りたいのだがご指名を受けてしまった。



「それじゃユッタ。しばらく連隊の指揮を引き継いでくれ」

「わかりました! 指揮権、頂きます。オシナーさん。御武運を」

「早く行くぞ。ぐずぐずするな」



 どこか楽しげな雰囲気を出しながらケヒス姫様は前線に向かう。

 きっと軍使をどう料理してしまおうか考えているに違いない。

 実に楽しそうで軍使の方々の事を思うと今から胸が痛くなってくる。



「使者の目的はおそらく講和か降伏でしょうな。条件次第では停戦しますか?」

「知れたこと。否に決まっておろう。余は奴らに殺されかけたのだぞ? ならば余が引くことは無かろう」

「あくまで決戦を避けない、と言う事でよろしいでしょうか?」

「うむ。我が方は戦力、士気共に高い。新戦術で敵を皆殺しにするのにうってつけなのだ。わざわざ譲歩して決戦を回避する理由など無い」



 決戦――いや血戦は避けられないか。

 どこかそれを避けたいと考えていたが、それは適わなくなった。

 ケヒス姫様はタウキナを許さない。それは自分を仇なした敵だから。

 ならば敵は殺す。自分を害そうとしたのだから殺されて当然と思っているのだろう。

 このお方は互いを許しあう事を知っているのだろうか? 人の優しさを――人情を――。

 この人は知っているのだろうか。


 冷血姫。


 優しい心も人情をも介さない冷酷な姫君。

 現王様を恨み、『亜人』を憎み、タウキナを滅ぼそうとする冷酷な姫君。

 なら血戦を避ける事はそもそも不可能だ。

 避けようが、無い。



「うぬよ。そう思いつめるではない。平穏は鉄と血によってこそ得られるのだ」



 嬉々とした、鬼気とした笑顔を向けられて心臓が波打った。

 その笑顔は一振りの刀剣を思わせる。切れすぎて鞘まで切りそうな笑顔。

 そんな笑顔に不覚にもドキリとしてしまった。



「あちらが敵の軍使になります」



 伝令をしてくれた猟兵が指し示した方角にはアーニル様とアウレーネ様、そして宰相閣下がおられた。

 距離は五百メートルほどか?



「クソ。あの宰相ゴミはまだタウキナに居たのか」

「姫様――」

「わかっておる。おい、亜人。その手銃に弾を込めてそれをよこせ」



 伝令をしてくれた猟兵があからさまに嫌な顔をしたが渋々と手銃に弾を込めて渡してくれた。



「また軍使を撃つつもりですか?」

「驚かせてやるだけだ」



 兵の手銃を取り上げたケヒス姫様はまるでいたずらを仕掛けに行く子供のように軽い足取りで歩き出した。

 しかし、五百メートルという距離は中々遠い。相手から長弓を射掛けられないか不安になりながら歩く。

 アウレーネ様たちは馬に乗っているようだが、こちらも馬を使えばよかったんじゃないか? いや、それだと俺が乗れないか。今で一度も乗ったことないし。



「軍使ご苦労である」

「宰相閣下、お久しぶりにございます」



 ケヒス姫様は完全に宰相閣下を無視するようだ。

 アウレーネ様とアーニル様はケヒス姫様が徒歩であるのを見て馬を下りたが宰相閣下は降りる気配がない。

 宰相閣下もケヒス姫様の事を無視する。



「我らタウキナ騎士団はタウキナ大公であらせられるアウレーネ・ゲオルグティーレ様の下に着々と集結中である。

 それに、第三王姫殿下のお持ちになっているその魔法の杖。いかなる原理かは知りませんが一般人でも魔法が使える武器のようですが弓のように連射をすることは出来ないと見ました。

