第6話 本音
「ねぇ」
目の前には、美紀がいた。
なんのつもり?
「なに」
一言で呼ばれたら一言で返す。
それが私のポリシーだったりする。
また無意識に髪を触る。
それを美紀が睨んだ。
「相変わらず、アンタはいつもそれだよね。何にも関わらずに、独りでいたいんでしょ」
美紀はいつもズボンだ。
スカートをはいている美紀を見たことがない。
じとっとした嫌な目線だったから、私は目をそらす。
そういうの、意味分かんない。
やっぱり、私が嫌だったんだ。
だから、実留についてるんだよね。
ま、一応実留も美紀の友達だもんね。
別に興味ないし。
「独りでいたいとか、アンタ、ふざけてんの?」
なにがふざけてるっていうの?
言えるものなら、言いたいよ。
いつもの不満を全部ぶつけて、いっそのこと嫌いになっちゃいたいよ。
美紀なんか嫌いって言って、絶交したい。
あ、絶交はもうしてるか。
もう、やだ。
美紀なんか、実留なんか。
そればっかり頭の中でぐるぐる回る。
ぐるぐるぐるぐる。
気持ち悪くなってくる。
目の前にいる美紀が回って見える。
やばい、吐きそう。
地面に膝をついて、口に手を当てた。
美紀が驚いているのが分かった。
水色のワンピースが見えて「大丈夫?」とあの甘ったるい声で言われる。
あの子だ。
ざわつく教室に、いるはずの先生。
いないけど。
さらに気分が悪くなって、うつむく。
これ以上上向いてたら、やばいかもしれない。
私はそう思った。
そのまま、私は気を失った。
明るい、眩しい。
私は目を覚ます。
あの気持ち悪いのも、少しおさまっていて、吐き気がなくなっていた。
寝不足かな。
そういえば、昨日はあんまり寝れなかったなぁ。
そのせいか。
それにしても、疲れた。
これもプリン騒動のせいかー。
私はプリンを恨むぞ。
「あ、目が覚めた? 大丈夫?」
あー、保健室の先生って感じの人だ。
「えっと、大丈夫、です」
とりあえず答える。
うぅ、やっぱり眩しい。
「あの、カーテン閉めてもらっていいですか?」
そう言うと、保健室の先生はにこにこして、カーテンを閉めてくれた。
よかったぁ。
ほんと、眩しかったんだから。
それにしても、よくあるクラスメートが大勢いました、みたいな展開がないじゃん。
このままぎくしゃくして終わるんだろうね。
それで、クラス変わって、誰もプリンのことなんて忘れて……。
あれ?
なんか、プリン、存在感薄くなっちゃうってことじゃん。
もう、何にこんな怒ってんだろうな。
バカみたい。
もういいや、やめたやめたっ!
何も気にせずに、美紀も実留も、水色のワンピースのあの子も、誰も私なんていないようなふりしてくれていいから、もう、こういうのいらない。
面倒くさいことを起こさないといけないんだったら、私は孤立していいからさ。
友達の必要性があるのなら、それを私に教えてほしいね。
よし。
これから私は、友達を一切作りません。
私はそう決意して、保健室を出た。
心配そうな保健室の先生を適当におさえといて、さっさと教室に帰る。
これで、私が教室に入った途端、シーンとする、みたいなパターンだよね。
私はため息をつく。
そして、勢いよくドアを開けた。