 要は援軍を加えた大兵力で突撃を仕掛ければそれに対処することは出来ますまい。今の内に降伏をお勧めいたします」

「集結? 離散の間違いではないのか? それよりさっさと余の要求を呑むのだ。いたずらに兵が死んでしまうぞ? く、フフフ」

「戯言を。じきにタウキナ騎士団の総戦力は軽く七千を超えるでしょう。貴女様の騎士団は昨年のクワヴァラード掃討戦で疲弊していたはず。

 その上、セイケウでの消耗があればどちらが兵を引くかはおのずと見えてくるのでは?」

「先ほど、イルベ・タウキナという男爵からの使者が来た。タウキナを裏切るそうだぞ? それにセイケウ防衛についていた連中も余の下で戦うと言ってきた。本当に各地から援軍が集まるのか?」



 アーニル様の瞳は明らかに落胆の色を映した。

 当てにしていた援軍が来なくなった、と言っているようなものだ。俺も大概顔に出てしまうようだが、このお人もそうなのか。


 いや、この場合ならケヒス姫様のブラフだと考えることも出来るだろうが、この表情を見る限り裏切られる事も考えているのだろう。

 アウレーネ様はそれほどタウキナの主に似つかわしくなかったと自分自身が思っていたのかもしれない。



「私の人望でも援軍くらいは集められると思ったのですが、良いでしょう。我らタウキナ騎士は最後の一兵にいたるまで戦います。無用に生きるのではなく潔く玉の如く砕けましょう。アウレーネ様のために――」

「お姉さま。もう辞めにしませんか?」

「アウレーネ様!?」



 それまで黙っていたアウレーネ様は諦観したような微笑を浮かべていた。

 戦を辞めるということなのか? 和議を結ぶということはケヒス姫様の要求を呑むという事だ

 それはつまり――。



「それは貴様の首を刎ねるという事だぞ? わかっておるのか」

「その代わりタウキナ家の助命をお願いしたいのです」

「何をおっしゃっているのです!! そんな、そんなアウレーネ様を――」

「アーニル。控えなさい」



 静かにではなく控えろ、と。

 強い物言いでアーニル様を制したアウレーネ様は一歩踏み出してケヒス姫様と一対一で向き合った。



「それでどうなのですか?」

「図に乗るな。お前が敗軍の将であることに違いは無いのだ。口を慎め」

「申し訳有りません。ですがすぐにお答えください。私の首でタウキナを助けていただけないのでしょうか?」

「愚か者め。すでにお前の首一つで余が軍を引くと思うか? 見よ! 我が軍勢を! 貴様らに譲歩するつもりは毛頭ない。ただ蹂躙してやるだけだ」

「それではお姉さまの兵士達が傷つくでしょう? 私の首でタウキナの兵士も姉さまの兵士も傷つかずにすむのですよ! 利に聡いお姉さまならどちらが良いかわかっているでしょう!!」


 軍勢は集めた。

 だが集めただけだ。


 戦となれば武器も兵も消耗する。その消耗を抑えてなおかつ補給をせねばならない。

 戦が起これば勝敗に関わりなく消耗してしまう。

 手銃は練兵が早く済んで補給されやすいが、損害には変わりは無い。

 いかに少ない犠牲で戦を済ませられるかを考えるならこの話しは悪い話ではない。



「気に食わぬ。なぜ投降などするのだ? 諦めずにいる将兵に恥ずかしくないのか?」

「お姉さまは敵の心配までしてくださるのね」



 お優しいこと――。


 アウレーネ様はクスクスと可愛い笑顔をしている。今にも泣き出してしまいそうな笑顔をして。



「私の命でタウキナが救われるのでしたら、王族冥利につきます。どうかお願いいたします」

「……バカめ。己一人で戦争を止める気か? 偽善も大概にしろ! 自己犠牲に酔うな! それだからお前の母親は殺されたのだ!! わからぬのか!?」

「タウキナには恩を感じているのです。王宮に閉じ込められていた私を助けてくれたのはタウキナの人々でした。だから恩を返したいのです」

「それこそ偽善だ。自分が死ぬことで他者を助けるなど偽の善ではないのか」

「そうですね。でも偽の王が偽の善を働いても、良いのではないですか?」

「偽の、王?」



 思わず聞いてしまった。ケヒス姫様が睨んできたが、俺は構わずに聞いた。



「偽の王って、一体……」

「私の生まれについて、です。そうですよね。宰相閣下」



 今まで口を閉じていた男が「やれやれ」と口を開いた。



「貴女様の出自についての議論はすでにされつくしているはずですよ」

「どういう事だ?」

「おや? 東方辺境姫様はご存知ないのですか?」



 まあ王宮を出て西に東に戦でしたからね――。



「ケプカルト諸侯国連合王国第四王姫様の母君は娼婦でした」



 娼婦を側室にするという話しは前世でも聞いた事がある。

 そこに王位継承権が得られるのかはわからないがそれで偽なのか?



「本来なら高級娼館から娼婦を取るのでしょう。ですが父上――ゲオルグティーレ様がお忍びで出られた際に街で母と知り合いました。そして――」

「まあなんと言いましょう。娼婦という仕事上どうしても避け得ないのですが、その娘は本当に現王様のお子なのかという議論がありました。はい」



 ケヒス姫様は「その話しか」と思い出したように呟いた。


 王の子の可能性がある。


 本当に王族の血を引いているのならそれは政治的に利用できる。



「議論の結果、第四王姫殿下の称号が与えられたのです。確かに第四王姫殿下を快く思わない連中はいつもこの議論を蒸し返しておりますね。迷惑な話しです。はい」

「宰相閣下も蒸し返す側の人だと思っておりましたわ」

「これは心外な」

「王宮では私に賭けた人たちが血眼で王族である証を立て、その人たちを失脚させようとする人たちが私を『王族の皮をかぶった偽者』と言う。

 お人よしな母はその口車に乗って、誰かの恨みを買って、殺されました。それでも私はただの政争の道具でした。

 周りの顔色を伺って、暗殺されないように自分を殺して道具になりきって王姫という役割を演じて。

 本物の王族であるように振舞うように言われ、私の全てを否定されるような目にあって。

 王である事を演じるなんて、偽者のすることでしょう?」



 本物である事を強要された。


 自分の意思を殺して周囲の求めるように動いた。いや、演じた。



「タウキナに来て私は、道具としてではなく、王として迎えられて、嬉しかったのです」



 疲弊した人々から歓喜の声で迎えられ、求められた。



「私のような偽の王でもタウキナの人々は私を必要としてくれました。なら、偽の王が偽の善政を施して、何が悪いのです?」

「思いあがるな! 何故そう諦められる。母を殺した者共を血祭りにあげようと何故思わない? 何故、おとなしく殺されようとしているのだ!?」



 ケヒス姫様の叫びがどこか遠くに感じる。

 どうしてアウレーネ様はそこまでタウキナに尽くそうとするのだ。

 タウキナに尽くすことに大義があるのか。

 自分を犠牲にしてまで得るものがあるのか。



「お姉さまにはわからないでしょうね。お姉さまは憎しみしか知らないのですから」

「なに?」

「例え偽の王でも、タウキナの民たちは私を求めてくれました。私を信じてついてきてくれたのです。この戦場にもついてきてくれたのです。私はそんな彼らを守りたい。愛おしいものを、守りたいのです。」



 守れる力があるのなら、それを守りたい。


 ケヒス姫様にはわからない気持ちかもしれない。


 だが、俺にはなんとなくわかる。


 東方諸族を奴隷政策から解き放つためにアムニスで戦った俺達には、わかる気がする。



「でも所詮は偽者。偽の王に、偽の善、そして偽の家臣。それでも例え全てが無理でも、私が守れるものだけは守りたいのです。どうか、御慈悲を……」

「あ、アウレーネ様……」



 悲しげな、どこか冷めた瞳でアウレーネ様はアーニル様に視線を送った。

 その目には諦観のようなものが浮かんでいた。



「……良かろう。もう何も言うまい。そこに直れ。せめても情けで楽に殺してやる。立会人は、癪だがそこのゴミに――」

「お待ちください!!」

「邪魔をする気か? アーニル」



 アーニル様がアウレーネ様を庇うように立ちはだかる。

 いつでも抜刀できるようにかアーニル様の手が腰の剣に伸びている。

 俺もケヒス姫様を庇うように一歩前に出るが、当の本人に制止させられた。



「どうか、お待ちください――」

「どきなさいアーニル」



 アーニル様を止めたのはアウレーネ様だった。力の篭った、強い声で。



「しかし――」

「アーニル!!」



 その力強い声を発する主は本当にあのアウレーネ様なのだろうか。

 どして、そこまで強く居られるのだ。どうして、そこまで凛々しくあろうとするのだ。



「アウレーネ様は此度の暗殺に関与されておりませんッ!!」



 その言葉に宰相閣下の貼り付けたような笑顔がひきつるのが見えた。



「全ては! 全てはこの私が仕組みました! 私が、刺客を――」



 アーニル様が剣を引き抜いた。

 ヨスズンさんも剣を抜きながらケヒス姫様の盾となるように歩を進めるがアーニル様の剣は目にも留まらぬ速さで、自分を刺した。



「グッ」



 短い悲鳴。アーニル様の足元に赤い雫が流れ落ちる。



「私が、し、刺客をおくり、ました」



 剣を持つ手が震えながらしゃべる姿に俺は、動けなかった。



「全ては、全ては私の責。どうか、アウレーネ様の助命を」

「姫様。魔法のようです」



 ヨスズンさんのささやきに俺はアウレーネ様から視線を外した。

 その拍子に薄い笑顔を引きつらさせた宰相閣下と目が合う。



「何かの拍子に自害する魔法か。あくまで口を割らない気だな」

「アーニル!」



 アーニル様が膝を地面についた。素人が見てもわかる。この出血じゃ――。



「どうして!? どうして……」

「申し訳、ありません。やはり、私には武術しか、取り得がなかったようです」



 第三王姫様――。



「タウキナに取ってアウレーネ様は、必要不可欠なお人です。どうか、どうか」

「フン。部下の失態は王の失態だ。助命など――」

「お待ちください!!」



 思わず、叫んでしまった。



「うぬよ。何事か?」

「ケヒス姫様を襲った刺客には魔法がかけられていましたよね。アムニスでのオークも」

「それがどうした?」



 アムニスのオークにも刺客にも同じ魔法がかけられていた。

 魔法は力ある者が真の名を知らなければ使えない。

 その力ある者は数が少ない。



「アーニル様は、魔法が使えるのですか?」



 本当にアーニル様が刺客を送ったと言うのならこの自害の魔法も自分でかけたものだろう。

 だが、アーニル様自身に自害の魔法をかけてケヒス姫様暗殺の命令を出すだろうか?

 宰相閣下のひきつった顔も気になる。



「アーニルは魔法が使えません」



 それが本当ならアーニル様を影から操っていた人物が居るはずだ。



「アーニル。貴様を操っていたのは、誰だ?」



 期待はしていないがという雰囲気でケヒス姫様が聞いた。



「わ、わた、しは、タウキナの事しか、父上から引き継いだタウキナ家の、事しか、考えておりませんでした。だから、私は愚王でした。タウキナに暮らす、民を思わずにタウキナの政を、行っていたのです。人心が乱れるわけです。で、ですが、アウレーネ様が、タウキナに王道をもたらして下さいました」



 ヨスズンさんが「うわごとのようですね」と小さくささやく。



「民を想い、民を救うあなたに、私は、恋したのかも、しれません。ですが、タウキナは、誰かに、貶められました」



 貶められた。


 そう言えばヨスズンさんが貿易の協定見直しでシブイヤに居た時にタウキナの品は安く買い叩かれて財政が逼迫していると言っていた。

 それを影から操っているというのも――。



「だから、私は、私自信を差し出すことで、金を手に――ゴホッ」



 アーニル様が血の塊を吐き出した。



「私は、××××と、血の契約を――」



 アーニル様は柄を握り締めていた手を離して、宰相閣下を指した。

 ニヤニヤと、嫌らしく、不愉快そうに、不快そうに俺たちを見ている宰相閣下を指した指は力なく地面に落ちた。


 だがそれだけで十分だ。


 宰相閣下が、この人が、こいつがタウキナと東方に火種を蒔いた張本人。

 このタウキナ動乱を――アムニス事変を手のひらの上で操っていた張本人。

 


「やはりこの戦を仕組んだのは宰相ゴミだったか」

「何をおっしゃいます。濡れ衣です。はい」



 「貴様」とアーニル様が小さく喘ぎながら呟いた。



「なるほどな。タウキナへ不買運動を支持して干上がらせた所で金を使ってアーニルを釣ったか。確かにタウキナに子飼いの部下が居れば余の監視も出来るものな」

「滅相もございません。私はやっておりません。ただ、王宮の中には前王様の娘である東方辺境姫殿下や出自のよろしくないアウレーネ様を廃そうとする勢力があると聞きますが、私には関係ありませんが。ハイ」

「どこまでも汚いやつめ」

「宰相は王のための汚れ役。その言葉は褒め言葉にございます。さて、余興も終わりですな。私も仕事があるので、コレにて御免」



 乗っている馬を回頭させて優雅に宰相は会談の場を離れて行く。



「お、お――」



 呼び止めようとした。だが、ケヒス姫様に腕を捕まれた。


 呼びかけても無駄だ。


 ケヒス姫様の目はそう言っていた。そして、「アレが倒すべき悪なのだ」と小声で呟いた。



「アーニル! しっかり! 今、魔法使いを」

「もう、ダメです。感覚が、鈍ってきました。痛みも感じ、ません。第三王姫殿下。おられますか?」

「貴様の目の前ににいるぞ」

「どうか。最期の頼みです。アウレーネ様の事を、お願いいたします。この地に、王道を築くために、あのお方は、必要です。どうか。どうか――」



 アーニル様が力なく倒れた。

 アウレーネ様がいくら呼びかけても動くことは無い。

 俺はかぶっていた軍帽を脱いだ。



「……戦の興が冷めた。講和の時だ。ヨスズン。準備を」

「御意に」

「オシナーも連隊に無用な衝突が起きないように厳命せよ」

「……わかりました」

「アウレーネ」



 アーニル様にすがり付いて泣いているアウレーネ様にケヒス姫様は言った。



「偽でも王ならば、王の務めを果たせ」



 その言葉にアウレーネ様は泣きながら、しかしはっきりと応える。



「はい」



 あっけなく開戦が決まったように、あっけなく終戦が訪れた。



   ◇ ◇ ◇



 戦後処理のためにケヒス姫様たちとシブイヤに留まって一ヶ月くらいか。

 まあ戦後処理のほとんどはヨスズンさんに丸投げしていたケヒス姫様(と俺)だったが、今日は正装に身を包んでいる。



「うぬよ。なんとも地味な服であるな」

「いや、十分目立ちますよ」



 白い詰襟軍服に黒いズボン。

 どう見ても目立つだろ。だから夏季軍服は茶色か緑が良いと――。



「しかし、よくアウレーネ様をタウキナ公にしようと思いましたね。余計な反乱も起こりましたが」



 ケヒス姫様はタウキナ大公の地位を再びアウレーネ様に任せようとしていた。

 そのおかげで新しい火種が生まれた事は想像に難くない。



「アレの血統はまだ使える。頭の固い大公家より優柔な王家の血で持ってタウキナに新しい統治を施す事でタウキナに対する余の発言力が高まるからな」



 つまりタウキナを間接的に支配するということか。

 そのためにアウレーネ様を擁立して『王家』という血筋を使って『大公家』を黙らせる。

 力関係からして大公家が逆らえるはずもないからタウキナ中の大公家に連なる者を黙らせる。

 黙らない者は逆賊、か。



「出来ることなら余が直接統治したいものだが、東方に自治権を与えるための準備をしなければならないからな。東方とタウキナの二国を統治しては余の身が持たん。それに兄上たちが黙っておるまい」

「それでアウレーネ様を利用するのですか?」

「そうだ」



 気持ちの良い即答に俺はどう反応してよいのやらわからない。



「アレは王としては未熟、いや偽者だ。アウレーネだけに任せておけまい」

「講和の時も思いましたが、妹君にはお優しいのですね」



 ケヒス姫様は不機嫌そうに「フン」と鼻を鳴らしてそっぽを向いてしまった。

 その時、部屋の外から「次期大公殿下、御来入」という声が聞こえた。

 扉が開かれると白を基調に青い刺繍が施されたドレスを着たアウレーネ様がおられた。



「準備が整いました」

「では行こう」



 ケヒス姫様に続いて部屋を出る。

 シブイヤの城は相変わらず優美で、物々しさの欠片もない。所々で美術品がなくなっているのも、まあ相変わらずか。



「即位式の流れはわかっておるな?」

「えぇ。ただ、やはり私が王で良いのか……」

「フン。そんなんでどうする。すでにお前に反する奴は居ないのだ」



 その反する者は物理的にいなくなったかのような物言いは心臓に悪い。

 それにアウレーネ様も顔を曇らせた。



「お姉さまのようなやり方ではいずれ身を滅ぼしますよ」

「愚か者め。所詮王道とは偽りの道しるべに過ぎん。国を治めるのは覇道でしか成しえない」

「なら、私は偽の王として王道を行きます。徳をもって自由で平等な国を作りましょう」

「言っておくが平等を謳う国で成功したためしは無いぞ。お前のような偽者がそんな国を作れるわけが無かろう」

「そう、ですね。しかしお姉さま。ならより多くの民のために私は生きましょう。私が守れるだけの民を守りましょう。私が守れない民を、私の手が届かない人々をどうかお姉さまも一緒に守ってください」



 「厄介ごとはごめんだ」とケヒス姫様が呟いた。

 だが拒否の構えは無い。やれやれ、と言った具合だ。



「ん? うぬよ。何を笑っておる」

「いえ、姉妹のようだな、と思いまして」



 言ってしまってから失言だったかもしれないと思ったが、後の祭りだ。



「バカめ。さっさと下らない式典を終わらすぞ。アウレーニ・タウキナ公」



 それだけ言ってケヒス姫様は歩を進めていった。

 アウレーネ様がタウキナ公家の名を告ぐことに一悶着が無かったと言えば嘘になる。

 まだまだアウレーネ様の国作りも道半ばだ。

 だがこの戦いでの犠牲を無駄にしないようにしようとアウレーネ様は王族の名を捨てた。

 アーニル様の意思を継ぐために王位継承権を捨ててタウキナの姓を名乗ったのだ。

 なら、俺もこの戦争の犠牲を無駄にしてはいけない。

 この戦役で失った物は二度と戻ってこないのだからもう失わないように犠牲を忘れてはいけない。



「オシナー。早くしろ。余はこの式典を終えてクワヴァラードに帰らねばならん。それにタウキナの国造りも未だ途上だが、余の道も未だ途上だ。立ち止まっている暇などないぞ。タウキナで足止めを喰らった分を取り戻さねばならぬ。余について参れ」

「は、はい。ただいま」



 クワヴァラードに帰れる。

 クワヴァラードに帰ったら指揮官の養成から手銃の改良に新しい兵たちの練兵とやることはたくさんある。

 俺もまた、まだ道半ばに居る。



「頑張っていくか」



 俺はケヒス姫様お後を追うために駆け出した。


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